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ステータスMAX勇者とエッちぃ魔王の異世界実況配信バトル〜俺と魔王のいちゃつき動画が流出しちゃって謝罪会見するハメに〜  作者: 綾野智章
第三章 異世界に飛ばされて最初の敵がドラゴンなんて!こいつぁ無双だ!
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5話 ドラゴン瞬殺!泣き崩れる女戦士

【前回までのあらすじ】

主人公タカオは転生ガチャをひいて身体ステータスMAXというチート能力を得た。そして転生していきなり遭遇したドラゴン5体。そこには苦戦をしつつも果敢に戦いを続ける女戦士の姿。「助けなきゃ!」タカオは意を決してレッドドラゴンに斬りかかった!

 剣はレッドドラゴンの顎下を的確に捉え、その首を切り落とす。

 同時に大量の血が、断末魔の代わりだとも言わんばかりに勢いよく飛び散ちる。その血は地面を濡らすことなく、氷の粒となり辺りにキラキラと音立てて落ちていった。


 さっきまで勢いよく動いたレッドドラゴンは、まるで時間が止まったかのように氷像と化す。ズドン!と切り落とした頭が地面に落ちた鈍い音、かと思えば、まるで大量のガラスが地面に落ちたように高音を当たりに響かせながら、粉々に砕け散った。


 レッドドラゴンを倒したのだ。


「いける!ステータスMAXは嘘じゃない!」

 俺は神の言葉を確信した。


「うおっしぃぃぃ!次ぃぃぃいいいっ!!!」


 ドラゴン全頭が俺を睨む。

 辺りが急速に闇に包まれ、視界が失われる。

 次に立っていられないほどの強い地震、そこから飛んでくる無数の真空波、稲妻、氷柱。

 地獄かと思う攻撃の数々。


「だが見える!」

 闇に包まれるも、うっすらと見えるドラゴンの輪郭。そして鈍く光る8つの眼。

 揺れる地面に対しても、足に根が生えたかのようにしっかりとした体幹。

 飛んでくる氷柱さえもスローに見える、動体視力。

 稲妻が飛んでくる方向がわかる、鋭い観察力。

 ドラゴンたちが全力で繰り出す全ての攻撃を、俺は紙一重で避けた。

 だが、ドラゴンの四位一体の途切れない連続攻撃は止まらない。


「くそ!キリがない!」

 次の瞬間、前に現れた大きな影。

 そして全ての攻撃を食い止める。


 ズガガガガガガガガ!!


 強い衝撃波とともに鈍い音。

 だが、影はびくともしない。


「攻撃は私が受け止める!今だ!行け!!!」


 それは盾を構えた女戦士だった。


「うおおお!!!!」

 盾の脇から、高速でドラゴン共に近づく!

 渾身の力を入れて剣を握り、潜り込んだ腹に剣を刺す。


「地獄の業火をくらいやがれ!グリーンドラゴン!!!」

 突き刺した剣から灼熱の炎。瞬時に巨体を炎が包み、炭と化す。


 次!

「大地に還り草の肥料になっちまえ!ブルードラゴン!」

 巨大な地割れに巻き込み、仄暗い奈落の底から巨大な大木がそそり立つ。ブルードラゴンは百舌鳥(もず)早贄(はやにえ)が如く、巨木に突き刺さる。


 次!

「光に飲まれ、消えてしまえ!ブラックドラゴン!」

 熱を伴わない、しかし痛いほど眩い光がブラックドラゴンを包む。漂わせる黒いオーラをも乱反射させ七色に輝く。そして光粒とともに砕け散る。


 最後!

「輝きを失い、自らの影になれ!ホワイトドラゴン!!」

 ()いだ剣の軌跡は、みるみると光を奪う。辺りを完全なる闇に覆うと、さっきまでそこに立っていたであろうホワイトドラゴンは影のみを残し、全てが消えた。

 それぞれのドラゴンの断末魔が鳴り轟く。


「終わった……?いきなりドラゴンと戦うって、出来の悪いラノベかよ」


 俺はこの異世界で生きなければならないのか。


「う……うううう」

 恐らく仲間であったであろう肉塊を前に、気丈にもドラゴンと戦い続けた女戦士は膝を付き、泣き崩れた。

「ヒューレー……エイドス……デュミス……」

 その姿に俺は掛ける言葉もなく、その場を動くことが出来なかった。


「ここにもエクスカリバーは無かった。しかも大事な仲間を失ってしまった。私はどうすれば……ああぁあ」


 どれくらい見守っていただろうか、女戦士が立つ。


「ありがとう」

 泣きはらした真っ赤な目。

 涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を腕で拭きながら、女戦士は重いながらも口を開いてくれたのだ。


「……いや。こっちも助かった」

 そういうのが精一杯で、かけてやれる言葉が見つからなかった。


「出よう、このダンジョンを」

 彼女はそう言うと腰につけていた麻袋から、綺麗な透明のクリスタルを取り出す。

 地面にバンと叩きつけると、周りが魔法陣に囲まれる。


「どうした……魔法陣に入らないとダンジョンから出られないぞ?」

「お……おう」

 女戦士に近寄ると、体が光に包まれる。

 かと思うと、見知らぬ場所へと景色が変わる。


 ここがダンジョン入り口か?

 鬱蒼と茂る木々に隠れるように、洞窟への入り口があった。

 俺は今、ドラゴンがいたダンジョンから入り口へ、転送されて来たのだろうか。



「今のは何だ?」

「なんだ?ってことは無いだろ、ダンジョンから脱出できる転移アイテム、『エスプ』だ。珍しい物でも無いだろう」


 女戦士はきょとんとした顔で俺を見る。

 彼女の目はまだ赤かった。

【次回予告】

ドラゴン5体を余裕で倒した主人公タカオ!ダンジョンを抜けるとすぐにオーク戦が始まる!余裕で倒せると思ったが、全然攻撃が通じない!「この世界、どんなバランスしてんだよ!!」

次回、第6話:ぶっ壊れ!ドラゴンより強いオークってどういう事!?

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