24,荒野の塔 3
誤字報告ありがとうございます。
修正させていただきました。
キノコの明かりに導かれ、洞窟を彷徨うこと数分。
私の嗅覚に一匹の生物が反応した。
隠密が働いていることを確かめ、その生物に近寄っていく。私の見つけた相手は、十字路の曲がり角にいた。
意外と見つけるのはやかったな。
緑の体表に、大きく醜い鼻。常にニヤついているかのような瞳に、やせ細った体。私が想像していたのと、うり二つのゴブリンがそこにいた。
ゴブリンは獲物を持っておらず、ただその場できょろきょろとあたりを見回していた。
生まれたばかりなのだろうか?ダンジョン内のモンスターリスポーンがどのような設定になっているのかわからないが、あのゴブリンはこの洞窟に慣れていないような感じがした。
それだったら先手必勝だよね!
私はゴブリンが背を向けたタイミングで走り出し、鉱物のナイフを首筋に突き刺した。
何のエフェクトも出ることなくゴブリンは崩れ落ちる。
良かった不意打ちすれば一撃で倒せるみたいだ。
「ブラッディフラワー」は私がどのぐらい目立つか確認ができていないから使わなかった、今後も確認はできないだろうけど…
ゴブリンが私のバクスタで倒せる程度の強さだとわかったので、今度は彼?の足跡を調べる。
うわ、ここまで歩いてきた痕跡がない、ってことはここで生まれたってことだよね。
ここで張り込んでたら簡単に倒せたりしないのかな?いや、群れでも見つけた方が早いか。ゴブリンとの集団戦もやっておきたいし。
光の粒子となって消えていったゴブリンから素材を回収すると私は次なるゴブリンを求めて歩き出した。
……
「ギェィ!!!」
耳障りな断末魔を残し、私と乱戦を繰り広げていた最後のゴブリンが絶命した。
ふぅ、ちょっと危なかった、やっぱりバフをかけていない状態での乱戦はまだまだきついな。攻撃をかわすことはできるんだけど、攻め時がわからないや。
もっと防御力をあげて反撃覚悟で攻めれるようにするか、そもそも反撃できないレベルの素早さを身につけないと…新しい装備が来れば、ある程度できるのかな?
最後は少してこずってしまったが、これで依頼の10匹を倒すことができたので一度帰還することに。
はぐれが2匹に、ペアが2回、そこまでは良かったんだけどなぁ、4匹は不意打ち後に囲まれちゃうからな、もう少し慎重に行った方がいいかも。
ゴブリンとの戦闘を振り返りながら、私は素材を回収する。
今回のゴブリン狩りでこのダンジョンのことも少しわかった。
おそらくこのダンジョンは謎解き系ダンジョンだ。なんせ、ここまで1時間ぐらい彷徨っているがまだ、下への階段一つ見つけらりゃしないし、ちょっとモンスターが弱すぎる。まだ、初めの階層ということもあるかもしれないが、私のステータスは本来タイマン性能の高いものではない。そんな私が二体までなら受け持てるというのだから、弱いと言って差し支えないだろう。それに、他の冒険者に出会っていないのもなんだか不思議だ。からくりがあるに違いない。
これはさすがにノーヒントで攻略することは難しいかもしれない。ともかく戻って情報を仕入れに行こう。
……
「ぐぬぅ…」
「あのー…」
私は現在ダンジョン近くの冒険者ギルドの受付嬢前で唸り声をあげていた。
高っけぇ…、ダンジョンの情報が中間層までで3万もする。
こうやって情報量を高くすることによって冒険者に素材を集めさせるわけか…考えてやがる!
おまけに…
「あの…最終回層を目指すというのなら、大人しくお金を集めた方が早いですよ?ここのダンジョンは100年ほどかけてようやく底らしきところにたどり着いたそうなので、攻略法を知らないとおそらく一生かかるってことに…」
この難度である。きっと先人たちが試行錯誤、死んで戻ってまた行ってを繰り返して攻略法を築いていったのだろう、頭が下がりますよまったく…
ちなみに、ほんとに難しいのぉ?と訝しんでいたら一部だけ攻略法を見せてくれた。
そりゃもうバリむずかった、というか100年かかったわけがわかった。ゴブリンじゃないと開けられない扉ってなんスカ?先人はなぜ気づけたんだ…
もちろん、見せてくれた一部のみが難しかったという可能性はある。しかし、文句のような文句を聞いたこともないのでこれ以外も同じように事前情報がないとクリアできないのだろう。
「あのー…」
再び、受付嬢が困ったような声を上げ始めた。
「わかりました、中間層までだけではなく最下層までも一気にください。」
情報を買うことでしか攻略ができないとあきらめた私は大人しくすべての情報を買い占めることにした。
しかし、そういうと受付嬢は申し訳なさそうな顔をして。
「すみません、ここで購入できる情報は中間層までだけです。そこまで行きますと、セーフエリアがございますので、それ以降はそちらでお買い求めください。」
え、そうなんだ。まぁ、結局通り道なんだしいいか。
別に一か所で売っても問題なさそうだけどなにか理由でもあるのかな?
「わかりました。」
私はカトリーナからもらった礼金を取り出し受付嬢へ支払った。
カトリーナから届いた礼金は10万G。装備のことも考えると、出せる金額はあと4万Gだけだ。
「はい、こちらが中間層までの地図となります、階層ごとに注意点や罠の解説が載っておりますのでご参照ください。一通り読んで説明いたしましょうか?」
「いえ、大丈夫です。」
字が読めない人向けへのサービスだろうか、私はそれを断って受付から離れていった。
座れそうな場所に座り、地図を眺めてみる。
どうやら中間層までは15階あり、15階層には階段を守るミノタウロスがいるらしい。
なるほど、一階、一階、階段に向かってまっすぐ進んで行けば案外早く終わりそうだね。中間層まで平均で1、2日ってなってるし。
ただ、それまでに結構準備がいりそうだなぁ、水やら木やら火打石やら…ほんとになんでクリアできたんだ?
あらためて先人たちの苦労を思い知り、私は時計を確認する。
今は、ゲーム時間で昼の11時ぐらいだから、準備して1時ぐらいにはアタックできるようにしよう。そうすれば中ボスにAM3時ぐらいにはつくはず。
一発で中ボス撃破ができればいいんだけど、とにかく頑張ってみよう。




