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革命――ある女兵士の逃亡譚  作者: 姫草りあ
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第十一話 そして悪夢再び

ユラも悪夢を見ます。

これは過去に起こったこと。ユラにとっては辛い思い出にして原点。

十年前の歯車が、またカチリと音を鳴らす。

同じくその夜、ユラも演劇を観る。

出演はユラ、父シェーメル、そしてユラの母親、エフィ。

時は十年前のとある日。エメラ以外の家族団欒……というわけではないようだ。

題して、「悪夢」


(家の中が騒がしいなぁ。ここは安全な筈なのに)

若きユラは言い争いの声に目を覚ます。

ここはユラの家、そしてユラの家族の家。

(平和になったら家族みんなで暮らすんだ)


――なにこれ……夢……?

ユラの身体は動かない。観ている光景がぼんやりと映る。


「まさかお前が……だったとはな……」

男と女、二人が対峙している。

男の方は筋肉質で、短く刈り上げた黒髪。鋭い目つきは見るものに恐れすら抱かせそうだ。

女の方は長く綺麗な黒髪をした女性。優しげな瞳が揺れている。

そう、エメラとユラの父親と母親だった。

(完全には聞き取れなかったけど、父さんは怒っているみたい。

相手は……お母さん?

喧嘩でもしちゃったのかな……?)


――ダメ! 見てはダメ!

ユラは必死に藻掻く。だが劇は勝手に進んで行く。そう、この先のシナリオは――


「私はあなたを裏切ってしまった。でも、あなたも、エメラもユラも、家族みんなを守りたかっただけなの! 私は家族の誰一人も失いたくなかった!」

ユラの母親、エフィは叫ぶ。最早悲鳴といった感じすらする。

「すまない、だが私はこうするしかない」

(あれ? なにこれ……なんで父さん銃なんて持ってるの?

そしてなんで母さんに銃口を向けてるの?)

「ごめんなさい、あなた……。娘だけは守ってね……」


――見てはダメ! ダメよ!

ユラは何とか身体を動かそうとする。悪夢だ。


パン!

銃声が一発辺りに響き渡った。

そして倒れるエフィ。血だまりが辺りに広まっていく。

「父さん……?」

(なにこれ……なんで、なんで? 父さんがお母さんを……撃った?)

シェーメルは、はっと我に返り、娘の姿を確認する。

「ユラ! 見てしまったか……。父さんのことは恨んでくれ。すまない」

そしてシェーメルは玄関に向かい、外へ出て行く。

「なんで? なんでお父さん! なんでお母さんを撃ったの!」

ユラは絶叫する。

父親は答えない。一人崩れ落ちるユラ。

(絶対に許さない。絶対に。父さんも、『狼』も。姉さんと一緒に復讐するんだ!)

そう、これがユラの、父親と『狼』への復讐の始まりだった。


――許さない。


「はっ!」

ユラは目を覚ます。ここは政府庁の大統領室。激務に追われ、いつの間にか寝てしまったらしい。

嫌な汗で身体が気持ち悪い。

自慢の黒髪も寝癖が付いている。

さっきのは夢……? いえ、これは確かに昔あったこと。

ユラは久々に見た悪夢を思い出し、身震いする。

そう、私は狼を。


――許さない。

ユラの復讐劇の原点です。

書いてて疲れました(笑)

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