表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

序章

どうやら暗闇は恐怖を呼び起こすものらしい。

あらゆる媒体で見受けられる、少女が(少年でもいいが)暗いところを怖がるシーンに僕は、ちっとも共感を得ることができなかった。その女の子は認識できないところに怖いものを生み出して勝手に恐ろしくなっているのだろう、と昔の僕は結論付けていた。暗いはステキ。ステキは暗い。

そして、今、目の前に広がっているのは、愛してやまない暗闇だった。少しは光があるが。体はシートにもたれかかり、足は歪な形をした前の座席に絡みとられている。動けない。あたりに漂う腐臭にはもはや慣れた。救いの種であるはずの、隣の人が残した機内食はついさっき食べきった。

眠い。足が熱い。

三日前は海外合宿の準備をしていた。これでもその道では名が通っている敏速ランナーだった。足がダメになってしまった今となっては最早どうでもいいコトだが。

僕は助かりたいのだろうか。意識は薄れ、曖昧模糊となりつつある。死ぬのだろうか。隣の死体は昨日、死体となった。腹部に鉄柱が刺さってある事以外は何も不自然なところはない、四肢は丈夫、顔も整った美しいOLさん。最期はこんなひどい人間に人生のあらましを話しながら迎えた。

瞼が重い。次、目を覚ました時には死を目視できる世界なんかじゃなくて、優しい世界がいいなァ。グッバイディスワールドってやつだね。文法あってるかな?英語は得意じゃないんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ