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40話 俺と魔王の謝罪会見!始まる

【前回までのあらすじ】

亜空間を利用し、ギリギリ剣士メーロンの攻撃を避けきった魔王パレシア。しかしひどく憔悴仕切った様子のパレシア。急ぎ魔王城へ転移する。

――魔王城。

 ここは魔王の玉座前か。隊列を崩さず、ズラリと並ぶ魔王軍の兵士たち。見ると様々な種族存在していることが解る。パッと見ただけでも屈強な戦士ばかりが勢揃いである。


「ぐあ……ハアハア、うっぐ」

「救護班よ、魔王様は超級の衝撃波と、極大冷却魔法アブソリュートゼロをわずかに受けてしまわれた。故に物理と魔法の治癒を」

 魔王城に駐在しているのであろう、救護班がざざっとやってきて魔王は、担架で運ばれていった。

「そして、魔王全軍に告ぐ。《ライブ》を見ておったか?メーロンが裏切った。

 魔王城にやってくるかもしれん。警戒レベルを最高の『勇者』にまで上げるのじゃ。不審な動きがあれば、すぐにワシまで報告せよ」


「ペリオリ……助かったぞ。礼を言う。」

「勿体ないお言葉。魔王様を守ることは、配下として当然の務めですじゃ」


「私からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう」

 深々を頭を下げる、ツァラ。そして俺。

 ゲームならここでクライマックスという魔王城、玉座前。ここで心からの感謝をするなんて。


「パレシア様をたぶらかし、ついには我々を破滅へと追いやるとは。なかなかの策士よの、流石は勇者……といったところか。見よ魔王城の慌ただしさを。本来であれば勇者襲撃に向けた警戒レベルなのじゃが、まさかこの警戒を勇者ではなくメーロンへ向けるとことになるとは…」


「いや、決してそんなつもりはなかった。俺もパレシアもただ人魔間の戦争を終わらせるために尽力した結果なんだ。パレシアにだけ戦争の終結を認めさせても、また戦争を繰り返す。その輪回を止めたかったんだ」


 その言葉に、ツァラはうつむく。

 わかってほしかった。誰かを騙そうとしたとかそういう気持ちは一切なかった。


「ふははは。もう良いイセキン。お前はパレシア様がみそめたお方じゃ。それを認めるのもまた配下の務めじゃ」

「……ありがとう」

「しかし、事態は深刻よのぉ。築き上げてきたアナチューブでの視聴者数がここでガタ落ちじゃわい」

「すまない。完全に俺の不注意だ。まさか《ライブ》をしっぱなしでネコ子が散策に行くとは思わなかった」

「良い良い。済んだことじゃ。それよりこの大炎上を鎮静化させるためには、素早い謝罪会見が必要じゃろう。パレシア様が回復次第、魔王城大広間にて会見を行おう」


 ……絶句。


 無言でコクンと1度だけ、うなずくしか術がなかった。


「諜報班よ魔界のマスコミをすべて呼べ。魔王様が回復次第謝罪会見ライブじゃ、アナチューブのホーム画面枠も確保しろ」


「私は……その謝罪会見を見せてもらう。イセキンを信じられない気持ちと、信じたい気持ちが複雑に絡んでいる。暫くひとりになる時間がほしい。そして中立な気持ちで会見を見届けたい」


 ツァラ……少なくともまだ仲間で居てくれる可能性があるだけでもありがたい。

「わかった」


「さて、イセキンよ。謝罪会見の段取りを整えようか」


◇◆◇◆◇◆


 さすがは魔王。パレシアの治癒力は凄まじく。翌日には会見を開けるまでへと回復した。

 ペリオリの段取り通り、俺たちは《ライブ》を見る視聴者を刺激しないように、黒を基調とした服装へと着替える。


 そして、目の前には重く大きな扉。覚悟を決めてドアを開け会場に入る。

 ぎっしりと入った魔界のマスコミたち。

 意識しないようにとただ前を向き会場を進む。


 俺はパレシアの方を向き、パレシアは俺の方を向く。目があってお互いに軽くうなずく。


「この度は、世界の皆様をお騒がせして大変申し訳ございませんでした!」


 深々と、そして長く頭を下げる。

 2人での合同練習はしていない。そんな時間もなかったし。それどころか禄に2人で話すらしていない。

 それでも申し合わせたようにセリフから動作まで魔王とピッタリ息があった。


 パシャパシャパシャ!

 フラッシュやシャッター音が鳴りやまない。


 どれほどの時間がたっただろうか、頭を上げる。

 パレシアがマイクを手に取り、神妙な顔で説明を始める。


「まず、私どもの個人的なことにつきまして、皆様にご足労いただきましたこと、お礼申し上げます。ありがとう御座います。

 さて、この度の私どもの行為、そして発言につきまして、経緯をご説明いたします。」

【次回予告】

パレシアは、イセキンとの出会いから、惹かれる心と体。そして流出までの経緯をすべて話す。果たして魔族の理解は得られるのか?

次回、第41話:悲しみと憎しみの輪廻

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