7話 オークが配信魔法でステータス1000倍!ライブに笑いライブに泣く!
【前回までのあらすじ】
ドラゴン5体を無双した主人公タカオ。圧倒的なチート能力があるにもかかわらず勝てないオーク2匹に出くわし大ピンチ。行きずりの女戦士によると、この世界には、AnamneTubeと呼ばれる、いわゆる中継動画配信プラットフォームがあり、オーク達はそこでライブ配信をしているかららしい。女戦士は説明を続ける……!
「この世界には、AnamneTubeと呼ばれる、いわゆる中継動画配信プラットフォームがあり、あいつらはそこでライブ配信をしているんだ。
《ライブ》をリアルタイムで見ている者たち、つまり同時視聴者数が多ければ多いほど、様々なステータスがアップする。アナチューブにライブ動画を中継配信することを可能にするのが配信魔法だ」
女戦士はスマホのようなものを取り出す
「見ろ、これでやつらの《ライブ》が見れる」
そこには同時視聴者数1000人と表示されている。まあ、元の世界なら、ちょっと受けてる素人レベルといったところか。
「見てわかる通り、現在1000人が見ている。ということは、基礎ステータスが1000倍になっているということだ。アナチューブは限界をも超えた力を手にすることができる」
「え?1000倍!?とんでもねえ倍率じゃないか」
そりゃ俺のステータスがいくらMAXでも弾かれるわけだ。
「いや、これでもやつらはしょぼい部類だ。有名アナチューバーになると、10万人視聴なんかザラだぞ。ちなみに、視聴者は人間だけとは限らないからな。
奴らのような魔族はもちろん、獣人、竜人、エルフ、ドワーフ、果ては精霊なんかもアナチューブの視聴者だ。だから様々な種族の需要にマッチした《ライブ》をすることが視聴者を伸ばすコツになる」
「いいですか?皆さん、これから人間の惨殺ショーをお見せしますよ!ゲヘヘ」
さっきから、第三者に語りかける口調だったのが気になっていたが、ようやくわかった。
あいつらこの状況を実況していたのか。
「ぶるあああああああ!」
ブタとは思えない素早い動きが女戦士を襲うも、辛うじて盾で攻撃を防ぐ。
「う、ぐっ!」
それでもダメージを受けているように見えた。
例え1000倍ブタ野郎だったとしても、今はやるしか道はない!
攻撃を弾き、ブタの動きが止まったその瞬間、俺の剣がブタの脇腹を斬る!
「ぐおおおおおおおおおおおおお」
「兄者ーーーーー!」
どうしたことだ?大ダメージを与えたようだ。
何が起きたのか。
「見ろ!同時視聴者数が減っているぞ!現在533ビュー!」女戦士が叫ぶ!
チャンス!もう一撃!
苦しんでいるブタに、両手で握りしめた剣を腹に突き刺す!
「あああああああああ!ンゴゴゴ」
情けない悲鳴とともに兄ブタは肉塊と化す。
「よし!」
「うわーーーー!!!兄者ーー!」
わめくブタ。
「ブ……ブッヒー!?どういうことだ?ライブになにかあったのか!?」
弟ブタは急いでスマホ風のアイテムを覗いている。
「はははは!!!良いぞこれは!」
と女戦士。
「ラッキーが起きた!どうやら過去にいたずらした動画が発掘されて、それが炎上しているようだ!」
件の動画を女戦士と見る。コメント欄には、
『猫をいじめるな!動物虐待!』
『チャンネル登録解除だ!』
『人間にやられてしまえ!』
など罵詈雑言がずらり。
過去にこのブタどもは、もふもふの猫をツンツンしていじめている動画をアップしていたようだ。これがタイミングよく今になって発掘され、動物虐待動画として炎上をしていた。
もちろん、もふもふの猫をいじめることは例えブタでも許されないことだ。でも人間の惨殺ショーのほうがよっぽど炎上しそうなもんだがな。炎上のきっかけはどこの世界もわからんものだ。
「ん?でも、おかしいな。炎上して視聴者数が減るか?逆に増えるんじゃないのか?」
率直な疑問を女戦士にぶつけてみる。
「鋭いな。だが安心しろ、アナチューブの特徴でもあるんだが、同時視聴者数のビューカウントは、低評価数との差が表示される。つまり動画の下段に表示されている低評価ボタンが押されれば押されるほど、視聴者数は下がるんだ!」
なるほど、うまくできている!
いや感心している場合ではない!
「うわーん!兄者の仇!!」
泣きながら、ハンマー風の自撮り棒で攻撃を仕掛けてくる。
計画性の無いやけくそ攻撃か!
現在、視聴者数10ビュー!
「一気にケリをつけるぞ!私が攻撃を弾く。タイミングよくスキルを使うんだ!」
「スキル!?」
ドラゴンを倒した時と同じような感じでいいのか……?
【次回予告】
同時視聴者数が多いほどに強くなる配信魔法 《ライブ》を駆使してきたオーク。しかし過去に収録した猫虐待動画が発掘されて大炎上!視聴者数が少なくなれば、もはや主人公タカオの敵になし!
次回、第8話:女戦士とラッキースケベ。エッチな魔王パレシア登場!