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青い海、青い空、白い雲…… 赤い砂浜  作者: 風風風虱
第二章 我らその川を越えて行かん
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昭和17年8月19日 コリ岬 午後10時

昭和17年8月19日 コリ岬 午後10時

ルンカ飛行場の東 約12キロ


 一木支隊本隊がコリ岬についたのは午後10頃だった。

 樋口中隊長からの報告を聞いた一木大佐の表情は沈痛だった。


「分かった。

遺体の埋葬のために1小隊を残置して、残りは行軍を進める」


 それはいつものきびきびした大佐の声ではなかった。


「富樫 意見具申です」


 一木大佐は富樫大尉の方を見た。その目は暗くどこか心ここにあらずという雰囲気があった。一瞬の俊巡の後、許可すると言った。


「この先、敵が待ち構えている可能性があります。

ここは行軍するのではなく、再度斥候隊を組織して敵情を探るべきではないでしょうか?」

「富樫大尉の意見も最もだ。

だが、私は、今回の斥候隊の全滅をどうとらえるかによると考えている。すなわち、これが彼我の斥候隊の偶発的な遭遇戦であったのか、それとも敵の戦術なのかだ」

「遭遇戦なのか、戦術なのか、ですか?」

「仮に敵の戦術であったとする。

敵の戦術として考えうるのに、

一つ。敵は戦力虚弱なところを補うために遊撃戦を仕掛け、我々の戦力を暫減しょうと企てているか可能性。

二つに撤退をするための時間を稼ぐための遅滞作戦だ。

相手がどちらの方針を取っていたとしても、こちらが戦力を小出しにて各個撃破されば、戦力と時間を浪費することになる。それこそは敵の思う壺だ。

それゆえ、我々は敵の迂回攻撃を警戒しつつ支隊全体での行軍をするのが良いと考えた。

よしんば敵が防衛線を構築して待ち構えているとしても、接敵してから十分に敵情を探り、攻撃すれば良い。すなわち《行軍即捜索即攻撃》だ」


 この時、初めて一木大佐の口から《行軍即捜索即攻撃》の基本方針が打ち出された。この方針は単語から連想されるような敵に出会ったら突撃しろ、と言うような行き当たりばったりな作戦ではない。敵にあったらそこで改めて偵察などして攻撃をする行為である。敵情や敵の目的が分からない状況ならば、決して無責任でも無茶な作戦でもない。


「《行軍即捜索即攻撃》

了解しました」

 

 富樫大尉は敬礼して答えた。


 少なくとも一木大佐も富樫大尉もこの時は間違っているとは思っていなかった。

2019/08/19 初稿

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