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Perfect World  作者: M78星雲人(光の戦士)
第1章
4/21

1-3

つづきです。


[おお久しぶり!]

[ってちょっとしかたってないよ…]

[最後に話したの前の金曜か]


 水口とは勝馬の昔からの友達だ。

 水口が文字チャットで連絡してきた。


[オンラインは平和でいいよな]

[ホントね、でもどうして?]

[いやさっきさ、昔の学校のサイト見ててさ…もう嫌気が出るからさ、サイト見てるだけで…]

[…ああ、なるほどね]

[だから平和だなぁ…と思ってな]


 別に授業中でもチャットで話すぐらい大して問題はない。

 いつもこんな感じだ。


[昔の学校の事ね、ボクもサイト見たことあるよ。ウザかったね。]

[あれ、だめだろ?やっちゃいけないだろ?]


 合わない人間と合う人間がいるようだ。勝馬や水口は、まったく合わない様だ。

 相当嫌悪している。

[「昔の学校の良いところ悪いところ」ってサイト見たいことあるんだけど、良いとこ誰も書いてなかったからね…]

[マジで? 悪いところなんて書いてあった?]

[なんか、「体育教師はヤクザ」とか「体罰当たり前」とか「イジメ黙認当たり前」とかだったよ]


[そりゃダメだ…地獄だろ?]

 実際大げさに書かれてると思うかもしれないが、かなり本当の事が多い。

 実際そんなものなのだ。

 そんな環境が合う人間も居るかもしれないが少ないだろう。


[地獄だね。しかもそんな学校が100年以上続いてたって事だよね]

[戦後から学校はあっただろうから、やっぱ100年…それ以上か? 続いてるな…]

[もっと早くに法律変えるべきだよね? 普通]

[政治家、脳ないから…]


 やはり同じことを考える様だ……。

 どう考えても遅い。そう思うだろう。

 或いは、勝馬や水口の勘が鋭いのか分からないが。

 そもそも分からなかったのだろうか? 昔の制度は不十分だと……。


[本当に脳がないみたいだね…結構昔から昔の学校って反対意見が多かったらしいよ]

[それでも100年だからな…分からない人間は何も分からないんだろうな]

[気付かない人間は何も気づかないからね…そんなもんだよ…それとなんか制服とかも嫌だね。着たくないね学ランとかブレザー]


[あれなんか軍隊と言うか徴兵みたいなんだよな…なんでも体育とかもあって行進の練習とかもあったらしいな。あの動画はキモかった…]

[とっくに戦争は終わったのにね…]


 誰しも、それが授業であっても行進の練習なんか誰もしたいと思わないだろう……。

 そもそも体育自体、永栄も水口も嫌っている。

 昔の学校の情報サイトの画像や動画を見ただけで、嫌悪したのだ。


[まず、体育がどうとかよりもリアルでいろんな人間が集まって集団行動とかそれ自体がヘドがでるからな…]

[ボクらみたいなのは、そう言うのは合わないからね…]

 勝馬や水口のように人が集まる場所や適当に集められた集団自体を嫌悪する人もいるのだ。


[しかも水口よお、なんでも、昔の学校の運動会ってイベントでは“組体操”や“棒倒し”とかそんな競技があったらしいけどなんか、骨折や打撲をする人が多くて非常に危険な競技だったらしいぞ]

[ああ、そうらしいね。しかも打撲程度のケガなら無視されてて気づかれもしなかったらしいよ。もっと最悪だね……]

[そりゃマズイな…行かなくてよかったな。ホント昔の学校…]


 実際そんなものだ。昔の制度は問題だらけだ……問題だらけだが、その問題を大して認識することができてなかったのだ。

 そんな状態が長く続いた。


[しかし今日は雨だな]

[結構降ってるね]


 朝からずっと雨音が聞こえていた。

 空の色は暗い灰色で、窓ガラスには雨水が列をつくって流れていた。

 空気は水を含んだようにジメジメと湿っている。


[外出たくないな…]

 勝馬は雨の日に外に出ることを嫌う。最も、晴れていても外に出ることを嫌うが……。


[おはよ、水口!]

[おはよ、勝馬!雨降ってんな!]


(永栄君か)

 永栄から連絡が来た。今はメッセンジャーソフトを使って連絡を取っている。フリーのメッセンジャーソフト(広告が迷惑)だが、同時に3人でも100人でも(グループ機能などを使えば)会話をすることができる。

 会話と言っても今は文字だが。


[永栄君おはよ。さっき昔の学校のサイト見てたんだよな]

[昔の学校? ネットじゃない?]

[そうそう、ネットじゃないやつ]


 勝馬も永栄も水口も昔の学校の存在しか知らなかったのだ。


[そんなサイト見なくていいだろ? どうせそのうち衰退してなくなんだろ?]


 このように昔の学校はそのうち衰退してなくなると客観的に思われるような状態だった。


[あんな昔の歴史なんか見なくていいんだよ。古くせぇ…]

[大丈夫、ただの冒険感覚だから…]

[誰も行くつもりないからね]


 この時代の人間にはかつての教育制度はかなり無視されているようだ……。


[それとさ、水口も永栄君も今日は遊ばない?]

[おっ、急にどうした? なんかあんのか?]

[勝馬、雨降ってるのに珍しいね]


 普通ならそんな事はないが、雨が降ってる時に遊びに誘うとは、勝馬にしてはちょっと珍しかった。

[まあな…たまにはな…]


 そして。

[オハヨウ!!]


 来てしまった……。

(((ゴリポン!)))

 全員が、同じことを考えて構えた。


(来たよあの気持ち悪い生命体が……)

 勝馬も……。

(ああ、ネットワーク界の精霊ゴリラか……)

 永栄も……。

(キシモト君……)

 水口も。

 

 渋々相手をすることになった(したくなかったが)。

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