39話 避けきれるか!?絶対零度の極大衝撃!
【前回までのあらすじ】
裏切りの配信師ネコ子。《ライブ》による100万倍に威力が上昇したネコパンチを防いだのは、聖騎士ツァラだった。さらにそこに現れたのは魔王の側近であるペリオリ。今まで敵であったが今回はイセキンの味方となる。
「ティアマトよ、その力を俺に宿せ……!」
「ここでメーロン様!ティアマトの力を呼び寄せるニャ!あたりが冷気で包まれる。ハハハこれで人魔仲良く死ねるよ!良かったニャあ!?」
縮地を利用しまたも距離を詰める。
ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!
「パレシア様押される!流石魔界の剣王と呼ばれた男!パレシア様を追い詰めるとは!だがパレシア様涼しい顔、何かを企んでおられるか!?」
「相手の力を以てすれば、《ライブ》でいくら差がつこうとたやすく返せる。相手の慢心が虚をつくことになるのだ」
「ニャはあ!?魔王、イキがってんじゃねえぞ!お前防戦一方じゃねえか、糞が!その魔力を帯びた杖も、もう持たねえんだよ!!早く死ねよ!無様にニャあ!」
ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!
なおも、杖と大剣が激しく交差する。メーロンの連撃は止まらない!
「パレシア様、ネコ子の挑発にも乗らず、ここで冷静に詠唱を始める!」
「闇よ、森羅万象を乱せ。 《アンチフィジックス》」
ガキン!
詠唱が終わると、連撃は1回だけ響き渡り、その後メーロンの呻き声に変わった。
「ぬぐぅぅぅぅぅぅううううう!!!
「決まった!パレシア様の《アンチフィジックス》物理攻撃を相手に反射する、法則を無視した闇属性魔法であるぞ!これこそが柔よく剛を制すパレシア様の真骨頂!さあ、メーロンは大きくのけぞり、血飛沫を吹いた!冷気により凍る血は太陽光を反射させるぞ!」
「腐っても魔王ということか。見事な計画だ」
「きーー!ざっけんなよ!死ね死ね死ねニャ!一刻も早く死ね!」
「ならば、魔法と物理の一体攻撃ではどうかな?ぬぅん!」
「メーロン様が大剣を振り上げたニャ!クソ雑魚共に向けて放つ剣の衝撃波!周りを凍てつかせながら、まっすぐと魔王を狙う!ヒャッハー!これはティアマトが放った魔法 《アブソリュートゼロ》の効果!魔法と物理の一体技だニャ!オラ、反撃してみろよ腰抜け共!」
「パレシア様、これは不味いです!魔法物理攻撃を跳ね返す魔法はありませぬぞ!」
覚悟を決める。
今この状態で《アブソリュートゼロ》喰らえば一瞬で圧死するだろう。
その先に待つのは究極の静止。そして凍結。
「ぐ!!!!!」
――無音
究極の静止は音をも止めるのか。
ここはすでに2度目の死後の世界か?
恐る恐る目を開ける、しかし見えるのは闇のみ。
「ぐ……ハアハア……」
「パレシア様、ご無事ですか?」
「うむ。あれは危なかった。まともに喰らえば終わっていた……ハアハア」
パレシアとペリオリの声が聞こえる。
魔王の激しい呼吸の乱れは尋常ではない危機を感じさせる。
「な……なんだ!?ここは?」
ツァラの慌てる声がする。そうかツァラも一緒か、よかった。
「ここは亜空間。暗闇意外は何もない世界。そう、時間さえも届かない。だが……4人もここに連れてきたことは無いがな」
「左様、ツァラ、イセキン、そしてワシの4人を飲み込む亜空間発動は、パレシア様へかなりの負荷がかかる」
なるほど亜空間に逃げ込んだか。ここは時空が捻じ曲げられる。確かにここなら安全かも。
「ぐ……転移の魔法を……どこか遠くへ」
「ではパレシア様、戻りましょう魔王城へ」
そう言うとペリオリはクリスタルを地面に叩きつけ、転移のアイテムを使う。
「ツァラ、これは……いつか使っていた『エスプ』か?」
「いや違う、『エスプ』はダンジョンから抜けるアイテムだ。これは『テレポ』だ」
あたりは魔法陣に包まれてそして転移する。
【次回予告】
魔王城に戻った、パレシアとイセキン一行。キス動画流出について自体を重く見たペリオリは、魔界のマスコミを集めて、謝罪会見の実施を決断する。
次回、第40話:俺と魔王の謝罪会見!始まる




