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ログ・ホライズン ~わっちはお狐様でありんす~  作者: 祈願
〈夏季合宿〉:狐が休む場所
16/47

『1』って置くがマリエー『6』はわっちの嫁!

〈D.D.D〉

アキバの街の五大戦闘ギルドにして円卓会議参加ギルドの一つ。ギルドマスターは〈狂戦士”クラスティ〉。 大災害直後の混乱時に多くの中小ギルドを吸収したとされ、所属メンバー1500名と最大級の規模を誇る。

ゲーム時代から大規模戦闘でのコミュニティマッチングを基盤に成立した経緯から、所属人員の多さもさることながら、大規模戦闘初心者に対する教導が充実しているのが特徴。

ギルド名の由来は「クラスティが名前決定時に適当にキーボードを押して入力されたのが『D』で、1文字では決定できなかったので『D.D.D』にした」らしい。

私はてっきり、D=ぐうたらD=堕落してD=どうでもいい・・・の略だと思っていた

実際、ギルマスのクラスティは暇で退屈な日々を送っているのだから・・・


「第12回!ドキ☆エルダー・テイル追加パック!~突撃!隣人のお宅~」著作者:くずのは

より抜粋・・・・



「ん~真面目に書いてしまいんした。しかし・・・」


彼女は砂浜に並ぶ砂で出来た仲間達を見つめた・・・


「ツッキーとミノリンの胸はもっと盛ったほうが良いでありんすかね?」

「くーちゃん!一緒に泳がへん?」

「あ~い!今行くでありんすぅ!」


絶賛、彼女達はバカンスの真っ最中であった・・・




ログ・ホライゾン ~わっちがお狐様でありんす~


最高に『ハイ!』ってやつだアアアアア!アハハハハハハハハハーッ!!(某吸血鬼)




速いもので夏季合宿は8日目を迎えていた

さすが初心者と言うべきなのか、飲み込みが早く慣れてきたようで順調にカニを撃破しLVを上げていっていた

こうなると監督で引率していたプレイヤーは暇になってしまう、現にこの一週間一緒に海岸に同行していた〈キール〉や〈西風の旅団〉から派遣された中堅レベルプレイヤーは交代制でバカンスを楽しんでいるようであった・・・初日から全力でバカンスを楽しんでいた者は二人いたが・・・


そしてその2人は現在・・・


「・・・あかん、うちずっとここにいたい。天国やわ~」

「・・・わっちはあきんした。真っ赤な林檎が恋しいでありんす」


ソーダ片手に、もう一人は林檎酒を片手にデッキチェアーに優雅に寛いでいたのであった・・・仕事しろよ、2人共


「林檎?なんなら小竜に取りに行かせよか?」

「うにゅ~・・・冷たい林檎が食べんしたい」

「そら難しいな~」


いいから働けよ!頭がひまわりと駄狐!

・・・のんびりと時間が過ぎていく中、空になったグラスに林檎酒を注ごうと起き上がった瞬間、彼女の耳と尻尾がピンッと逆立って海岸を強く睨みつけた


「ん?どないしたん、くーちゃん?」

「・・・きなくさいでありんす」

「臭い?体なら毎日、海に浸かって・・・何かあるん?」


いつもと違う彼女の雰囲気にマリエールも何かを感じたのか、彼女が睨みつける先―――海岸へと視線を向ける


「・・・いつもより、波の音が粗いざんす。」

「波?いつもと変わらん感じやけど 「キャァァァァ!?」 っ!?」


マリエールの言葉を遮るように海岸から悲鳴が響いた

そこには本来なら雑魚モンスターである〈アスコットクラブ〉が居るはずなのに全身は淡い水色で、腹部のみが生白いモンスターが新人プレイヤーを襲っていたのだ


「〈水棲緑鬼〉っ!?なんでいるん!?」

「マリー!一匹じゃないざんす!」

「えぇ!?」


青く光る海に黒い影が次々に浮かび上がり・・・そして数十匹の〈水棲緑鬼〉が一斉に岸に上がり出たのだ


「こんなに仰山ッ!あかん!みんなー!キャンプに避難し!引率の 「あぁぁぁ!!!」 ッ!?どないしたん、くーちゃん!?」

「わっちの、わっちの力作が・・・・」


彼女が嘆く視線の先には、色々と美化されたシロエと直継、にゃん太にトウヤ。一部、本物よりも盛ってあるアカツキとミノリが今まさに〈水棲緑鬼〉によって蹂躙され破壊されていたのだ


「砂なんてどうでもいいやろ!『小竜か!? 早く浜辺にきてやっ』

「わっちの仲間が~ナイスボディのツッキーとミノリンが~」


彼女が打ちひれているのをスルーし、援軍を得る為にマリエールは小竜に念話を繋いだ


「『海から〈水棲緑鬼〉が上がって来とる。新人達がっ――っく。……急いでっ!!』」

「わっちの三頭身ご隠居が~10年後のトーヤンが~・・・・ゆ・・さ・い」


完全に彼女を視線から外した先には逃げ遅れた新人が〈水棲緑鬼〉に襲われているのだ

マリエールも殿に加わり、新人達を助ける為に自身の武器を取り出す。〈水棲緑鬼〉は高くてLV30程度のモンスター、自分達にとっては恐れるに足りない相手ではあるが、いかんせん、数が馬鹿げている。

いくらレベルが低くても数の暴力には関係ないのだ


いざ、戦闘に加わろうと足を進めたが・・・・後から聞こえてくる呪怨に背筋を凍らせた


「・・さない、ゆるさない、ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない」


明らかにいつもの彼女ではなかった

エメラルドの様に緑色に輝く瞳には光が失われ、幽鬼を思わせる程の気迫が彼女に漂っていた・・・

そして、ゆらりっと立ち上がるといつもの着物に一瞬で着替え、いつもの白い扇子ではなく金色に輝く扇子を〈水棲緑鬼〉に構え、広げた。

マリエールは彼女が何をしているのか判らなかった・・・でも彼女の口から発する言葉が「ゆるさない」から「ライトニングネビュラ」に変わったのは気づいた。そして顔を青くさせた



ライトニングネビュラ

詠唱時間30秒 再使用可能時間3時間 使用MP1500

攻撃魔法_電撃属性の広範囲攻撃魔法。青紫色の輝きを放つまばゆい電光が、目標を中心とした広い範囲にのたうち、星雲を思わせる輝きで範囲内の敵を撃つ。広い範囲と高めの威力、敵を短時間麻痺させる追加効果と、面での制圧を得意とする〈妖術師〉の戦闘を体現するかのような特技で、見た目の派手さもあって人気があるが、〈妖術師〉最大の欠点であるMP消費の激しさも体現しており、連発できるような呪文ではない

・・・そしてこの魔法は広範囲ゆえに味方判別がし辛いと言う欠点も持ち備えている


今まさに彼女は、ここでその魔法を解き放とうとしているのだ!

避難も順調、残っているのは中堅プレイヤーに極少数の新人。多数いる敵に対しては有効な手ではあるが、マリエールが顔を青くさせる理由は他にあった・・・


「我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理の雷ッ!〈ライトニングネビュラ〉!固定。我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理―――」


・・・通常と違うのだ。

本来なら詠唱→発動→結果のように進んでいく工程が詠唱→固定と変化しているのだ!

さらに詠唱は続いていく・・・


「の雷ッ!〈ライトニングネビュラ〉!固定。我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理の雷ッ!〈ライトニングネビュラ〉!固定。我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理の雷ッ!〈ライトニングネビュラ〉!固定。我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理の雷ッ!〈ライトニングネビュラ〉!固定・・・・」


今までの詠唱回数は5回。驚くことに5回の詠唱を終えるのに10秒しかかかっていない事だ。

そしてマリエールは悟った・・・『来る』と・・・


「みんなー!逃げてー!早く逃げてー!『小竜!?小竜っ!はよー来て!くーちゃんがキレたー!!!』」

「わっちを怒らせた事を後悔させてあげんしょう!我れ雷を呼ぶ天より来たり雷は審理の雷ッ!」


手に持つ金色の扇子〈金毛九尾〉を空へと掲げ・・・


「受けなんし!ラ○ュタの雷をッ!解き放てっ!〈ライトニングネビュラ〉×6!解放ッ!!!」


・・・・〈水棲緑鬼〉に向かって振り下げた





ピンポンパンポーン♪


今日のヤマトの国の天気予報をお伝えします

現在、メイニオン海岸においてゲリラ豪雨ならぬゲリラ雷雨が降り注いでいるでしょう

LVの低い方は勿論、近くにいる〈冒険者〉の方は直ぐに避難しましょう

なお、この雷雨は狐の高笑いが終わるまで続くとされています。十分に注意しましょう

以上、ヤマトの国の天気予報でした


ピンポンパンポーン♪



後に援軍に来た小竜は語る・・・


あれはまさに雷の雨、雷雨であったと・・・

そして彼は、こうも語っていた・・・・

高笑いする狐の隣で腰を抜かすマリエさんは可愛かったと・・・・



撃破数:〈水棲緑鬼〉157体

死亡者:0名

負傷者:7名(そのうち落雷者4名)

彼女の消費MP:15583






駄狐の暴走で無事に避難を成功させ新人プレイヤー達はキャンプ地である廃校舎。その校庭に集まっていた

ざわざわと私語を交わしているが、その表情は誰もかれもが緊張をしている。統制された軍隊ではないので、隊列や規律について口うるさく云うような上官はいなかったが、全員が非常事態である自覚を持っていた。


西の空には、昼間よりも大きく見える太陽が紅に染まり、沈み行こうとしている。もう夕暮れだ。

中央にたった一つ残された大きな天幕には、先ほどからひっきりなしに何人かの〈冒険者〉が出入りしていた。


その大天幕の中では、にゃん太や直継、マリエール、レザリック。そして彼女を含む90レベルの引率プレイヤーによる会議が行なわれている。

 先ほどまで、マリエールは念話による間接出席ではあるが〈円卓会議〉に参加していた。〈円卓会議〉の結果は出なかったが、それについては仕方がない。軽々に判断できる事態ではないことも、判る・・・判るのだが・・・


「うにゃ~・・・わっちは疲れんした。もう働きたくないでありんす~」


自分の直ぐ傍でだれている彼女を見ていると肩の荷が下りる感じがしてならない

一緒に彼女を見ていた直継にも・・・


「ああ、なんだ。マリエさん? クーほどじゃないけど、あんまし考えすぎない方が良いぜ。あっちの方はシロに任せときゃどーにかすんだろ。ヘンリエッタさんもいんだろ? 心配すっこたねぇって。インチキでも何でもやって良い方策考えついてくれるさ」


・・・と声を掛けて貰い自然と笑みが零れた


「おおきにな。直継やん」


こんな時に笑うなんて、とは自分でも思うのだが、やはり人の真心にふれるのは嬉しい。この直継という少年は――というのも変な話で、自分よりも二つやそこら若いだけなので青年と云うべきなのだろうが――普段のおおざっぱな言動からは想像も出来ないほど、細やかな気配りが出来るという云うことに気が付いて以来、その心遣いが嬉しくて仕方ない。


「うし! むぎゅーしてやるぞ! むぎゅーやっ!」

 

慌てる直継を照れ隠し混じりに、思いっきり抱きしめる。赤面して取り乱す直継が可愛くて面白いが・・・


「うにゅあ!!!」

「「うお!?/くーちゃん?」」


自分と直継を引き離すように彼女が間に入ったのだ


「・・・マリー、ラブ臭がするでありんしょう。甘いのは林檎だけにして欲しいでありんす」

「「ラブ臭!?」」


慌てて二人はそっほを向いた。マリエールは顔を真っ赤にし、直継も若干だが顔を赤くさせ・・・

照れる2人に今後はにゃん太が追い討ちをかけた・・・


「若い者同士の逢引を邪魔して悪いですが、状況が状況だにゃ。・・・・マリエールっち? ほら。着替えをした方が良いのですにゃ。もう夕暮れです。……こほん。そのー、ビキニの上にパーカー1枚では、直継っちも、いささか刺激が強いのですにゃ」


その指摘に気がついて、更にマリエールは顔を赤くさせた

全くだ。今まで緊張のあまり気がついてもいなかった。半裸のような有様ではないか。

直継に押し当てていた胸が火照り、その熱はどうやら羞恥らしいと、頬にも同じ熱さを感じてしまう。マリエールは天幕の奥へと駆け込むのであった・・・



マリエールが着替えを終えて、髪に軽くブラシを当てた時点で、天幕の外からざわめきが聞こえてくる。「マリエさんっ」という直継の言葉に誘われて、紫色になりかけた戸外へと出たマリエールが見たのは、遠く丘陵山脈の森の中に揺れる、米粒よりも小さな無数の炎の明かりだった。


「……たいまつ、ですにゃ」


にゃん太がぽつりと呟く。


「ざっと見た所、100か150ってところか?」


直継が呟く。


もちろん、たいまつ一本につきゴブリンが1体とは限らないが、少なくともそれだけの数のゴブリンが山中を移動しているのだ。もはや彼らは、姿を隠し、こっそりと移動をすることさえ捨て去ったのだと、マリエールは理解する。

その揺れる無数の炎は、「これからお前達を襲うぞ」というゴブリン達の無言の脅迫・・・流石に驚きはしたが、偵察に行っていたにゃん太と何に気づいたであろうミノリから言い渡された言葉はマリエールをさらに驚かせるものであった



チョウジの町が襲われ、そして・・・・朝までに崩壊する・・・・



滅びの足跡は着実に近づいてくるのであった・・・・



NEXT  もういいよね・・・パトラッシュ・・・


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