17話 解析不能!?消滅属性は圧倒的!
【前回までのあらすじ】
水見式属性識別法を試そうとする主人公イセキン。そこに現れたのは配信師ネコ子。イセキンへお手本を見せてあげんとばかりに、グラスに手をかざし少し力を入れる。
「ふん!」
という掛け声とともに、水が半分以上減って、若葉がググっと成長。
そして若葉は葉となり、枝が生え、そこから緑色の実が生った。
「おー!すごい!この実は…?」
「えへへ!実は水見式につかう若葉。ボクの好物のマタタビなんだよね。マタタビは成長が早過ぎず遅過ぎず。水見式に適した素材の一つなんだ!」
そう言うと水見式で育ったマタタビをくんかくんかと匂いだした。
「う〜ん。うっとりにゃ〜。この匂い。すーはーすーはー」
「へ〜、水見式の若葉はマタタビを使うんですね。知らなかった」
「マタタビじゃなくても成長が早いすぎず遅すぎない若葉ならなんでもいいんニャけどね。でも木属性の成長が見やすいのはマタタビかな。さて次はイセキン君の番ニャ」
そう言うと、新しい水見式グラスが目の前に置かれた。
「お、始まるのか」
「なんかやっとるぞ」
「ちょっと見ていくか」
と、ぞろぞろと他の冒険者が集まりだした。
そりゃこれだけネコ子が元気に騒ぎたててればギャラリーも集まるか……
「じゃあ、やりますよ」
といって自撮り棒をネコ子に返す。
「さあ、皆さん!始まりますよ!静粛にするニャ!」
ネコ子の掛け声で静まる館内。注目されるのが解るの逆にやりづらい……
「ふーーーーーー」
と深呼吸。
「(さあ、大きく深呼吸を1つ。一体なに属性ニャのか注目ですっ)」
ネコ子の実況は続くが、さっきまでの元気な声ではなく、俺に配慮してくれているのか、ヒソヒソ声のトーンに変わっている。むしろそれぐらいの雑音がある方がありがたい。
自分の手のひらの温度を自分で感じられるように……ネコ子に教えてもらったように魔力を高める。
「(おぉ〜、だいぶ集中力が高まってきたようですよ。ここらへんでコップの水に変化が起こっても良さそうニャンですが……まだ変化はありません!
い……いや、ちょっと待ってください!イセキン君の手が光出しました。といってもコレは光属性の光では無いものニャ。ほんのりと青色を帯びているニャ)」
「お……おい。あれって」
「う、は。ありえねえ」
ん?なんか周りがざわつき始めたぞ?
「(ニャニャ!……これはエーテル化?魔圧を極限にまで高めなければ魔力はエーテル化しません。それを掌で……信じられません!こんなの初めて見ました!さあどこまで魔圧が高まるか!注目ニャー!!)」
そして……
パン!パリーン
と、破裂音。
「おーーーーっとここで、グラスが割れてフィニッシュ!あれ?水が無いニャ。なんだ?この現象は?さあ、受付君!判定の結果は!?!?」
「え……と」
受付君の《アナライズ》その結果は俺も気になる!
しばらくの沈黙のあと、口を開く。
「レ、レベル12です!」
カウンターに前のめりになってたネコ子は、ガクっと態勢を崩す。
「いやいや、そこじゃなくて」
「……それ以外のことは、何もわかりませんでした」
「ズコーーーー!ニャにもわからない!え?光魔法 《アナライズ》を持ってしてもわからニャいってぇどういうこと!?!?」
「基礎ステータスはレベル以外は靄がかかっているようで見えなかったんです。そして、水温・輝度・若葉はすべて変化無しでした。なのに急にグラスが割れて……《アナライズ》で鑑定できなかったことなんて初めです。魔力がエーテル化し始めていたので恐ろしいほど魔圧が高いことはわかります。でもそれだけに、何かしら変化が起きてもいいはずなんですが。」
「いや、ありえニャい!ありえニャいです!エーテル化するほど強力な魔圧を持ちながら、鑑定でき無い底知れぬパワーを秘める新人君!その名前はイセキン!こりゃーびっくりニャ!
……っと!!コメントに面白い情報が来ているニャ!なになに『消滅属性じゃね?』『消滅属性ワロタ』などなど……消滅属性とは一体なんニャ!?」
ネコ子のテンションが高い。それにしても『消滅属性』ってのはなんだRPGの世界でも聞いたことはないぞ。
「コレが消滅属性……確かにそうかも。魔法大学の魔法史で教わりましたね……」
受付君が口を開く。
【次回予告】
消滅属性の存在に、湧くギルド。それをなんとかいなして、主人公イセキンは自分の動画配信チャンネルの解説手続きを進める。
次回、第18話:『イセキンTV』と『オーク兄弟の初狩りチャンネル』




