最終話 魔王の大暴走!世界が破滅!?
【前回までのあらすじ】
神に促されるまま、例のくじを引く主人公イセキン。しかしレアリティはノーマル。神にやり直しを懇願しようとするが、そのままのスキルをもって現代に転生してしまう。
イセキンはキレた。
「はああああ!?!?!?!なんでノーマルのまんま転生してんだよおおおおぉおおお!!!」
「わあ、びっくりした……目が覚めた!?タ……タカオが目を覚ましたわよ!」
「ん?その声は母さん……?」
ガバっと抱きつかれる。母さんに抱きつかれるのなんて何年ぶりか。
そうか、おれは事故って入院したときの病院にもどって来たのか……
「ん……これは?」
頭にかぶっていたのは、ヘルメット状のもの。
頭全体を覆う何かがあった。
「お兄ちゃん!!!!本当に目を覚ましたのね!良かった!」
妹が病室に入ってきた。
「うう……なんか頭についてるんだが。これは?」
「これはね、VR治療のマシーンよ。お兄ちゃんは植物状態だって先生に診断されたんだけど、最新の治療でVRを使ったの。お兄ちゃんに仮想の世界を見せて、脳の活性化を促していたの」
え……VR治療そんなもんがあんのかよ……いや、ってことは、いままで冒険って、全部仮想の……ゲームだったてのか?まじで?
目から熱いものが流れるのがわかった。
泣いている?俺が?
まさかゲームで?はは。
ベッドから起き上がり、VRヘルメットを脱ぐ。
そして、まじまじと2人を見る。
妹はちょっと大人びていて、母さんはすこし老けたように見えた。
「大丈夫?お兄ちゃんもう、3年も昏睡状態だったから」
「え、3年……」
たしかに、それぐらいは時間がたってもおかしくない冒険をしてきたように思える。
なんだよVR治療。すごいじゃん。っていうか続きをやらなきゃ。 パレシアに会いたい!
と、突然、ベッドの上に魔法陣が繰り広げられた。
青白く眩い光が病室全体を照らす。
「あれ?これなんか見たことがある……たしか転移アイテム『テレポ』?」
ズギューーーーーン!
けたたましい音とともに、赤髪の女の子が俺の腰の上に現れる。
ちょうどベッドの上で、お互い向き合って女の子を抱っこしているような状態になった。
ちょっと待てこの体勢、エッッッッッ
「ロ……っていうかお前は、ツァラ!」
「ギャーーーー!!!誰?誰?あんた?看護師さーん!」
母さんと妹が大パニック。まあ無理も無いだろう。
「で……ここまで何の用だ」
腰の上に乗ったツァラに平静を装い話かける。
「ようやく会えた!イセキン!」
ぎゅうっと抱きしめられる。
ああ、またこの胸の感触を味わえるとは……
なんだ異世界の冒険はVRの中の物語かと理解するところだったが、違うのか!?
「いや、感動の再開は後にしよう。大変だぞ。パレシアがアナムネで大暴れだ。世界が大混乱になっている」
「は?なんで?」
「多分お前が居ないからだ。自暴自棄になっちゃってる。早く止めないと!さあ行こう!アナムネへ戻るんだ」
ツァラが俺の手を引っ張る。
「お、お兄ちゃんどこへ?」
妹が言う。
「わりいちょっと行ってくる」
「い、行くってどこへよ?」
「異世界だよ!さあ《ライブ》の準備だ!」
終
――[作者コメ]
物語はこれで終了です。
次回は設定資料をUPして、それで全話終了とします。




