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ステータスMAX勇者とエッちぃ魔王の異世界実況配信バトル〜俺と魔王のいちゃつき動画が流出しちゃって謝罪会見するハメに〜  作者: 綾野智章
第九章 魔王とまたイチャつき。そして新たな提案「ドンとぶつかって後は流れで。」
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26話 全属性無効のベヒーモス!切り札は『空斬り』

【前回までのあらすじ】

主人公イセキンはさまざまな属性の剣技を使い、ベヒーモスを追い詰める!最後の属性攻撃「火炎斬り」を放ったその時、剣がぐでんぐでんに溶けてしまった。これではスポンサーから怒られてしまう!と咄嗟にベヒーモスを崖から落とし、その場をごまかす聖騎士ツァラだった。

「ははは、いやーイセキンの灼熱の剣技は相変わらずの温度だなあ。あハハハ」

 棒読みの乾いた笑い声と共に、ツァラがものすごく冷たい視線が俺に向けられる。

「そ……そうだニャ。なんたって剣が溶けるぐらい熱いんだなんてよっぽどだニャ」

 ツァラとネコ子凄まじい、剣へのフォロー。

 イセキンTVのコメントを見ても、『俺の炎の温度が熱すぎる。』という解釈でコメントが流れていた。よかった実は剣の方が熱に弱いなんて気づいていない。セーフ。セーフだ。商品のディスりにはなっていないぞ!


 刹那。

 ズオン!と巨体が崖から突如現れ、突進してくる。


「早っ!」

 ツァラと俺は派手にふっとばされる!

 やられた!突進をまともに食らってしまった。

 それはまるでB級映画のワンシーン。激しく岩へぶつかるも、作り物のセットかのように粉微塵に吹き飛んだ。が、それに全く見合わぬ激痛が俺を襲う。

「うごふ!!ぐ……は!あ……ありえない。ドラゴンを倒した技だぞ!?ベヒーモスが《ライブ》をしている様子もないし、一体なんでだ!?」

 俺は体に降り注いだ岩や砂をかき分け立ち上がった。体中がジンジンと痛い。


「え?うそ!効いてない!全く効いてないニャ!イセキンの剣技、そしてツァラちゃんのダメ出しノックバック攻撃によって、崖底に落としたのに……全く効果がないってこと!?ツァラちゃんは?無事かニャ!?」

 岩の残骸から声がする。

「あ……ああ、無事だ。しっかし、この鎧のおかげだな。これは物理攻撃を25%軽減してくれる鎧だ。こういったパワーだけが取り柄のモンスターには非常に心強い防具だな。もちろんホルドマン系列の店舗で購入することが出来る。この鎧がなければ一撃でやられていたかもしれん」

 ツァラはこんな状況にも関わらず、すかさず商品を褒める。


「いやそんなことよりイセキン。こいつは属性無効化の効果がかかっているかもしれないぞ」

「属性無効化!?」


「ああ、通常は単一属性を無効化させるのが精一杯だが、このベヒーモスはどう言うわけか、全属性の属性無効効果がかかっているようだ。崖から落としても効果がないってことは物理攻撃すら耐性がついているようだ。通常そんなことは出来ないが……そうでなければあの攻撃を防ぐ説明ができない」

「ツァラちゃんからの推理が光るニャ!物理攻撃と、全属性が無効化……ってことはボク達に残された攻撃は無いないってことかニャン?」


「いいや、もう1つだけ属性が残ってるぜ!」

 俺がオークのブタに咄嗟に放ったあの技。あれはどの属性にも属していない!

「え?…というと?っとぉ答える間もなく、イセキン君!ぐでんぐでんに溶けた剣を持ったまま勢いよく飛び出したぞ!しかし、ベヒーモス、すでに行動を見きっていたのか、攻撃に合わせ突進してくるぞ!勝算はあるのニャ?」

「そんなに突進したいなら、させてやるよ!消滅の壁になぁ!」


 カッ!!!!


 俺の放った斬撃はまるで巨大な壁ができたかのように、広域の軌跡を放ち、ベヒーモスの突進にぶち当たる!


 斬撃は空間そのものが消滅した無の世界。

 無くなった空間は元に戻そうと力が働き結果、時空が歪む。失った空間と時間の歪みはエネルギーへと変換され解き放たれる。その時に発生する衝撃は想像を絶する。

「眩しいニャ!そ……そうか!残る属性といえばイセキン君だけがもつ消滅属性!これは……その威力ニャのか……どわああああ!」

 爆風は容赦なくネコ子をふっとばす。

 歪んだ空間のゆりもどし。弩級の衝撃波が辺りを襲う。

「うううう。相変わらずすごい威力だな!これは……」

 なんとか体勢を崩さずキープするツァラ。


 ゴゴゴゴゴゴ……


 衝撃波はあくまで副次的なもので攻撃の主体ではない。だが恐らくそれだけでも中級の魔物は消滅するほどの威力があるだろう。

「名付けて、『空斬り(くうぎり)』!」

「く……空斬り!」

「そう!物質ではなく空間そのものを切り裂く消滅属性の剣技ってとこだな」

「実にシンプルな名前だな」


 そういうとツァラはベヒーモスの巨体を見上げる。

「……その空斬りのおかげで、なんとかベヒーモスは倒せたな」

 ベヒ―モスはかなり盛大に無の壁にぶつかったらしい。首から先、ある筈の頭がどこにもなく、切断面からはどす黒い血が流れ続けている。


ベヒーモスは完全に沈黙した。

「ニャッハー!みてみるニャ!イセキンTVの視聴者数!ついに60万ビューを突破だニャ!」

 ピンチになればなるほど視聴者数が上がっていくのは皮肉を感じるな……

「ほら、イセキン君、みんなにちゃんとお礼して!」

 といってボードを俺に向ける。

「あ、ああ。皆さん、お…応援よろしくです」

「いや〜もうちょっと気の効いたコメントしないと視聴者数が伸びないニャよ〜イセキン君!」

 そしてバン!と俺の背中を叩くネコ子。そんなこといきなり言われても実況なんかしたこと無いし。俺に視聴者とのやり取りはハードル高いよ……


「うむ。しかし困ったな。イセキンの剣が朽ち果ててしまったぞ。」

ツァラがそう言うので、剣の刀身を見る。すると言う通りぐでんぐでんの剣はバッキバキにひびが入りボロボロになっていた。

【次回予告】

なんとか倒したベヒーモス。安堵もつかの間魔王パレシアがやってきた。が、魔王の姿は風呂上がりのバスローブ姿。目のやり場が困る!

次回、第27話:魔王パレシア、バスローブ姿で登場!「いいよどこを見られても」

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