表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/48

28話 山頂到着!ついにみつけた聖剣エクスカリバー

【前回までのあらすじ】

バスローブ姿の魔王といちゃつきながら、山頂で、初決戦とする約束をした主人公イセキン。しかし、仲間の聖騎士ツァラと、配信師ネコ子は知る由もなかった。


 「山の天気は変わりやすい。仮眠をとったら星が綺麗にみえるこの晴れの間に一気に山頂へたどり着きエクスカリバーを持って帰ろう」とツァラからの提案があった。気がつくと辺りはもう暗闇で、三日月がきれいに輝いている。


 山道での仮眠。

 ツァラの入念な山の準備はあったものの、夜の山は驚くほど冷える。

 少々荷物になるのを覚悟して、寝袋や防寒着までもってきた。しかしその装備を持ってしてもなお、冷気は否応なしに眠りを妨げた。


「さささ、寒い!寒すぎる!」

 俺の意反して、奥歯はガチガチと音を立てて寒さを強調する。

「うううううう、そそそそそうだ!ツァラちゃん!《ウォーム》をかけてほしいニャン!習得しているかニャ?」ガチガチガチガチ。

「なななななな、なんか体の芯まで温まりそうな魔法だな!そんな魔法があるのか!?」

「そそそうニャ……。魔法は敵を攻撃するためだけでなく、生活で使えるものもあるんニャ。寒いときに良く使われる魔法の代表が《ウォーム》なんニャ。熱々のスープをのんだときのように体がポカポカと熱くなるニャ。こんな防寒着なんて必要ないぐらいニャ」

「つつツァラ!早く《ウォーム》を!寒くて死にそうだ。」ガチガチガチ 。

「うむ。そうしたいのは山々だがな、この山では魔法が封じられているのを忘れたか?」

「あああああ!そうだった……」

 肝心の山の設定を忘れていた。寒すぎて正常な思考ができなくなってしまっていたのか……くそ〜〜ぉ。こんなギミックをつくったパレシアが憎い!

「ま、無いものねだりは諦めて寝よう。これも修行のうちだ!」

「うわーん。ツァラちゃん意識高すぎるニャ。こんなの修行じゃないニャ。ただの地獄ニャ!《ウォーム》欲しいニャ!!!」

 俺たちは互いの奥歯が重なる音を聞きながら、寝るに寝れない一夜を過ごした。


 まだ夜が明けきらない早朝、荷物は一旦ここに置き、身軽にして山頂へ向かう。


 辺りはまだ暗い。

 道はゴツゴツとした岩肌を見せている。

 気をつけて歩かないと転んで怪我をしてしまいそうだが、なんせ眠い。そして寒い。状況としては最悪。こんな状態でパレシアとの戦いが頂上で待っているとは……


 ただ夢中で。ハアハアと息を上げながら歩いた。

 夜空はだんだんと白んで来て、朝が近いことを予感させる。

 そして――


「うっわ〜、これまたすっごい絶景だニャー!皆さんご覧ください!ボクこんな景色みたことないニャー!」

 眼下に広がるは雲海。ネコ子の言う通り絶景だ。雲よりも高い位置に居るにもかかわらず、この白い海は大地を隠し、まるでこの場所が低いところにあるかのような錯覚すらある。


「お、おい。もしかして、あれが……」

 ツァラが息を飲む。

 朝日を反射する眩しい光。


 言葉を失うのも無理はない。今まで姿をみることがなかったエクスカリバーが、たった100メートルほど先にあるのが見えたからだ。

 ただし、それは魔王が仕込んだもので、偽物ではあるのだが……


「あったあったー!あれがエクスカリバーじゃニャいの!?すっごい!!!」

 ネコ子が興奮ぎみに実況を始める。

 イセキンTVのコメント欄も賑やかだ。


『もっと近づけ』だの

『早く抜け』だの

『魔王を倒せ』だの

 言いたい放題。

 中には『本当に本物なのか?』といったドキッとするコメントも流れてくる。ま、無責任に言いたい放題いってりゃ、誰かの予想は当たるもんかもな。


「おお!御覧くださいパレシア様!あれはエクスカリバーではございませんか!?」

 突如声が上がるじじいの声。

 来たか、魔王一行め。


「ほう。あれが聖剣エクスカリバーか。こんなところにあったとは意外だな」

 しらじらし〜い……

 パレシア、お前が仕込んだ剣だろうに。


「く……魔王!やはりここにやってきたか!みんな、気をつけろ!」

 ツァラが身構える。


「タカ……イセキンよ。さあ、聖剣を抜くがよい。見事抜いた暁には褒美をとらせよう」

 あ〜!今、タカオって言いかけたよな!本名は二人だけの秘密っていったじゃないか!んーまあいい、お芝居を始めるか……


「馬鹿な!俺が剣を抜くと死ぬ呪いをかけたのはお前だろう。魔王!」

「呪い?笑止。あれは呪いなどではない。祝福である」

「はあ?祝福だと!?笑わせやがって。言葉遊びをしたいんじゃないんだよ!」


「ふ、無知なお前に呪いと祝福の違いを教えてやろう。呪いは例え術者がその場に居なくても効力を発揮するものだ。一方、祝福は術者が見届けなければ効力を発揮しない。貴様も家族や友達を祝福したことが一度はあるだろう。『おめでとう』と言葉を発する時、必ず目の前に対象者が居たであろう」


【次回予告】

ついに魔王パレシアと、イセキンの戦いが始まる!ボロ雑巾のように投げられるイセキン。そこにパレシアの魔法が襲う!

次回、第29話:今のは極大爆裂魔法ではない『ファイア』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ