6話 ぶっ壊れ!ドラゴンより強いオークってどういう事!?
【前回までのあらすじ】
神からもらったチート能力、身体ステータスMAX。そのおかげでドラゴン5体を瞬殺できた主人公タカオ。しかし女戦士は泣き崩れる。なぜなら彼女の仲間はすでに惨殺された後だったから。なんとか気持ちを切り替えダンジョンを出る女戦士とタカオ達だが……
「おんや?こんなところに人間が居ましたよ!ゲヘヘ」
下品な声が聞こえたかと思えば、ガサガサと茂みが揺れる。
そこから現れたのは人間ではなかった。
ここからでも残飯がくさったようなくっせぇ臭いが漂ってくる。
ブタみてえな野郎だが、手には大きな包丁と、体の割には小さな盾。
「グフフフ。兄者……こいつは美味そうだ。食っちまおうぜ」
もう1体現れた。こっちは手に大きなハンマー。
合計2体。話しぶりからこいつら兄弟のようだ。
このブタ野郎2匹は多分オーク。
「弟よ、俺はなあ人間でも女が好きなんだ。ゲヘヘ。男の肉は固くてまずい。ガキの方はお前にやるぜ」
「グフフフ、俺は噛みごたえがあって好きだがな」
このブタ野郎、俺をガキだと言うか。体は18歳程度だが、心は30歳なんだよな……
「ち、面倒くさい野郎がきたな」
女戦士は言うが早いか、詠唱を始める。と同時に魔法陣が出現する。
「幾千の衝撃にも耐う精霊の加護。この身、鋼鉄が如く。《プロテクト》」
詠唱はまだ続く。
今度は別の魔法陣が現れる。
「精霊よ我が刃に宿れ。限りない力の解放を!《アドパワー》」
そして即座に豚に斬りかかる。
「たあああああ!」
ガキン!
雄叫びとともに、剣と盾がぶつかる音。
ブタは辛うじて盾で防ぐ。
「グフ!?あぶねえなこいつ!」
しのいだ盾で振り払う。
「あらー!なんと可憐で可愛らしい一撃でしょうか!うまそうだぁゲヘヘヘ」
ブタの包丁が女戦士を襲う。
キンキンキンキンキンキンキン!
剣と包丁が交わる金属音。
ブタ共は容赦なく女戦士を襲う。
しかし様子がおかしい。
ドラゴンとの死闘の後とはいえ、押されすぎている。
「お前!何をしている、その腰にある剣は飾りか?」
女戦士が叫ぶ。
そうだ、助けなきゃ!
俺は持っていた剣を抜きブタに斬りかかる。
「おおおおおおおりゃあああああ!」
全力で振り下ろした俺の剣はブタを捉えるも、簡単に弾かれた。
「は?」
なんて硬い皮膚をしているんだ。ドラゴンの鱗よりも硬いオークの皮……聞いたことねえぞ。この世界、どんなバランスしてんだよ!!
「ハハハハ、兄者こいつら《ライブ》せずに戦ってるぜ!」
「ギャハハハ、うわ〜。見てくださいコイツラ。《ライブ》せずに俺たちに勝つつもりなんでしょうか?愚かな人間どもですね!ゲヘヘ」
《ライブ》だと?
「く……やはり、《ライブ》がなければ無駄か!」
女戦士は何かを知っているらしい。
「弟よ俺を写せ」
弟ブタは兄の方を向きそして、手に持っていたハンマーを兄に向ける。
いやハンマーに見えたがあれは……自撮り棒とスマホ……?
事態が飲み込めず目を白黒させていると女戦士が話しかけてきた。
「どうやらお前は配信魔法を知らないようだな。時間がない、説明してやるからすばやく事態を理解しろよ」
女戦士の目線はブタを捉えたまま、早口で説明を続始める。
「この世界には、AnamneTubeと呼ばれる、いわゆる中継動画配信プラットフォームがあり、あいつらはそこでライブ配信をしているんだ」
【次回予告】
この異世界は、同時視聴者数が多い程に強くなる【配信魔法】に支配された世界だった。オーク達は【配信魔法】を駆使しドラゴンよりも高いステータスを身に着けていたのだ!
次回、第7話:オークが配信魔法でステータス1000倍!ライブに笑いライブに泣く!