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Perfect World  作者: M78星雲人(光の戦士)
第1章
10/21

4-2

遅れました続きです。大変執筆が遅いです・・・


 そして数日後……。

「やあ、柏木君。久しぶり……」


 勝馬は会話をするために小さい穴がたくさん開いた、透明のアクリルの板越しに柏木に向かって話しかけた。


 柏木の隣には、柏木の監視役の警察官が座っている。

 この空間は重苦しい嫌な空気が漂っていた。また、時計の針の音しか聞こえない面会室は嫌な雰囲気だ。

 

「テメェ……」


 柏木は、思いっきり勝馬を睨んでいる。別に勝馬は柏木を馬鹿にしているわけではないし笑ってるわけでもない。どう考えても本来自分が悪いというのに……。

「まあ、俺はすぐに帰るよ……君と話すことはあまりないからな」

「おい……」


「覚えておけよ……」とでも言いたいのか、柏木は勝馬を呼び止めた。

 やはり睨んでいる(小さいブサイクな目なのだが)。

 この状況でも怯まないのか、突き刺すように。

 しかし実に偉そうな人物である。


「何かな?」

「聞きたいことがあるんだが……」

「言える範囲なら答えるよ……まあ、でも言いたいことは大体分かるけどな」

「答えれそうか?」

「すぐには無理だよ……」


 まあ、この時点で聞きたいことは一つしかないだろう……。

 しかしそんなことは簡単に言えるはずがない。

「また聞くからな」

 勝馬は聞いてほしくない。

「また今度な……」

 勝馬は面会室を後にした。柏木なんかと話したくもなかったのでなるべく早く話を終わらせたようだ。

 結局のこと、難波と柏木はあっさりと捕まったのだ。


 そして、ちょうど日が沈んだ頃。

 店の中は夕食時で大人や子供が沢山いた。外の雑音は聞こえず、にぎやかな声が飛び交う中で3人もはしゃいでいた。


「ブチ込み最高。ほら、余裕だろ……」


 勝馬は、コーラを飲みながらはしゃいでいた。随分気分がいい様だ。

 


「本当にやるとは……勝馬やるじゃねぇか!」

 永栄はステーキのような肉の一切れに(人口の肉だが)フォークを突き刺して言った。


「だろ? 余裕余裕。存在価値上位舐めちゃダメだって……コーラなくなったな……」

 勝馬は精製糖と人工甘味料の固まりで体に悪いのだがコーラが好物である。


「けどひどいよね、チャリにペンキとか……」

 もぐもぐもぐ。

 水口は中身は不明だが、丼を箸でガツガツと口の中にかき込みながら話している。

 そして、水口もこのことを後から知った。


「アホなやつだからな、アイツらは……まあ今日はブチ込み記念日として楽しもう」

「「アハハハハ!」」


 永栄も水口も同時に笑った。

 勝馬も結構、際どい事を言う。

 相手が悪いと言え、他人の不幸を楽しむ(それも記念日として)のは良いのか悪いのか微妙である。だが、みんな楽しんでいる……。

 みんなバクバクご飯を食べながらはしゃいでいる。


「え? 楽しんでいいの? って……まあいっか」

「記念日だろ、記念日。チャリの借りは返してもらうぜ……」


 チャリの罪は重いようだ……。


「チャリもそうだが、アイツら勝手な事ばっかしてたもんな、学校でもどこでも」

「絶対余計なことするからな……訳も分からねぇで」

「迷惑が迷惑とも分からずにね……」


 実際そうだ、迷惑が迷惑とも大して分かっていないのだ。

 そして絶対余計なことをしてしまう。

 しかも余計なことをしても笑いながら楽しんでいる。これは非常に悪質である。


「いっつもそうだったよね、なんか余計な事をしつこく聞いたりして……それも楽しそうに笑いながらね……」

「なんか上月にも言ってたよな、『なんでそんな腹でてんの?』とかずっと聞いてたな、確か。それでなんか楽しそうにずっと笑ってるんだよな……」

「だから注意したってのに、そんで逆ギレしやがってよ……ホント、アイツらは、なんで分かんねぇかな……」


 上月と言うのは勝馬の同期である。また、腹が出ている。つまりデブである。

 難波や柏木はそのことを追及していた……。それは迷惑だ。

 そして、そんな事ばかりしていたのだ。

 そのような、人の嫌がる事ばっかり……。


「分かっててやってるんだろ? アイツらの事だ」

「それ、もっとタチ悪いね。分かっててやるとか……」

「クソが……制裁与えてやる。なあ勝馬どうしたらいいと思う?」

「ああ、制裁な……それはぁ……」


 実際捕まったものの、いつも勝手な事をずっと普段からしていて、直接謝罪もなく終わらせることは出来ないはずだ。

 それに、刑事罰もそうだが、あのような迷惑な人間には教育が必要である。


「とりあえず、損害賠償だろ? それと……まあ任せときなって、また俺にいい考えがあるから……ゲプッ」


 勝馬はコーラを飲み過ぎた……そして何か秘策があるようだ。


「勝馬、またなんか考えあんのかよ……」


 永栄は「え? まだなんか策あんの?」的な少し驚いたような感じの顔をしていた。


「まあ、俺は特別だからな……」

「勝馬、さすが。やるね! 上位種族!」


 水口は、なんか自信満々のような顔で勝馬を称えた。


「まあ種族ではないけどさ……それで~結局、アイツらにはしっかりとした教育が必要だからな……」

 確かに当然教育は必要だ。しかし……。


「まあ、そうなんだけどさぁ……教育ねぇ……できんのかよぉ……」

「一番正しいことを覚えるのが下手そうな人種だもんね……」

 まさに水口の言った通りである。教育なんか不可能に等しい人間なのだ……。


「まあ確かに教育とか不可能に近いかもしれないな……でもそれでも……」

「難しいだろうな……だってよぉ、どうせアイツら罪の意識なんか何もねぇだろ?」


 ここで永栄は確信をついた。

「そうだな……」

 勝馬は、あきれるような言い方で言った……。


「いやさ、俺実は柏木には会ってきたんだけどさ、アイツやっぱり罪の意識ないみたいだな……それに、アイツやっぱりダメだな……」

「え? もうアイツに会ってきたワケ?」

「行きたくなかったけどな……敵情視察みたいなもんだな」


 永栄は意外だったようだ。まさかそんなにすぐ直接会ってきたとは思ってなかったようだ。

「アイツやっぱり変わってないよ……まあ、仕方ないかな」


 勝馬は、またしても呆れ返ったような感じで言った。

「そんなもんだろ? あんなのは変わらねぇよ」

「低ランクだしね……そんなもんだね」


 永栄も水口も同じような感じだった。


 そして、やはり今まで水口も永栄もずっと気になってたことがあった。

 勝馬は今ここで、はしゃいでいるが、どうやってブチ込んだのか? と言うことである。

 何せ証拠はなかったはずだ。なのになぜ?


「そういや勝馬どうやってブチ込んだんだよ……何か考えがあったみたいだけど……一体どうやって?」

「それボクも気になる」


 永栄も水口もやはり気になるようだ。

「あれは多分、柏木も知りたかったんだと思うけど、えっとそれは……」

「「うん」」


「会話を……録音したんだよ……後から」

「「……」」

 勝馬の回答に、二人とも「それだけ?」みたいな感じの顔をしていた。

 どうも以外に普通のことだったようだ。


「マジで? そんなので証拠になんのかよ?」

 永栄は不思議そうに聞いてきた。まあ無理もない、そんなに都合よくできるのかどうか分からないのは確かである。


「場合によってはな。長期的に調べてたら証拠になることを自分で言う場合もあるから。長期的と言っても2、3日だけどな……」

「で、その間に何か言ってはいけない事を自分で言ってしまったってことかな? それが証拠になったって事?」

「そうそう」


 指紋やDNAといった確実な証拠がなかったとしても、その後で自分が何をしたかを話してる会話を録音できたとしたら証拠になるはずだ。

 どんな人間でも「誰も聞いていない」と思ったら聞かれたらマズイことでも言ってしまうのだ。今回もそうだった。


「なるほどな、けどよくそんなことできたなぁ……地元だからアイツらの居場所ぐらいなら分かるだろうけど、よくそんなタイミングよくいったなぁ」


 やはり永栄は不思議そうだった。


「アイツらコンビニに溜まること多いだろ? その時にこっそり録音したんだよ」

「ああ、よく溜まってるよね。あれ迷惑だよね。でもあの時か」


(けど、そんな長時間録音したら普通バレてしまうはずじゃ……)

 このとき永栄と水口は一瞬二人とも、同じことを考えた。


 確かに、長時間人の会話を録音していたらバレてしまうはずだ。


 証拠になる程の会話を録音となると、ある程度、長い時間の録音が必要なはずで、それに偶然相手が、自分が不利になることを話すタイミングを合わせるなんて、普通はできないはず……。

 長い時間べったりと近くで録音してるとできるかもしれないが。普通は無理だ……。


 が、しかしこの時二人は、特に気に留めなかった。


「♪ ♪ ♪」

「ん?」

 誰かから連絡がきた。勝馬はモバイルを確認した。

[吉川か?]

(合内かよ……)

 勝馬にとっては全く連絡を取りたくなかった人物だったようだ。

「ん? 勝馬どうしたの?」

 黙ってモバイルをいじっている勝馬に水口が様子を聞いた。

「いや何でもないよ……」

 しかし大したことではなかった。勝馬にとってはこれぐらいのことは、伝える程ではなかったようだ。


 そして、改めて勝馬は言った。

「まあこれで、めでたし、めでたしって訳だな。要するにバレるものはバレるワケだよ。みんなそう思わない?」

 

「いや、でもすげぇよ勝馬。普通そこまで誰もできねぇしな」


 こんなに都合よく証拠をそろえるのは警察でも難しいだろう。

 誰にもバレずに、こっそりと相手の会話を録音するなどと言う方法は困難なはずだ。


「勝馬の執念の結果ってことだね」


「まあ男の執念ってワケだな……」


「勝馬……男って関係あんのか……」

 

 三人とも友達同士でいると楽しいのか他愛もない適当な会話を楽しんでいた。

 また、執念も大事なのだが実際、勝馬は執念というほども何もしていなかった。 

 そして何はともあれチャリンコは使い物にならなくなってしまったが、一応事は済んだのだった。

 しかし……。


 これから、またしても問題が起こるのだった。

 迷惑な迷惑な、相手にしたくもない問題が……。


読んでくれてありがとうございました。

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