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2,キャラクタークリエイト

 「いらっしゃいませ。まずは名前をお教え願えますか?」



 360度、足元まで一面星空の異空間で一体の可愛いアンドロイドが恭しくお辞儀をしている。



「あ、まずは名前からなんだ。まあ、普通はそうか。最近のゲームは名前の設定にも結構凝った演出入れてくることもあったから、このゲームもそっち系なのかと思っちゃった。」


 ライバルとの戦闘後に名前を聞かれたりしてね。と、考えている間もアンドロイドちゃんは微笑みを崩さずにじっと待機している。


 NPCの時点でこんなに可愛らしいんだからキャラメイクは凄く気合が入りそうだよ!



「名前なぁ…何にしようかなぁ…」



 リアルと同じ名前っていうのは絶対やだからなぁ…知り合いに身バレとか考えるだけでも身の毛がよだつ。



「後ほど決めていただくことも可能ですよ。」



 むむむ、と唸る私を見かねたアンドロイドちゃんが優しく教えてくれる。



 まじか、可愛くて気が利くとかもう最強の女の子じゃん。大丈夫これ?小学生もこのゲームできるけど。女性の理想像高くなりすぎない?


 くだらないことを考えていると目の前にアバターの生成画面が現れる。



「こちらでアバターを作成していただけます。本人様の身体データを利用することやランダム生成することも可能ですがいかがいたしましょうか。」



 はえー、色々な方法があるんですね。でも、身体データの利用は名前と同じ理由で却下かな。手動生成ってのもなんだかな…可愛いアバターは欲しいけど早くゲームがやりたくて仕方がない。



「ランダム生成って一回しかできないんですか?」



 さすがに一回だけってことはないと思うけど聞いておくに越したことはないよね。



「いえ、ランダム生成は何度でも行っていただくことができます。また、ランダムとはいえ、ある程度の指向性を持たせることも可能です。」



 アンドロイドちゃんが微笑みを浮かべながらこちらが聞いていないことまで説明してくれる。こっちの意図を読み取って一歩先の説明もしてくれるとかマジでいい女ですわ。



「それじゃあ、可愛いor美人のアバターをランダム生成でお願いします。」



 どちらかといえば可愛いほうがいいけど、美人アバターが気に入ったらそっちにしよう。どっちにしろ何度でもできるしね。



「かしこまりました。…ランダムアバターを生成…オーダー認識…―――お待たせいたしました。アバターをお選びください。」



 アンドロイドちゃんが生成を終えると同時に手元に二体のアバターが浮かび上がる。

 クールな瞳で低身長の可愛い妹系アバターと、快活な笑みを浮かべている高身長の美人お姉さんアバターだ。


 ああぁ!!クーデレだ!クーデレがいるぞ!囲え!囲って撮影許可をとるんだ!!!

 ほぼ反射でクール可愛いアバターを選択。いやー、こうもドンピシャなアバターを作ってくるとは、私の脳波でも読みとっているんですかね?


 あまりにもドンピシャなアバターを作られた…いえ、造っていただけたため、私の興奮度は数段階上昇してしまう。



「細部の調整、カラーリングの変更を行えます。または再度アバターをランダムで生成いたしましょうか。」



「いや、このままで大丈夫です。調整もカラーも変更しません。」



 アンドロイドちゃんからの申し出を私は食い気味に断る。


 さっきまでは「ランダム生成した後にできるなら調整しよ…」って考えてたけどこれはいりませんわ。黒髪つやつやヘヤーに金色おめめ。小さな口に白い肌。もはや私内黄金比ですよこれは…

 しかも、ありがたいことに身長は私とほぼ変わらない。いやー、リアルと身長変えすぎると対応が結構難しくなるんだよねー…一回180センチぐらいのキャラやったことあるからわかる。歩幅がわからんのよ歩幅が…


 自分の低身長を嘆いている間にもアンドロイドちゃんは着々とゲーム開始の準備を進めてくれる。



「それでは次に種族を選択していただきます。種族はお手元の一覧からお選びください。」



 アンドロイドちゃんの美声と共に手元に種族一覧が出現する。


 へぇー、結構いろいろあるなぁ、人に獣人にエルフにドワーフ。このほかにもたくさんあるみたいだ…って、うわぁ!魔物にもなれちゃうのか。売り文句に偽りなしって感じ。



「こちらもランダムで選択することが可能です。いかがいたしましょうか。」



 えっ、これもランダムにできるんだ。聞いてみたらこっちも何回もできるみたいだし、ランダムにしてみよっかな。



「ランダムで種族選択ですね。かしこまりました。……お待たせいたしました、選択が完了いたしました。プレイヤー様の種族は獣人(猫)です。種族スキルとして「聴覚」、「嗅覚」を取得しました。さらに動物に寄せることで種族スキル「爪」を習得することができます。いかがいたしましょうか。」



 アンドロイドちゃんがアナウンスすると同時に私の手元にあったアバターのクーデレちゃんが猫の獣人に変化する。


「んぎゃぁあああああああああ!かわいいいいいいいいいいいいいいいい!これ!これにします!このままでいいです!「爪」なんていいです!この可愛さに比べたらスキルなんてどうでもいいです!これが私の黄金比!求めていた可愛い女の子!あああああぁ最高!!!!!!!!!」



 アンドロイドちゃんの説明はほとんど頭に入ってこなかったが要は見た目を変えてスキルを取得するって話だろう。NO!断じてNOだ!



「かしこまりました。次に職業を選択していただきます。」



 またまた、手元に職業一覧が出現する。しかし、ここまできたら私の心はランダム一択!できるんだろう!アンドロイドちゃん!


「はい、職業選択もランダムで行うことができます。いかがいたしますか。」



 答えはもちろんOK!そのまま行ってください!



「かしこまりました!……お待たせいたしました。ランダム職業選択が終了いたしました。プレイヤー様の職業は「盗賊」です。よろしければ名前を決定していただき、そのままOTUの世界へご案内いたします。」



 盗賊。何の問題もない!というかキャラ以外見ていない!職業は後からついてくる!



「かしこまりました。それでは名前を教えていただいてもよろしいでしょうか。」



 これが私を悩ませる!って思ったけどあれでいいや。



「名前はチョコでお願いします!」



 ビターだけど甘い!最高のクーデレだ!



「かしこまりました。それではこれより、チョコ様をOTUの世界へご招待いたします。様々な未知を発見し、様々な方法で、それぞれの道にお進みください。それではゲームスタート!いってらっしゃいませ!」



 体が光りだし、満点の星空をかき消していく。

 アンドロイドちゃん笑顔で手を振っているのを最後に視界は白に染まる。



 さあ、次に目に映るものは何なのか。それは全くわからない。というかベータ版の攻略もプロモーションビデオも見てないせいでわからないことだらけだけど…



 とりあえず鏡を探すところから始めよう。


 私は早く自分のアバターが動くところが見たいのだ!!


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