14話 魔王と俺2人の秘密!ステータスが丸裸!
【前回までのあらすじ】
辺りが闇に包まれ、突然現れたのはエッチな魔王パレシア。危機を感じたのもの束の間、主人公イセキンにキス攻撃。さらにドサッと倒されていちゃいちゃが始まる。いい感じになったことをいいことにイセキンは人魔間の戦争をやめるようにお願いする。それははあっさりと受け入れられる。対してパレシアからもお願いがあるという。聞けばエクスカリバーを探す体で戦い続けて欲しいというのだが……
「探す体って……『戦いを演じる』ということか?でも、本当にエクスカリバーが見つかったらどうすんだ?」
「ああ、それなら大丈夫。だってエクスカリバーなんかこの世に存在しないから。探すだけ無駄よ」
「え?マジで?」
「うん。そうだよ。『オーバーアイ』このアナムネの全てを監視することができる魔王だけのタレントスキル。これでわかっちゃうんだぁ。あ、これは2人だけの秘密だからね!ペリオリだって知らないんだから」
「わかった秘密は守るよ。て、ことはエクスカリバーを探す体で《ライブ》を続ければ魔王の力を保ったまま、人間界との均衡が保てるというわけか」
「うん、当分は。けど魔族が人間界を積極的に攻めないことに、魔界のフラストレーションは溜まっていつか爆発すると思う。そうしたらまた同じ戦争を繰り返しちゃう。でも良いんだ〜。今はイセキンと一緒ならそれで」
「そうかもな。今のところはそれで」
今は根本解決には至らないが、とりあえずはそれでいいか。パレシアの意見に賛成だ。
「じゃあ決まり!」
という言葉と同時にまたも魔王からキス攻撃。
「うふふ。じゃあねイセキン。この亜空間は魔力の消耗が激しいの、魔力が切れる前に魔王城に帰らないと」
名残おしそうに頭をもたげる。
「うん、わかった」
「あ、そうだ」
1度上げた頭を俺の胸に落とす。
「そういえば自分のステータス知りたがってたよね?私わかるよ?」
そう言うとパレシアは俺の胸の中で目を瞑り、何かが見えているかのようにステータスを読み上げる。
「LV12/ HP:999999/ MP:999999/ STR(力):99999/ VIT(体力):99999/ DEF(防御力):99999/ MND(魔力):99999/ DEX(器用さ):99999/ AGI(敏捷性):99999/ LUK(運):99999」
おおお!すごい。何もかも丸裸にされている気がする。
さすがは魔王といったところか。
「ドラゴン5体とオーク2体を倒してるからレベルは少し上がってるけど、それでもすごいね。私より高い数値。ちなみに属性は全属性持ち、かつ全属性耐性。各属性値も全て数値はカンスト(カウンターストップ)状態。スキルはレベルの低さからか初歩スキルしか使えないものの、どんな属性でも自由に使えるし、ステータス通り威力は絶大」
「すっげ、やっぱり全部カンストだ」
あらためて神に感謝。いやむしろこの場合、俺のガチャの引きに感謝というべきか。
「あれ?もっと面白いことも解っちゃった」
「ん?なんだ?」
「名前:タカオ/職業:勇者」
え?職業勇者って……俺本当に勇者なんだ。
「イセキンって偽名だったんだね。勇者さま(笑)」
「いや、別に隠してるわけじゃないんだけど。言うタイミングがなかったというか……」
「ふーん。じゃ今度から私、2人きりで会っているときだけ『タカオ』って呼ぶことにする!これも、二人しか知らない秘密ね!」
「なんでもいい、パレシアがそれで満足なら」
「ふふ。じゃね。もう行かなきゃ」
そういうとパレシアは立ち上がり、ニコッと俺に笑みを向けた。
「風よりも早く。我思う地へ、我が身を転移させよ。《テレポート》」
魔法陣が包むと同時に、彼女の姿は消え去る。
するとあたりの闇は、スーっと晴れた。
「おい、イセキン!どうしたんだ、ニヤニヤして、大丈夫か?」
「あ?ああ、すまない」
バンバン!と両手で頬を叩く。
いかんいかん!パレシアの仕草が可愛くてニヤついてしまった。
夕焼けは変わらず俺たちを照らしてる。時間はそれほど経っていなかったようだ。
順調にいけば、日が落ちる頃にはヒュードルの街に到着するだろう。
【次回予告】
無事ヒョードルの街までやってきた主人公イセキンと聖騎士ツァラ。最初の街に入ったらさっそくギルドに登録だ!そこに出された、水が入ったグラスが一杯。水面には若葉が浮いている。あれれこれってまさか!?まさか?
次回、第15話:念の為!ギルドで試す水見式属性識別法!




