46話 伏線の回収
【前回までのあらすじ】
魔王パレシアと協力して、裏ボスであった先代魔王キネシスを倒した主人公イセキン。しかし気がつくと見覚えのある場所と、聞き覚えのある声に呼ばれる。
「タカオよ」
「だれだ?」
「神です」
「神?」
「あなたはたった今、死にました」
「は?いやいやいや。無い無い。無いよ!そんな……」
「見てください。あなた死を仲間が悲しんでいますよ」
神が下を指さすので目線を下げる。
目に入ってきたのは、ついさっきまで居たメーロン城の玉座前、横たわっている俺の姿だ。
「イセキンどうして!?ああああ。私はまたも仲間を失ってしまった!!」
ツァラ……
「ニャアああ、イセキン目を覚ましてニャアあ!うわーん」
ネコ子……
「タカオ!!!どうして!?あああああああ」
……仲間が、なによりパレシアが悲しむ姿なんて見てられない。
「パレシア様。ひょっとしたら『エクスカリバー』は本当に存在したのかも知れませんぞ。」 じじいのペリオリが説明を続ける。
「パレシア様とイセキンの合体技は、黙示録にある聖剣そのものの威力でした。でなければ先代魔王キネシス様のあの魔力を跡形もなく消し去ることはできないでしょう。魔王を滅する聖剣、それを抜けるのは、勇者だけ。」
「……余は、勇者イセキンに祝福を与えた。死する祝福だ」
「はい。エクスカリバーの抜刀を見たパレシア様の祝福が発動し、イセキンの命を奪ってしまったのでしょう」
「なんてことを……私は……」
なるほど、実はエクスカリバーは俺の『天穿拳』だった。そこにパレシアの死する祝福が発動しだから俺は死んだのか……。エクスカリバーがこれまで見つからなかった謎、キネシスを一撃で倒す程の力、聖剣を抜けるのは勇者だけというギミック……。いやいやいや!そんな伏線回収どうだっていい!
「おいおいおい、待て待て、最悪じゃねえかよ!神様よ!」
俺は神を睨んだ。そうだ、俺は今すぐに戻りたいその気持でいっぱいなんだ。
「さあ、輪廻転生です。次は、あなたが居た世界、日本です」
そういって神は『くじ』を俺に差し出す。
!?
予想外の神の言葉。あれほどまでに異世界に戻りたかったのに……俺の気持ちは大いにぐらつく。
「ぐぅぅう……それちょっとめっちゃ複雑……でも!この状況でもとの世界に転生なんかできない!やっぱり、パレシアの元に戻らせろ!」
「で、あれば霊体となって永遠にこの世を彷徨い続けるのですか?それもまた良いでしょう。……ですが、あなたには未練があるように見えますね。未練は地縛となり彷徨う霊体の範囲が制限されます。」
「いいよいいよ!わーったよ」
神の説明を遮る。
「引けばいいんでしょ。引けば、幽霊なんてまっぴらだしな。」
パレシアの元に戻るのは諦めた。こいつに何言っても無駄だと思ったからだ。ここでグズって、本当に地縛霊にでもなったらたまったもんじゃない。
慌ただしく、例の『くじ』を引く。
【N】の文字
ないないない!ないわーこれ。やり直しだこれ!ガチャでノーマルで始めるバカがどこにいるよ。幸い(?)むごたらしい死に方を俺がしたわけじゃないしな。こりゃリセマラするっきゃないぞ。
「あー神さま?リセマ…」
は!っと目が覚める。眩しい……
知らない天井が見える。ここは……どこ?
どこ?どこっていうか……っていうか!クジは?クジ!?
だんだんと状況がわかってきた。
「はああああ!?!?!?!なんでノーマルのまんま転生してんだよおおおおぉおおお!!!」
【次回予告】
最終話:魔王の大暴走!世界が破滅!?
――[作者コメ]
いよいよ次回最終回です。それまでに次回作を投稿したかったけど。無理っぽいなあ。




