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昭和17年8月15日 トラック島 昼

昭和17年8月15日 トラック島 昼


 トラック島の港で招集ラッパが鳴り響いた。

 輸送船に物資を運搬中で兵隊たちが三々五々集まってくる。初めて訳もわからず狐につままれたような表情をしていた兵隊たちも支隊長の一木大佐、副長の水野少佐、富樫大尉、蔵本大隊長の幹部将校が直立不動で居並ぶのを見て、たちまち真剣な顔つきになった。

 中隊長、小隊長の将校たちが慌てて幹部将校の前に整列し、それを目印に各隊の兵士たちも集まる。各所で点呼の声が上がり、たちまち支隊が整然と並び終わる。

 

「よし、注目!」


 並びおわったのを見計らって水野副長の大声が兵士たちの腹をビリビリと震わせた。


「これより支隊長殿より訓示がある。

注意して聞くように!」


 一木大佐は頷くと一歩前へと出る。そして、水野少佐に負けない音量で話始めた。


「我が一木支隊が今年の5月に故郷旭川を出立し早、三ヶ月。その間、異国の地を転々とし過ごしてきたが、本日いよいよ、その力を発揮する機会を得た。

日頃の厳しい訓練の結果を遺憾なく発揮し、皇軍の名に恥じない活躍をすることを期待する」


 一木大佐の訓示の後をついで水野大佐が指示を飛ばす。


「我が軍は第一梯団と第二梯団となり、それぞれ駆逐艦と輸送船に分乗する。各自完全装備の上、本日1900(ヒトキュウマルマルじ)までに所定艦船に乗船すること。

必要装備及び、乗船艦船については後で所属中隊長から通達がある。

中隊長以上は詳細説明があるのでここに残ること。

以上、解散!!」


 解散の号令を合図に全員が敬礼をすると、集まった時と同様思い思いの方向へ散っていく。中隊長以上はその場に直立不動で立っていた。

 富樫大尉が中隊長たちの顔ぶれを確認してからおもむろに話始めた。


「楽にして良し。

今から呼ぶ隊は第一梯団になる。

まず第一大隊の第一中隊から第四中隊まで。

それから重機関銃中隊から第一から第三小隊。

速射砲中隊から……」


「……

食料は1日2食として米四日分。1日1食として乾パン6日分。缶詰め6日分。携帯燃料1セット。マッチ一箱を各人携行すること。

次に各隊の乗船する艦船について……」


 富樫大尉の中隊長への説明を聞きながら、一木大佐は8月7日の洋上で感じたあの高揚感を再び感じていた。あの時からあっという間に一週間が過ぎた。紆余曲折があったが、ここから遥か南の島、この間までは名前も知らなかったガダルカナルという島でようやく自分の役目を始めることができる。


 この任務必ず成功させる


 一木大佐は決意も新たに思うのであった。

 


2019/08/15 初稿

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