4-1
おくれすぎました。すみません。
つづきです。
永栄はキレていた。
「この、クソがぁ!! ……」
「永栄君……」
「これ見てくれよ」
永栄は自分のペンキだらけになったチャリの画像を見せた……。
「うぅっわぁ……こりゃないなぁ……」
もう、見るも無残なペンキでドロドロになったチャリの姿だった……。
「こりゃヒドイってレベルじゃないな……」
「そうだろ? どうしようかなぁ……犯人とか見つからねぇだろうな……大体検討はあるんだけどな……」
「そうだな……」
話は少し前のこと……永栄が勝馬に連絡を入れてきた。
[クソッタレが最悪だ……勝馬、聞いてくれよ]
この様な……。
(何だろうな……揉めたか?)
[永栄君どうした?]
勝馬もメールを返した。
[俺のチャリがぁ~~!!]
[チャリ?]
そして現在。
「これ高かったのによ!」
「見るからにね、なんかギアが沢山付いてるし」
「そうなんだよ、高級品だぜ……」
普通に会話をしているがパソコンからの会話である。
前もそうだったが直接会うより楽で勝馬は、よくこの方法で友達と会話をする。
「こう言った、いたずらは、タチが悪いよな。陰湿で悪質で自己中心的で……」
「ふざけんなって感じだよ……こりゃ警察とか言っても意味ねぇだろうな」
「意味ないことはないかもしれないけど……ちょっと難しそうだな」
永栄は確かに高級な自転車を使っていた。永栄は勝馬ほどもパソコンに固執せずにアウトドアを楽しむことが多い。
その為かスポーツ用品に力を入れるようだ。
……と言うことは今回、かなりショックが大きいはずだ……。
勝馬が自分のパソコンを壊された時と同等と言えるだろう……。
「……」
何やら黙って勝馬は考えていた。
「ん? どうした勝馬、静かになって……」
「いやいや、いろいろ考えててな……これどうせ難波とか柏木とかじゃないの?」
「勝馬も、やっぱそう思う? だろうな……あいつらバレてないとか思ってんのかどうか知らねぇが、今は証拠も確証もねぇからな……」
まあ相手も多少は考えて行動する。まったく証拠を残さないように。
それに尚更、こんな適当なイタズラは証拠が残りにくいのだ……。
「確かにそれが問題だな……証拠なかったら何もできないよな」
「それなんだよ」
永栄は困っているようで「どうしようかな~」的な感じの顔をしていた。
また、こんな訳の分からない嫌がらせはどう考えても差別的な行為である。
それにもっと確信的な心当たりもあった。
「アイツら、本当に勝手だよな、どう考えても逆ギレだよな? ホント」
「そうだよ、規制が掛かったのもアイツらが原因だしよぉ……やっぱ勝馬もそう思うよなぁ?」
「うん、思うよ。勝手なことばっかりしやがってな……」
難波と柏木は今は勝馬や永栄と同じオンライン校に居るダメな生徒である。
要は、不良のようなものだ。
難波と柏木はどんな場所でも、ほかの人間に迷惑をかけてしまう幼稚な人間だ。それは、オンラインのネット環境でも……。
彼らにとっては遊びなのかもしれないが非常に迷惑な行為である……。
「アイツら永栄君が正しい事を言っただけで逆ギレしやがって……それで俺が通報したら規制が掛かって、アイツら通信ができなくなってそれでキレてんだよ……身勝手なヤツだな」
「そうだよな、俺、何も間違ってねぇよな。荒らしなんかやるから悪ぃんだよ」
「オンラインでさえ迷惑かけてたらどんな場所でもやっていけないだろうな、まあヤクザでもなってくれたらいいけどな……」
難波や柏木は何も言い返さないような人を見つけて、スパムを送ったり、連続電話を掛けたりしていた。
そして相手の反応を見ながらヘラヘラ楽しそうに笑って楽しんでいたのだ……。
直接、難波や柏木の行動を見なくても、その笑い声が聞こえる時点で、どうせ何かやってると言うことが分かってしまう嫌な合図でもあった。
永栄はそんな難波や柏木に注意をしたのだが、やっぱりそれが今回の事につながったようだ……。
「一緒の場にいたくねぇからな、アイツらみたいなのと……」
「ホントな……それと、問題は何か絶対の証拠がいるってことだよな」
「そうなんだけどよぉ……」
「ここは、俺にいい考えがある」
「マジで? どんな?」
「まあ普通なら後から証拠を作るって事は難しいだろうが、俺は普通じゃない方法ができるからな」
「マジかよ? 普通じゃない方法?」
「ああ、そうだよ……」
勝馬は色々と普通ではない物体を所有している。
その為、この時代のレベルの人間では到底不可能なことでもできる場合が多い。