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青い海、青い空、白い雲…… 赤い砂浜  作者: 風風風虱
第二章 我らその川を越えて行かん
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昭和17年8月18日 タイボ岬 午後10時

昭和17年8月18日 タイボ岬 午後10時

ルンガ飛行場の東 約35キロ


 足に波が絡みつき歩きにくい。

 歩く度に足首まで沈み込む。その足を強引に引き抜き引き抜き砂浜を進む。


「急げ、愚図愚図するな!」

「装備を海水につけるな」

「折畳船は分解して密林へ隠せ!」

「引っ張れ!引っ張れ!根性だせ!!」


 あちらこちらで兵隊たちの声が聞こえる。

 その混乱の中、一木大佐はようやく蔵本大隊長を見つけだした。

「大隊長、部隊の掌握状況はどうなっている?」 

「はい、大隊の掌握完了してます」

「そうか、ならば1中隊を使って周囲の確認をさせてくれ。他部隊は密林内に簡易陣地の設営を頼む」

「はっ!斥候及び、陣地設営了解しました。

おお~い、樋口中隊長。

樋口中隊長はどこか~」


 慌てて去っていく蔵本大隊長を見送ると今度は隣に立つ支隊副官の富樫大尉へ顔を向ける。


「他の中隊の状況はどうか?」

「はい、工兵中隊、重機関銃中隊共に上陸完了しております。砲兵、弾薬中隊が苦戦してます」

「わかった。上陸完了している中隊は点呼を取らせて一先ず密林へ移動するように指示をするように」

「了解しました」


 折畳舟を砂浜に引き上げようとしていた兵隊か波と砂に足を取られて派手に転んだ。


「ほら、しっかりしろ。旭川(あさひかわ)男児の意気をみせろ!」


 一木大佐は倒れた兵隊を助け起こし、一緒になって折畳舟を砂浜へ引き上げた。

 恐縮しきりの兵隊に笑顔を見せ、一木大佐は密林を指差す。兵隊は敬礼をすると重い折畳舟をずるずると密林へ引きずって行った。

 続々と上陸してくる支隊兵を見守りつつ、敵の攻撃がないことに一木大佐は胸を撫で下ろした。


 

2019/08/18 初稿


●折畳舟

全長7.35m 全幅1.53m

完全装備の人員16人+漕ぎ手3人を運べる

浮力はおよそ5000kg

前後二つに分離可能 

分離された各々の重量はおよそ100kg

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