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革命――ある女兵士の逃亡譚  作者: 姫草りあ
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第十五話 裏切り――空が泣いている

ヨシュアは何故裏切ったのでしょうか……?

シェーメルは、その真意を聞き出しにいきます。

ヨシュアの真意を確かめるべく、早馬を走らせるシェーメル。一人で部下も誰も付けずに。とにかく少しでも早く、真実を確かめるために。


道沿いを首都から森を抜け、海沿いへ。ここが後方部隊が位置する地域だった。


「!? シェーメル殿?」

陣に着くなり周りから驚かれ、困惑させた。

「すまない、誰かヨシュアに取り次いでくれないか」

「分かりました、こちらへおいでくださいませ」

同志……いや、『元同志』だったかもしれない男がシェーメルをテントに案内した。陣はしっかりとしており、前に来たとおりであった。どこもテントで野営を張っている。

「ようシェーメル。元気だったか?」

ヨシュアが何事もなかったかのように、手を上げる。眼光に鋭さは相変わらずに。長い銀髪はまさしく狼のそれだった。コートを羽織った姿は、見るもの畏怖させる強さがある。

「ああ、お陰様でな。聞きたいことがあって、訊ねてきた」

「わざわざ一人で来るとはねぇ。聞きたいことはあれだろ。何故政府軍に乗り換えたか、だろ?」

ヨシュアは面白そうに言う。

「やはり事実だったのか……。何故お前がそんな真似を。最も信に置ける人物だと思っていたのだが……」

「政府軍が言うんだよ。今がチャンスだって。今寝返れば、俺は政府の重役となることを約束されている。ここの連中も皆そうだ。戦が終われば自分たちは政府からの厚遇を受ける」

「そんなことのためにか!? 散っていった同志達にどう言い訳する! 我々が革命を成し遂げなければ、この国はいずれ腐りきる。一番困るのはそこで暮らす人々なのだぞ!?」

シェーメルが激高する。

「だからお前は見通しが甘いんだよ。仮にこの戦に勝った後、革命軍や『狼』だけで政治を回せるか? 隣国から攻められたらどうする? 俺たちがやってきたことは『革命』じゃない。『反乱』だ」

ヨシュアは、シェーメルが一番聞きたくないことを聞かせる。そう、シェーメルも心のどこかでは感づいていたのだ。この革命に意味はない。だが、走り始めてしまったからには止まれない。

「そうだ、餞別に良いことを教えてやろう。こっちの情報、政府軍に筒抜けだろ? 誰がスパイをやっていたか」

確かにこちらの情報は政府軍に筒抜けの様子だった。誰かスパイがいる。それは知っていた。それは誰なんだ?

「教えてくれ……」

「エフィ。そう、お前の愛する妻だよ」

その言葉にシェーメルは凍り付いた。

また雨が降ってきた。空が泣いている。

破滅への始まり。革命が成し遂げられるには、犠牲がつきもの。

しかし、それは本当に正しいものなのか。全ての人には全ての人の正義があると。いうこのかもしれませんね。

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