第一話 プロローグ
「ここは……どこだ?」
気が付けば、白い空間の中にいた。
そこは明るく、何やらフワフワとした感覚になる場所だった。一体ここはどこだ? なぜ、俺はこんな所に居るんだ?
俺は、青海一馬。19歳の男だ。何の取り柄もない、ただ男というだけの生き物だ。19歳って大学か専門学校に行っているというイメージはあるだろうが、残念ながら俺はそのどっちにも属していない。俺は高校を2年で中退し、それから約2年間、ひきこもりの生活を送っている。だから、生活自体は単調そのものだ。起きると、PCでネット小説を読み、飽きたらテレビを見たりゲームをしたりする。両親は共働きであるために、メシは大体冷蔵庫の中に作っておいてある。腹が減ればそれを食う。
基本的に夢も希望もない生活だ。将来のことを考えると、頭が爆発しそうになるので、なるべくそれは考えないようにしている。
話を元に戻そう。
で、一体ここはどこなんだ? 確か昨日は3時ぐらいに寝たはずだ。明るい気配で目が覚めたらここだった、というわけだ。一瞬、昼まで寝てしまったか、と思って焦ったが、そういうことでもないらしい。
キョロキョロと周りを見渡していると、突然空から白いローブを着た女性がフワリと俺の許に降りてきた。彼女はニッコリと、優しそうな笑みを浮かべて俺に話しかけてきた。
「青海一馬さんですね?」
「うう、え、あ」
言葉が出てこない。何せ、女子と話をするのは中学1年生以来だ。あまりに突然のイベントで、しかも見目麗しい美少女だ。なんて話をしていいのかパニックになるのは、わかってもらえるだろうか。俺はコクコクと彼女に向けて必死で頷く。そんな俺に彼女は、再び優しい笑みを浮かべながら、衝撃の一言を俺に放った。
「あなたは本日、お亡くなりになりました。ここは天上界です」
……え? 死んだ? 何だ、それ?