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昭和17年8月10日 ラバウル 夕方

昭和17年8月10日 ラバウル 夕方


 全く信じられん


 松本中佐は百武中将への意見具申の結果を思い出して、心の中で悪態をついた。

 百武中将の考えは二見参謀長と同じだった。いや、もっとひどい。なによりも敵情を知るべし。その為に海軍第十一航空艦隊司令部に二見参謀長を確認に行かせるように指示を出す始末だった。

 先程ようやく先方との明日の朝一の会談で調整がとれたところだ。


 こんな悠長なことをしていていいのか?と松本中佐はじりじりとした焦燥感にとらわれていた。

 そこへ同じ作戦課の越次(こしつぐ)少佐が戻ってきた。

 顔が怒っている。

 何か悪い知らせを持ってきたなと、松本中佐はうんざりとした気持ちになった。


「海軍の連中がふざけたことを言ってますよ」

「開口一番なんだ?なにがあったんだ」

「輸送船の護衛が出せないって言ってるんですよ」

「一木隊の護衛が出せない、と言っているのか?

あり得んだろう。そもそも、海軍が部隊を出してくれって言ったのにその護衛ができないとは意味がわからん」

「何でも、ソロモン海域にいる敵機動部隊に備えるので船舶に余裕がないとのことですよ」

「海軍は相変わらずなにがしたいのか分からんなぁ。

ガダルカナルの飛行場を取り返すのと、敵の機動部隊を叩くのとどっちが重要なんだ」

 

 松本のぼやきに越次は小声で答える。


「どうもガダルカナルを囮にして機動部隊を叩こうと考えているみたいですよ。ミッドウェーの敵討ちとか息巻いている見たいです」

「おいおい、俺たちを撒き餌にするつもりか?」

「いや、飛行場も取り返したいと思っているでしょう。飛行場があれば有利ですからね」

「だったら、取られるなよ」


 松本中佐は吐き捨てると、腕組みをした。

 なんにしても、そんな敵機動部隊がいる海域を護衛もなく足の遅い輸送船で呑気に部隊を輸送するのは愚の骨頂だ。それに迅速に、と言う大本営の意向にもそぐわない。


 さて、どうしたものか


 思い悩んだ松本中佐は、やがてある妙案を思い付いた。


 


 


 

 

 

2019/08/10 初稿

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