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ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~  作者: 祈願
〈海外〉 :海を渡る狐
26/47

『2』ご山は『6』ねを意味しんす

〈レオナルド〉


赤いアイマスク、マフラーを靡かせて愛刀で世に住まう悪を討つ!

皆に変人と馬鹿にされようと!その熱い思いは曲げないぜ!

その名も!

ミュータント・ニンジャー・パープル!レオナルド!!!


次回!亀を車で引くと爆発する!!!レオナルドは生き残れるか!?

   


「番外!Who? So you are name?~出会いは突然襲ってくる!~」著作者:くずのは

より抜粋……





「ぬしが好きな特撮アニメみとうに紹介しんしたよ?まぁ~コレを見せるつもりはありんせんが……しかし」


アオルソイの高原の夜、どこからか銀鈴を振るような虫の音が聞こえる中、彼女は手鏡を覗き込んだ。そこに写るのは、大きな岩へと腰を掛けける二人組み


「哀れな壊れた人形は青年を通しなにを感じるか……答えは亀次第」


壊れた人形が見守る中、青年は可能性の力を得る為に何度か繰り返して〈デッドリー・ダンス〉の動きをなぞり始め自分の身体の動きを確認するのであった


「努力する男を見守る女……どこのラブコメでありんすか!」

「うるさい黙れ駄狐、寝れん」

「うぅぅ……ちんどん屋なんか馬に食べられちゃえ」


鏡を懐にしまうと無駄な繁殖を防ぐ為に雄雌で仕切られていた棒を外してから彼女は馬小屋を去っていったのであった



ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~


人・エルフ・人形・亀・馬・狐――今のわっち達、マジでハーメルン!?




カナミ達がこの村に滞在して二日が経過した。初日はKRが彼女を蹴り飛ばしたりKRがレオナルドに〈大地人〉と〈ヤマト〉について講義したぐらいで特に変化もなくその二日間の間、カナミ達一行はおおむね村人の歓迎されて過ごしたと言えるだろう

エリアスは村人の要望を聞き、幾つかの茂みを切り払い開墾を助けた。コッペリアは請われるままに怪我人の手当や祝福を行ない、カナミは、持ち前の愛嬌で村の人々から大きな人気を集めた。KRは雌馬の半数から熱い眼差しを注がれ、そのことを彼女にからかわれる

しかし、意外なことに、最も子供に懐かれたのはレオナルド

彼の性格や容姿も相まってキャラバンを待つ日中の間、その時間を子供達から隠れて過ごさなければならなかったのだ


そして村に滞在を初めて四日目の朝、待ちに待った(特にレオナルド)旅商人はやってきた

旅商人は、世話役ヤグドから訊いていたよりはるかに小さな所帯であり、荷を乗せた馬を引く中年の〈大地人〉と、傷だらけの皮鎧を着けた女性。毛皮のついたマントをまとったその女性は、徒歩にもかかわらず、馬より多くの荷を背負って長い旅をくぐり抜けてきた為か、その表情は疲労の色が濃く出ていたがその容姿から彼女が〈冒険者〉であることを確認することができた


「あなたは、〈冒険者〉ですか」

「そうだ。レオナルドという」


女性は、当初は明らかに警戒していたが村に到着し初めに接触したレオナルドに村長ヤグドへの取り次ぎを依頼するが、レオナルドは、街の護衛として雇われた〈冒険者〉でもないのですんなりと二人をヤグドの家へと案内しヤグドはそんな二人の旅人を温かく迎え入れ、ヤグドの家の広間にてレオナルドに話しかけた〈冒険者〉春翠は今までの経緯を説明することとなり、案内を請け負ったレオナルド含めカナミ達も話しに加わるのであった






「突如現れた灰斑犬鬼の大群、か」

「なにか裏があるとおもうのかしらKR?」

「あぁ…おまえも感づいているんだろ?」


初日に宛がわれた村長の馬小屋でKRと〈くずのは〉は二人で今回の騒動について考えを纏めていた

以前のようにカナミ達には知られて欲しくない内容な為、〈くずのは〉の口伝を用いるほど徹底していた


「えぇ、今回の件と四日前に起きた騒動は繋がっているわ」

「あぁ、やり方が酷似している。周りの被害を考えず自身の利だけ考えた馬鹿げた行いだ。……しかし解せないことがある」

「……どこから材料を入手してきた、よね?」


〈くずのは〉の答えにKRは長い首を縦に振り肯定を示した


「憶測でしかないけど、入手したのは私がここに来た時。もしくは以前から溜め込んでいたものを動かしたのかしら?」

「後者であろう……俺はカナミ達と合流する前からアオルソイを回っていたが八十、村の半数が消失する件など見られなかった」

「そう……なら余計にカナミには教えられないわね」


一般的に〈大地人〉が〈灰斑犬鬼〉になる現象を〈疫鬼〉と呼び〈大地人〉は疫病やウィルス、酷く言えば呪。〈冒険者〉から見たらバグや故障と思うのが当たり前となった〈疫鬼〉だがKRと〈くずのは〉は違った―――〈疫鬼を〉を人災、しかも本来の意味である人の不注意から生まれる災害ではなく人によって生み出された災と考えているのだ


「カナミは勿論、レオナルドにも伝えない方がいい」

「あら?随分とあの亀を買っているのね。数日前貴方自ら諭したと言うのに…今も〈大地人〉を理解しようとしない愚亀だと言うのに」

「カナミが仲間に入れた奴だ。遅かれ速かれ面白くなるだろう。……俺から言わせればオマエの方が〈大地人〉を理解していないと思うが?」

「私は理解しているからこそ〈大地人〉を貶し目が止まる価値などない愚民として扱うわ。……成長もしないただ世界の歯車の一部でしかない物などに興味なんて無いわ」


唾を返し汚物を見るような目で畑を耕す村人を眺めてから、再びKRと向き合った


「でも私は知っているわ。〈大地人〉でも成長できる事を―――世界と言う殻を破り運命に逆らう哀れな歯車を」


慈愛にも哀情とも取れる表情をKRに向けながらも〈くずのは〉は軽く微笑んだ。脳裏に浮かぶのは突然消失した私に文句を言いながらも置き土産として残してきた課題を〈吟遊詩人〉の少女とこなしているであろう哀れな愚弟子を―――


「それに人の成長には他人は必須。それが例え殻から出ない愚民であったとてしても」


ゆっくりとKRの横を通り過ぎて広間へと続く壁を優しく撫でた。壁の向こうでは死んでいった〈大地人〉を思い悲しむ女性の声が微かに聞こえる


「そういった意味では理解しているわよ?」


再度KRに振り返った〈くずのは〉の顔は慈愛でも哀情でもない、歪んだ笑みが貼り付き声を殺して笑う


「……本当に恐ろしいのはお前のほうかも知れないな」


KRの零した言葉は更に〈くずのは〉の歪んだ笑みを吊り上げるのであった



NEXT  砂漠は昼は暑く夜は寒い!解せぬ!


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