烏兎駆
漢詩書き下し風の何かが出来上がってしまったのはご愛嬌。本文中の『』内は、本体だけでは字数が足りなかったため、無理やり付け加えた賑やかしです。
『(前略)...続いて示すは、七蔵帝の時代、厭世の妖術師、丹翁の作と伝わる詩歌である。本作は長らく詠み人知らずとされて来たが、近年発見された我が国最古の私撰歌集『千撰口集』に「炎老作」と紹介があり、炎老すなわち丹翁の作品であることが判明した。...(中略)本歌は、日と月、山と海、天と地、幼と老、生と死、喜と悲、朝と夜と言った種々の二極対比により、顕界を鮮明に描き出す。しかし、本歌の主題は...(後略)』
金烏 天道を駆け 絶巓に隠る
薄暮 降りて 老 逝く
家人 哭哭たり
玉兎 天河を跳び 絶海に消ゆ
黎明 来りて 児 生る
家人 欣欣たり
烏兎は 逆旅を知らず
唯 百代を駆くものなれば
光陰は 人屋に宿らず
唯 百代を之くものなれば
人よ 人よ 何ぞ 朝に生れ 夜に死ぬる
人よ 人よ 何ぞ 朝に喜び 夜に嘆く
嗚呼 浮生 一日に終始す
年年相似 歳歳不同