3話 煌めけ俺の右手!転生ガチャで【SSR】スキルをゲットしたい!
【前回までのあらすじ】
暇つぶしに、ソシャゲのガチャライブ配信を見ていたタカオ(30)。自分も水着のレアキャラを引きたいと20連ほど回すが結果は振るわなかった。「くっそー!」と愚痴を垂れるも、出勤中にテンプレ通りトラックに轢かれて死亡してしまう。そこで出会った神からは転生を促される。タカオは如何にチート能力を手に入れるのか!?
「いいえ。輪廻転生。ご存知ないですか?命あるものすべてが通る道です。また例外はありません」
チッ。ちがうのか……
輪廻転生。
流石に知っている。
肉体と魂は別にあり、肉体が死んでも魂は死なない。そしてまた新たな肉体に宿る。
魂のルフランだな。
「輪廻転生って本当にあるんだな」
「そうですね」
「いや『そうですね』じゃなくて。っていうか戻りたいんだけど。前の生活に。
毎日クソゲーのようで楽しくなかったけど。家族が悲しむのは見てられない。それにまだなにかやり残したことがまだあると思うんだ」
「人生を続けることはできません」
「どうして?」
「というよりもう転生はもう始まっています。ほらあなたの足元から徐々に消えかかっているでしょう?」
足元をみると、きれいな透明度のグラデーションがかかるように、薄っすら消え始めていた。……あ、もしかして、だから幽霊は足が無いのか?あれ転生中だったんだ。
「さあ、次の世界での能力を決めますよ、この箱の中からくじを引いてください」
「くじとかマジか。ソシャゲのガチャかよ。冗談よしてくれ」
「ガチャ……まあそんなところですね」
ガチャ知ってるのか。伊達に神やってないな。
「だったら、リセマラさせてくれよ」
「リセマラ?」
「ああ、神さまなら知ってるだろ、ソシャゲでよくあるチート攻略法のひとつだ。良いガチャ結果が出るまで、何度でもリセットして、また引き直す。通称リセットマラソン。略してリセマラ」
「良いですよ」
「良いのかよ!」
思わずツッコんでしまった。言ってみるもんだ!
「人生を続けることはできないですが、戻ることは可能です。ただし死直前の行動までしか戻れません。そしてその運命は寸分違わず。正確に再生されます」
「つまりどうあがいても結果は同じ、必ず死ぬと」
「その通りです」
いやそれは無理だ……だって『ドン!ぐちゃボキボキブチ!ベキ』だぞ?
めっちゃ痛かったし。しかも20時間苦しむんだよな……
「さあくじを引いてください。そしてこの世への未練は捨てるのです。さもなければ能力がなにもないまま霊体となって、永遠とこの世を彷徨うことになります」
「あああああ、わかったわかった引けばいいんだろ」
真っ黒な箱の中に右手を突っ込む。
「ぬちゃ」
おいおい、めちゃくちゃ気持ち悪い感触だぞ。夜店で買ったスライムの生ぬるい版とでも言おうか。それが箱の中に波波と満たされている。でもって箱をもぞもぞと探してみたがなにも無い。
「何もねえじゃねかよ!」
と箱の中から手をだす。
「身体ステータスMAXですね」
「は?」
なんだよステータスMAXって。ゲームみたいな能力だな。
感触はなかったのだが、右手は「身体ステータスMAX」のカードをしっかりと握っていた。改めてカードを見る。そこにはレア度が書いていた。
「レア度【SR】……だと?」
「そうです。確率は【SSR】0.5% 、【SR】8%、【R】50%、【N】42.5%です」
「確率が表示されるとか、まんまソシャゲじゃねえかよ」
「で、どうですかリセマラしますか?」
「いや、止めておく。このままでいい」
「そうですか」
身体ステータスMAXが【SR】ならば悪くはないだろう。当然新作のソシャゲであれば【SSR】まで妥協はしないが、これは現実だしな。
なによりまたトラックに轢かれるのは嫌すぎる。リセマラの引き換えに、トラックに轢かれ続けるなんてただの地獄じゃないか。
「では転生してください」
【次回予告】
転生ガチャは妥協して【SR】でやめた主人公タカオ(30)。転生先では18才に若返る。これも身体ステータスMAXのチートの影響だろうか!?そこに現れる、赤・青・緑・黒・白の5色のドラゴンたち!
次回、第4話:異世界転生していきなりドラゴン5体!