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昭和17年8月10日 ラバウル 深夜

昭和17年8月10日 ラバウル 深夜


 海軍第十一航空艦隊司令部の建物の一角で二人の将校がガダルカナル方面で収集された情報を取りまとめていた。


「ルンガ岬の沖合いから潜水艦からの観測情報

人員数百、大発多数、水陸両用戦車数十……

水陸両用戦車……本当に戦車なのか?」 


 資料を読んでいた方がもう一人に聞いた。こちらの方がやや若い。


「自分に聞かれても困ります。そう書かれているのならそうなのでしょう」

「海岸から何キロも離れたところから潜望鏡で覗いただけだろ。ただのトラックとかボートを見間違えた可能性だってあるんじゃないのか?」

「見間違える可能性を言うのであれば否定はできません」


 若い方の将校は顔を上げると冷ややかな表情で相方を見据えた。見据えられ方はすぐに目をそらした。


「俺はただ、正確を喫したいだけだ。

不確かな情報を伝達したら責任問題だからな」

「……」

「で、こっちも潜水艦からの偵察情報か。ルンガの西に野戦砲もしくは高角砲らしきもの多数?

う~ん、これも本当かな。航空機が対空砲火を受けたと言う情報はないんだろう?」

「対空砲火を受けるもなにも、そんな行動を取っていませんよ。ラバウルからだとガダルカナル上空での滞空時間は五分程しかないんですから。みんなちょろっと上空から覗いてすぐに帰投です」

「なら、明日は飛行場を威力偵察してもらうように航空隊に伝えておいてくれ」

「えっ、本気で言ってますか?損害だしたら、それこそ責任問題ですよ」

「仕方ないだろ。飛行場が利用されているかどうかは重要な情報なんだよ」

「……了解」


 年配の将校は、明日の報告書のまとめに入った。


《沿岸部に人員、大発多数

人員及び装備の転出を図っている可能性あり

敵上陸部隊は撤収を開始していると予測

飛行場の活用はその兆候を認めず

対空防備等もその存在は無し》

2019/08/10 初稿


⚫大発

エンジンを持った輸送用の小型船舶の総称 

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