3-2
つづきです。
まあ、このあたりからようやく話が見えてくるかもしれませんね。
人間の価値がどうとか..
日が落ちてから自宅に戻った水口は、さっそく知性指数について調べてみることにした。
「初めて聞くなぁ……そして気になるんだよなぁ」
水口は冒険感覚のようだ。自分にとって未知のことが気になって仕方がないのだろう。
(えっと、たしかソウルなんとか……)
水口は、ネットで“SQ”と検索した。
「……(静かだな……)」
時刻は午後8時ごろだった。部屋に聞こえるのは『ジーーー』と言った、コオロギのようなキリギリスのような虫の声と車が通りすぎる音が多少聞こえる程度だった。
季節は春と夏の間で多少、虫の声が聞こえる。
勝馬、同様家の中でパソコンを使うときは部屋を暗くしている。画面が光を反射すると反って見にくくなるし、また、暗い方が落ち着くのだろう。
そして薄暗い部屋で水口は変な座り方で机の椅子に座って(椅子の上で正座したり、あぐらをかいたりして)知性指数に関する情報をネットで調べていた。
水口がこの変な座り方をする時は比較的機嫌のいい時だ。
(やっぱこの座り方が一番定着するんだよな……ってなるほど、2070年ごろに発見されたって事か……って結構最近だなぁ)
知性指数の定義がされたのは比較的、最近の事である。
2000~2020年代は考えられてもなかった。
(“EQやHQといった様々な知能指数の要素を持っており、さらにそう言った知能指数の範囲を広げたものでもある”なるほど……)
知性指数はいろいろな知能指数の要素を持っているのだ。また、知能指数よりも範囲が広い。
知性は知能でもある。
また、知性指数は知能指数の範囲を広げたものでもある。
(要するに超ハイレベルな希少な上位の知能指数って事か……)
まあその解釈は間違いではない。確かに希少で普通の知能指数よりも数段上である。
(難しいなぁ……)
無理もない。難しいのは当然である。
(そんで一番知りたいのがSQが高いと、どんな能力があるか? って事なんだけどそれがあんまり書いてないな……)
ネットはいろんなことが出てくるが、しかし肝心な情報が届かない事が多いのだ……。
(まあそれでも適当に調べるか……)
それでも調べてたら多少は分かることもあるだろう。
(……まてよ、知能と知性って何が違うんだ? それに知能指数とは結局何が違うんだ?)
調べるにつれて分からない事が増えてきた。
(知能と知性は……?)
水口は検索した。
【知能とは……答えを出す能力。最初から答えがあるものに対して正確に回答を引き出す能力。また答えを出す速度でもある。マニュアルに従う能力。
知性とは……答えのないものに対してでも理性や感覚を支えとして答えを導き出すこと。また、その思考。明確な回答がないものの回答を考える力。】
この様な情報が出てきた。
(難しい! なんだこれ……分かんないよ……)
このような機械のような文字を読みたがる人間は勝馬ぐらいだろう。
水口は嫌いだったようだ。
(答えがなんだ?? 答えって何かな?)
水口は頭を抱えていた……。あまり理解ができなかったようだ。
そしてとりあえず置き換えて考えることにした。
(要は“知能”の「答えを出す」って事は、数学で言うと計算の答えを出すって事かな? で、それでそうだとしたら、つまり計算の速さ? みたいなことかな? マニュアルにも従ってるしな……だったら、数学で言ったら早く計算できる人が知能が高いってこと?……)
これは間違ってる訳ではない。すぐに計算が出来る人間は知能は高いと言える。
最も単純な知能のみであるが……。
(同様に国語でもすぐに文法を理解したり応用したりできることが頭がいいと言う事かな? で問題は、“知性”だよね。これは難しいな、答えのないものに答える? なんだそれ? 答えがないんだったらそれ以上何も考えることないんじゃないのかな?)
まあ普通はそう考えるだろう。答えがないのなら……。
(……これ分かんないな。分かるのは勝馬ぐらいか……まあそれはそれとして……)
もう、分からない事は飛ばすしかないようだ。
(“魂と言うだけあり、訓練で伸ばすことは困難”とな……伸ばせないんだな。訓練で……でもそれは知能指数もそうだよな。あんなの伸ばせないしな……)
IQ《知能指数》であっても、訓練で伸ばすことは難しいのだ。そしてSQなら尚更難しいだろう……。
(“SQの高い人間はIQの高い人間よりかなり少ない。希少な知能指数である”……まあそれだけ分かればいいか……要するに偉いって事か)
やはりあまり詳しい理解ができなかったようだ。仕方がない。そんなものだろう。
ネットを見ただけで全てを理解できる人間は少ないだろう。
(また今度、勝馬に聞くか……今日はもう寝よう……)
それが一番だろう。自分一人で調べて考えても限界がある。
事実SQの高い人間に直接聞くのが一番の近道だろう。
そして一方で、同時刻。
ここは永栄の家のチャリ置き場。
そして永栄は。
「なんだよこれ……クソッタレが!」
キレていた……。