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ステータスMAX勇者とエッちぃ魔王の異世界実況配信バトル〜俺と魔王のいちゃつき動画が流出しちゃって謝罪会見するハメに〜  作者: 綾野智章
第十一章 またまた魔王とイチャつくが、その様子が流出してしまう!
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35話 俺の鍋を食え!魔王!

【前回までのあらすじ】

配信魔法 《ライブ》を操るティアマトを撃破した主人公イセキンは、下山の途につく。

 下山は登頂に比べ、楽だ。とはいえこの高い山から降りるのに半日はかかる。

 昨日からロクに飯を食べていないということで、下山途中にランチを食べることになった。

「予想よりも激戦が続いたから、もうお腹ペコペコだニャ。でもせっかくの良いロケーションだし。視聴者の期待に応えられるように美味しい料理を作りたいニャ」

「うーん。一理あるな。こういう何気ない素の我々の姿もファンになってくれたほうが嬉しいな」

「お。なかなか面白そうな企画だな。じゃあ俺が料理するか!」

「マジかニャ!?そりゃ〜ちょっとたのしみだニャ〜」

「私もイセキンが作る料理が気になるな!」

「そうか、じゃあ俺が今から作るのは……鍋だ」


「ナベ?」

 どうやら異世界に鍋料理はないらしい。2人はキョトンとした表情。

 学生時代によく作った、俺でも作れる簡単な鍋料理。

「ここには、調味料としては塩ぐらいしか無いが、実はそれで十分鍋ができる。野菜や、きのこ、肉があれば良いんだが」

「野菜や鶏肉ならある程度持って来ているがちょっと足りないかもな。山菜や、きのこ類がないか探してこよう」

「ツァラちゃーん。ボクもついていくニャ!食材は多いほうが良いからね」

 なんて言いながら、まずはキャンプ基礎準備をテキパキと。

「よっし。じゃあ俺が火起こしから、下準備をしておくので、2人は食材を探してきてくれ!」

「了解!」

「わかったニャ!」

 そう言って2人は食材を探しに出かけていく。


 さあ、ここでいよいよ登場するのは、ファイヤースターター!

 ヒュードルの街で買ってきたこれがいよいよ役に立つときがきたぞ!


「タカオー!」

「うわっ!パレシア!めちゃめちゃ自然に出てきて、いいのか?亜空間じゃなくて?」

「いいじゃん、いいじゃん。あれ魔力の消費が半端ないし、今は誰もいないんだしさぁ」

 そう言うと俺の隣に腰を下ろして、ちょこんと座るパレシア。

 仕草がいちいち可愛い。


「ね、何をしようとしていたの?なんか面白そうじゃん?」

「あぁ、これはファイタースターターという道具を使って火をつけようかと」

「火?それなら私の《ファイア》で……」

「いやいや!パレシアの魔力は強すぎるんだから!ここ一体が燃えちゃうだろ!」

「ダメなの?」

「ダメだよ!鍋を作るんだから!」

 そう言ってファイアースターターをこする。

 ボッボッと火花が散る。

 ツァラに教わったように、乾いた木をナイフで削った繊維状の火口(ほくち)に火をつける。


「わーすごい!道具で火を起こすなんてできるんだね。ちょっとまどろっこしい気もするけど魔力を使って火をつけるより断然楽かも!それにちょっと楽しそう!」

「お!?ファイアースターターの魅力が伝わったかな!?」

「ツァラやネコ子さんが戻るまえだが、鍋の準備を始めちゃおう」

 油を敷き、手羽肉を鍋に入れ、焦げ目がつくまで焼く。

 次に塩と、鍋半分ぐらいに水を入れて中火で煮込む。


「あー。なんかいい匂いがしてきた」

「そうだろ?まあ、この手羽先はもちろん食べられるが、それよりも骨から滲み出るダシが鍋を美味しくするんだ」

 そこから、ムネ肉、根菜類を入れていく。

 ひと煮立ちしたら、白菜をドバッと入れて鍋に蓋。

「ちょっと味見を……ん。ちょっと薄いか」

 足りない塩加減を追加して完成だ!


 お椀に具材を入れてパレシアに渡す。

「わあ!美味しそう!いただきます!」

「食材を入れれば入れるほど鍋は美味しくなる。それぞれの具がそれぞれ旨味を引き出してくれる。2人が持ってくる食材を入れればもっと美味くなるはずだ。それが鍋の魅力だよ」

 フーフーしながら、パレシアは美味しそうに食べる。

「美味しい!」

「おー。口に合うようで良かった」

 異世界の住人で、それも魔族でも、元の世界の味が受け入れられるか心配だったが、杞憂に終わったようだ。

 俺も一口。

 パク

「あ、これはうまいわ」

 よほど腹が減ってたのか……それぞれ食材の味がしっかり出てて、塩が味を引き締めていた。素朴な味だったがそれがこの山の環境に適していた。


「そういえばお前な、さっきのティアマトはねえよ。あんなのほぼ神じゃん。強すぎるわ」

「あはは。いや〜あれぐらいの方が視聴者にウケると思って!」

「いや、冗談じゃねえよ。マジで死ぬところだったんだからな。しかも《ライブ》使ってくるとか反則じゃね?」

「んーでも、結果勝てたから良いじゃん?」

「良いのか?ってか、かなり残酷な倒し方をしてしまったが……」

「いいのいいの。ティアマトもまた復活するから安心して」

「それを従える魔王って……この世界でマジで絶大な存在なんだな。神を超える存在というか」

「あ、魔王の偉大さ。解ってくれた?嬉しい!こうやってタカオ仲良く喧嘩して力をお互い保っていければいいな……」

【次回予告】

パレシアと一緒に鍋をつつき、いい感じになったイセキン。そこで質問を切り出す「なぜ初対面で祝福をしたかったのか?」すると顔を赤らめて、こう呟く「キス……したかった……から」。だがそこに現れた招かねざる者の姿。

次回、第36話:メーロン乱入

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