表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
革命――ある女兵士の逃亡譚  作者: 姫草りあ
18/21

第十八話 戦場――三人の男

三人の男は誰を指すのでしょうか……?

場面はまた変わり、スレイが戦った防衛戦の別基軸での出来事。

シャトーは、腕の立つ部下数人だけを連れて、戦場へ赴いていた。

市街地。ここが防衛戦だ。石造りの家が並んでいる。


迷彩服を着ていて眼光が時々鋭くなる……それがシャトーの特徴だが、誰からも信頼されるオーラを放っている。

「隊長、異常ありません!」

隊長――シャトーのことだが――と呼ばれるのはあまり慣れない。大抵の任務は一人でこなしていたからだ。

「ありがとう。しかし戦場というのは気が滅入りますね……」

シャトーはため息交じりに言う。


「そういえば隊長は、何故『狼』に加わったのですか?」

シャトーの部下の一人、ケビンが訊ねる。戦場で無駄話をするのも滑稽だが、緊張をほぐすためには良いのかもしれない。

「昔なじみの男がいましてね。私と、そいつと、私たち二人の親友の男。三人で理想を掲げたのですよ」

「どんな方です?」

興味を持ったシャトーの部下が訊ねる。

彼はライムだ。

「真面目な男と、野心家の男。私はさしずめ尻拭い役と言ったところでしょうか」

「はぁ……」

ピンと来ないようで、ライムはうーんとうなり始める。

「その男二人は、その後どうなったのですか?」

「男二人は違う道を歩みました。私はその中の、真面目な男の方につきました。そうそう、君は何で『狼』に加わったのかな?」

ケビンに向かって質問する。

「母ちゃんに腹一杯食事を食わせてやりたくて! ここ数年まともに食料も無かったですから、少しでも――」

「危ない!」

シャトーがケビンを押し倒す寸前に、ケビンのこめかみを銃弾が貫いた。

「くっ、長距離射撃ですか……」

シャトーが得意とするのはショートレンジからミドルレンジ辺り。ロングレンジの戦いは苦手としている。

「ライム君、君は手榴弾をあちら側に投げてください。私たちはそちらに向かいます。君と君、ここから動かないように」

手早く指示を出す。

「さて、行きますか」

そう呟いた刹那、ライムが投げた手榴弾が爆発した。


敵兵の中心地に手榴弾は着弾した。この爆発だけで、4人は巻き込まれただろう。シャトーが素早くそちらに回ると、敵兵が脇から飛び出してきた。

パンっ。敵兵が引き金をひく寸前、シャトーのリボルバーが閃いた。

そしてもう一発。伏兵であろう敵にリボルバーを撃ち込んだ。

「クイックドローは得意なのですよ」

誰にとも無く言う。

「ここは制圧ですね。まだまだ先に進みたいところですが、次回に取っておきますか……」

シャトーの目が妖しく光る。この目は人に見せたくないな……そう思い、一度目を閉じた。

悲しいな。ふと思う。また一人部下を死なせてしまった。部下が死ぬの何度も見てきた。何度見ても慣れない。それが正直な感想だった。


先ほどあんな話をしたせいだろか。色々なことを考えてしまう。

あの二人の男はきっと剃りが合わないだろう。見ているゴールが違う。シェーメル。お前は正しいといえるのか? ヨシュア、お前は親友を撃てるのか?

そして私は私の出来ることをしよう。二人の決着の立会人として。


もう夕日が差し込んでいる。戦場で死にゆく者を慰めるかのように。

イマイチ勢いに乗れませんでしたが、避けて通れないエピソードだと思ったので書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ