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青い海、青い空、白い雲…… 赤い砂浜  作者: 風風風虱
第二章 我らその川を越えて行かん
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昭和17年8月19日 コリ岬 午前10時

昭和17年8月19日 コリ岬 午前10時

ルンガ飛行場の東 約12キロ


 村が見えた。

 一瞬で斥候隊全体に緊張が走る。


「現地人がいても無闇に発砲するな。

情報収集が優先するぞ」


 渋谷大尉は全員に下達する。

 館小隊長へ顔を向けると囁く。


「館小隊長、捜索」


 館小隊長は無言で頷くと部下に身ぶりで村へ向かうように指示をする。

 二人の兵隊が銃を構えて慎重に小屋に近づいていく。それを皆、地に伏せて固唾を飲んで見守っている。


「誰もいませーん」


 小屋から顔を出して丸田上等兵が叫んだ。

 その言葉に皆一斉に立ち上がった。


「完全に無人のようだな」

「そうですね。ただ、鶏や豚はそのままなのでつい最近、慌てて放棄したようですね。

畑も手つかずです」


 渋谷大尉に館小隊長は答えた。


「よし、ここで小休止を取ろう。

早めの昼食だ。

各斥候班長はこれからの計画の打ち合わせをしたいので集まってくれ」


 渋谷大尉は各班長たちを引き連れて村で一番大きな小屋へと向かう。

 小屋に入る前に、大尉はぐるりと村全体を見渡した。

 我々の接近を知って逃げ出したのかな、と大尉は考えた。もしも、そうだとすると、自分たちの存在が知られているということだ。


 だとしたら、自分たちの存在に気づいているのは現地人だけなのか、それとも……

 

 渋谷大尉は頭を振り、その嫌な考えを頭から振り落とす。そんなはずはないだろう、と。


 

2019/08/19 初稿

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