第1話 「アンチピンチ」
さあ、読者の皆様。
日本人インフルエンサーが活躍する
異世界物語を、お楽しみください。
あらすじ
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中学生にして
最高月収1000万円を越えた男
「キメラゴン」
姉との焼肉の最中、アンチに殺されてしまうが異世界の神様に命を救われた
現実世界へ戻るために転生先で数々の難題を解決していく
#キメラワールド
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第1話 「アンチピンチ」
ーー「アンチ」。
「反対」を表す接頭語。
日本のネット界隈に多々溢れる人々のことだ。
ーー例えば芸能人が恋愛沙汰を起こせば反抗的なコメントを残し
ーー例えばスポーツ選手が不祥事を起こせばこれやこれやと騒ぎ立てる
ーー例えばインフルエンサーのDM流出なんぞすれば「炎上」へとつながり最悪の場合は活動停止...
匿名性をいいことに騒ぎたてるいわば「烏合の衆」とでもいうべきだろうか。
彼らは今夜も獲物を探しネットを周回。
そんな彼らにとって「月収1000万円中学生」というキャラクターは絶好の餌食であった...
「あー、ひと仕事終えたあとの焼き肉は格別だな!」
僕は「キメラゴン」(木村郷)。
ブログ発信、youtube活動をしている。
誇るのはその収入。最高月収はすでに「1000万円」を越えている。
これで中学3年生なのだからこれから楽しみで仕方ない。
「本当だよ!身体中に染み渡る~!」
彼女は姉貴の「アヲスケ」(葵)。
イベント事業、経営、他にも色々なことで稼いでいる行動力の鬼。
まあ、僕には劣るんだけどね。しかし17歳というのだから本当に現代は行動したもん勝ち。
「そうだ!折角焼き肉来たんだし、SNS に投稿しないと!」
「仕事終わって一段落ってところでまた発信なんて、ビジネスマンとして尊敬するよ。」
「ビジネスなんて僕にとっては呼吸みたいなものだからさ。いつでも仕事に結びつけないと。」
「本当に好きなんだから。だけど、気を付けてよね...」
そう言うと姉貴は一週間前の「呟き」を見せてきた。
「また炎上してるじゃん!気を付けな!」
内容は「アンチ」の意見に反抗した「呟き」を示し、さらにヒートアップさせている...いわゆる「炎上」というやつだ。
「そんなに心配することないよ。ただの発散だし。」
「だけどわざわざ相手にすることもないじゃんか、何もしなければこうはならないし...」
姉貴はこういうが心配することもない。だってアリンコに噛まれても痛くないでしょ?そういうこと。
「まあそんなこといいからさ。楽しくご飯食べようよ。折角のうまい飯なんだからさ。」
「そうだね。私が言わなくても分かってるだろうし。あ~人のお金で食べる焼き肉は格別においし~!」
「あ、僕の奢りなのね。」
ネットではもてはやされてるが、どこにでもいる普通の姉弟だ。
「くっ...調子好きやがって...」
「いやー、食べた食べた!ご馳走さまでした!」
全く嫌みなく言うから本当に不思議だ。奢っても全然悪い気がしない。姉貴持ち前の愛嬌はみんなを笑顔にする。もちろん僕も。
「それはどうも。」
「じゃーこのまま帰ろう!タクシー拾うね!」
うまいもん食ったし明日はまたビジネス。やることなんていくらでもあるんだから。さーて、明日は何をしよ...う...う...?
ザクリと背中に突き刺さり痛みが走る。あまりにも不意の出来事に驚く。すぐに体が重くなり地面に吸い寄せられていく。
身体が崩れる前に背後右から誰か駆け抜けていく。一瞬だがはっきりと分かった。てに持っているスマホに写されていたのは...「僕の焼き肉の投稿」
まじかよ。アンチ。どれだけ暇なんだよ...いやそんなことどうでもいい、姉貴が...声の限りを振り絞る。
「姉貴...逃げ...ろ...」
声も届かぬままに背中を刺される姉貴の姿が目に入り、僕は意識を失った。
その夜
現実世界では、
未成年を刺殺した上で、飲食店に放火した犯人が、
自らも自殺したニュースで溢れかえった。
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目が覚めた。不思議とからだの痛みもない。ガッツリ背中刺されたのにピンピンしてる。もしや僕って無敵?って考えてるといきなり声がした。
「やっと目を覚ましたか、待ちくたびれたぞ」
顔を上げるとそこにはおじさんがいた。おじさんだ。どこにでもいるおじさん。
「おじさん僕に何か用?」
思ったことがそのまま口に出た。
すると困った表情を浮かべ
「おじさんて...まあいい。お前に話がある。」
「手短にね。」
「分かった。私は神だ。」
「...いい年こいてそういうのやめた方がいいよ。」
マジレスしたらおじさんがおろおろしだす。
「いや、まじ、神。だっておかしいだろ?お前いきてるはずないやん。転生して別世界にきたんよ。」
確かにそうだ。背中の傷は現代医療でなんとかなるもんじゃない。んー、信じるか。
「分かった、信じる、おじさん。」
「飲み込み早くて助かるよ。あと神な。」
おじさんの話を続けた。
「君は元世界でビジネスを活用して、多くの子供たちを救うはずだった。数ある運命の中で、アンチに刺される、結果になってしまった。」
「マジ、だっさ。」
流石に拍子抜けしたが、過ぎたことは仕方ない。おじさんは続けた。
「君が転生した、この世界は、多くの国が争い、魔物や亜人もいてカオスであり、平和を求めている。
だから君たちの活躍に期待していている。世界を救ってほしい。」
ファンタジーの世界じゃん。確かに周りも中世風の作りになってるし不思議と納得してしまった。
「そのかわり、君が救った命が多ければ多いほど、元の世界に輪廻転生できる確率が上がる。」
たくさん救えば元の世界に戻れるのか。戻って弟や両親と会いたい。
「やってやろうじゃん。」
「そういってくれると思ったよ。君の姉さんもそうだったからね。」
「姉貴も来てるのか!」
「もう、別の使命を託して、転生してもらっている。」
姉貴...僕がふがいないばかりに...。とりあえずは合流を目指すか。
「説明ありがとう、おじさん。僕が世界を救ってあげる!」
「期待してるぞ。あと、神な。」
インフルエンサー学生の異世界での活躍物語が始まった。
to be continued
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