7-2
つづきです。
そして日は暮れて、勝馬は上田とネットで少しだけやり取りをしていた。
[よし、後は俺がやる]
[ありがと、勝馬~頼んだよ~]
そして勝馬は、何やらネットで別の作業をしはじめた。
そしてさらに時間は流れ、一夜明けた翌日。勝馬はいつも通りみんなとオンライン授業を受けていた。
すると……。
[勝馬~~ ビッグニュース!]
なんかうれしそうな感じで上田から連絡が来た。
[ん? どうした?]
[勝馬さぁ……あの後何した?]
[なんだ? あの後って……]
[ほら、昨日だよ。「後は俺がやる」って、あの後]
昨日の事だ。勝馬が上田と少し連絡をした後の事だ。
[ああ、あれは別に大したことはしてないよ…]
[マジで…いやなんかさ、アイツらの友達が「全然喋らなくなってノイローゼみたいになってる」とか「授業に出なくなってしまった」とか言ってたから…勝馬が一体何したのかな? ってすごい気になったんだよね…]
「(プッッ……)」
勝馬は吹いてしまった。
(ハハハハッァ……結構効くもんだな、あんなでも)
[ね、勝馬教えてよ…]
[いや、別に~ちょっと苦情送っただけだよ。ただ苦情のメッセージ送っただけなんだけどな…]
しかし実際それが結構効くのだ。勝馬はそれを知っていた。そのうえで送ったのだ。
[こんな感じのな…
お前そんな年齢でなんで誕生日プレゼントとかもらってんの?
お前普段ずっと偉そうにしておきながら、大西に怒られたときだけビビり過ぎなんだよ
周りに人がいる場所で音楽なんかかけるな
教室で山崎とはしゃぎながら遊んでる時のお前の顔本当にキショイよ
まあ、こんな感じだな…実際はもっと多かったけどな]
勝馬はこのような感じの内容のメールを大杉と山崎に送った。
また、山崎と大杉は(難波や柏木もそうだが)、少々障害を持ってるような迷惑な人物だった。
もっとも、そのような迷惑な人間であるから、勝馬も上田も陰湿な攻撃をしようと考えたのだが……。
[…勝馬、それ結構ひどいよ……言われたくない事めっちゃピンポイントだよ…]
かなりピンポイントだった。
また、山崎も大杉も偉そうでプライドが高い人物であるため、そういったことを一番言われたくないであろう人物だった。
そんな人間にある日突然どこの誰かもわからない人物から、いきなりこのようなメッセージが届いたら、普通はショックを受けるかものすごく怒るだろう。
今回、大杉も山崎も怒ってるのかもしれないが、ショックも大きいのだろう。
尚且つ誰かから監視されてるような、恐怖を誘ったりもしたのだ。
そのため、なお更気味が悪かったのだ。
[まあ選んでるからな~~~]
[しかも、誕生日プレゼントとか、大西に怒られた時とか良く知ってたね、そんなの…]
[俺は昔の事をよく覚えているし人間観察をよくしているからな]
勝馬の様な人間は、未来の事や現在の事も考えているが、それよりもかなり沢山過去の事を考えている。過去を顧みて現在や未来に備えているのだろう。
また、大西と言うのは先生である。
そして、勝馬が沢山、大杉や山崎の情報を知っているのは、勝馬が情報収集が上手いと言うのもあるが、大杉や山崎が聞かれてることも何も考えずに大声でしゃべり過ぎている訳だ。
そのため色々とバレてしまうのだ……。
[勝馬、悪! 笑]
[なんだよ~~ 笑]
[でも、実際尾行はあんまり意味がなかったかもな…仕方ないけどな…]
事実、尾行に関しては、あまり意味がなかったかもしれない。尾行して得た情報と勝馬のメールの内容はあまり一致しなかったのだ。
しかし、嫌いな相手とはいえ相手を傷つけているのであまりいい方法ではないが、これで一応一旦は大杉と山崎は静かになった。もっとも一時的にだろうが。
[でも、ホントありがと、けどスゴイね。あのウザイ二人をメールだけで簡単に黙らせるってのはね…]
およそ結果論的には、上田の悩みは解決したようだ。元よりそれが目的だった。
その目的は達成したのだ。
(今回のはちょっとしんどかったな……調査までしたしな……)
最初は上田の悩み相談だったが、どうもその後の成り行きで尾行調査や情報収集などに発展していった。少し大掛かりな行動になってしまった。成功はしたが……。
(まあ、成功したし終わったからいいか……これからちょっと休もう)
勝馬は、しばしこれから休息の予定のようだ……。
しかし、それから……またしても、勝馬パソコンには……。
[吉川君、相談したいな]
[勝馬~話があるんだけど…]
[かつまくん~相談いい?]
このようなメッセージがいくつか届いていた。
(お、また来てるな……)
どうも一休みしてからも忙しくなりそうだ。
(まあ、順番に話を聞くか……)
どうも、勝馬の用事はすぐには終わらなさそうだ。
読んでくれて感謝です。




