表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私と貴方は女の子

作者: マーボー

やっと書き終わりました~。



今回も過激なシーンは一つもありません。

まぁ暇つぶし程度にでも読んでくれてかまいません。


では、はじまりま~す!!

突然ですけど、私には好きな女の子がいます。

私の名前は川上かわかみ 風香ふうか

いきなり何を言ってんだ?

って思う方々もいると思いますが――私は本気です。


相手は東條とうじょう 春奈はるな

同じクラスの完璧超人です。

どこが完璧なのか――それを今からお教えしよう!

まず、顔は美形なのに笑顔に親しみがあって身長は160後半と長身。

それで細身なのに……その、胸があって、髪の毛もツヤツヤ。

頭は学年トップ3常連で、運動神経抜群(バスケと剣道、陸上、水泳で全国に行ってる)

ピアノと歌が超絶うまくて、最近は家で趣味としてギターも少しやってるみたい。

社交的で、ギャルとかオタクとか差別しないで本当に誰にでも優しい。

それに本人がアニメとかゲーム(主に音ゲー)が好きみたいで、アニソンとかもよく聴いてる。

ペットにラブラドールレトリバーを飼ってる。

そして……男子にモテる!!

でも女子高だから学校ではなく、中学時代の時の話を聞いてて私がそう思った。




とまぁこんな感じかな。

これが私の好きな人のプロフィールです。

私たちは今、高校二年生ということで段々と受験も視野に入れていかなきゃなんだけど……正直、それどころじゃない。

一応、東條さんとは席が近いからよく話す。

まぁお友達なわけです。

メールも結構やり取りしている方かな?

そんなんで私は日ごろ東條さんと接していて、ある日私は気づいたのです。




あ……私、東條さんの事が好きなのかも……って。




最初はそんな筈はないと思ってた。

けど、一度意識し始めるとどうもうまくいかないようで……




「でへへ~~///」

「ちょっ、何気持ち悪い顔してんの?」



私が学校である事を忘れて悦に入っていると、後ろからツッコミが入る。



「今日ずっとそんな感じじゃない?ってか、ここ最近か。」



この方が今、私を夢中にさせているクラスの完璧超人こと東條 春奈さんです。

東條さんは私にそう言うと、教科書や荷物をカバンに詰め始める。

あれ?



「もう放課後だっけ?」

「本当に大丈夫なの?」



どうやら私は今日という一日をすべて、東條さんの事を考える事に費やしたみたいです。

だってしょうがないじゃないか!

席が近いから東條さんの……こう、いい香りが―――――ッハ!

いかんいかん。

危うくまた意識をもっていかれる所だった。

東條さん……恐ろしい娘ッ!!



……まぁ私がいかに、東條さんのことが好きなのかっていうのが伝わったかな?

たぶん、クラスにこんなイイ娘がいれば皆もそうなると思う。



私もいそいでカバンに荷物を詰め込み、ある作戦にでようとする。




「よしッ!東條さ~ん!一緒にかえろ……う……?」



荷物をしまい、勢いよく後ろを向く。

でも……



「あ、あれ~?」



どうやら東條さんは一足先に帰られたようです。





「もぅ!Sなんだからぁ♪」




もう皆が帰って誰もいない教室でそう言い残し、私も家に帰った。











「む~~。」


家に帰って速攻でお風呂に入った私は、PCと向き合っていた。


「だ・か・らぁ!!私は本気だっつぅの!!!」



カチカチカチッ!



勢いよくキーボードを叩いて――



タタンッ!



エンターキーを押す。

今私は某掲示板である相談をしていた。



「世の中にこんなアニメみたいな展開はない?ここにあるっつぅのッ!!!」



相談というのは、東條さんのことだ。

もちろん名前は伏せているし、素性も知られないように細心の注意を払って。



「はぁぁ。やっぱりこういう所で相談してもダメなのかなぁ。」



私は一旦手を休めてイスの背もたれに寄りかかる。




ギシッ




「うっ……」



なんか背もたれに寄りかかるとなるこの音。

何回聞いても、私が太ったんじゃないかと錯覚させる嫌な音だ。

いや、実際には太ってないからね!?



「ふぅ……っと、また書き込みが。」



再び画面とのにらめっこ。

マウスを操って、カーソルを下に移動させて書き込みを見ていく。



「ふ~む、直接の告白かぁ。」



ダイレクトすぎないかな?

なんかもっといいのないのかな~。




「……ん?こ、これはッ!!」



思わず画面を掴んで身を乗り出す。




「安価……メール……だと?」



説明しよう!

安価メールとは私が指定した数字の人が書いた内容をそのまんまの内容で相手にメールを送るという諸刃の剣だ。

諸刃の剣というのは、その内容がイイモノだったら絶対に送らなきゃいけない物だから、背中を押してもらえて最高。

でも、それが悪い内容……え、えっちな内容だったりしたら……ね?

諸刃の剣でしょ?





「ん~、これは……どうしたものか……。」



腕を組んで暫し考える私。






~~数分後~~







「よしッ!いっちょやってみますか!」



こうして私の戦いは始まった。




「え~っとでは、安価メールを始めますっと――>>68」




:68 いいなぁ。俺も彼女ほしいですわぁ。



「っていきなり誤爆かいッ!!」



思わず本気で画面越しにツッコむ私。

まず一回目の安価がこれじゃあ、先が思いやられるぜ。



「ふぅ……お、落ち着け私。」



二回深呼吸をして、気を沈める。



「よ、よ~し今度こそッ!>>75!」




:75 その娘に好きな人がいるか聞いてみる。




………………



「キターーーーッッ!!!!」



私はと、とんでもない事をやってしまったようです。

安価メール……おそrってそれはもういいか。




「や、やってやろうじゃないか。」



震える手で携帯を取り、東條さんのメール作成を開く。

そして少しずつ、一文字に一打入魂の気持ちで打っていく。





「こ、これでいいかな?」



あまりの緊張に喉がすっごい乾いているのが分った。

内容は……『東條さんって好きな娘いるの?』



我ながら直球すぎたかな。

だけど、今の私を止めることは誰にも出来ない。



「えぇいッ!!!」



私は何故そこで叫んだのか自分でも分らなかったけど、携帯を上に掲げるという意味不明なポーズ付きで東條さんにメールを送った。






~~数時間後~~




「……返事が……来ない。」



あれからすでに2時間。

時刻はam2:30。

さすがにもう返信は期待出来ない。



「うぅ……東條さ~ん。」



私はPCの電源を落としてベッドにダイブした。

携帯を充電器に指して毛布を上から被る。

そうだ。

今日はもう寝よう。

明日になれば会えるんだし……



半ば強引な私の現実逃避。

でも仕方ないと思う。



「うぅ~、でも気になって中々寝れないかも~!」




まぁその数分後には意識が無かったわけですが。

















「起立、礼、着席。」



朝のホームルームを終え、次の授業を準備をしていた私。

後ろには昨日メールを送ったがその返事がこない相手、東條さんがいる。



気になる!

すんごい気になる!!



本当は教室に来た時にでも聞きたかったんだけど、あいにく私が寝坊してしまった。



「はぁぁ。すれ違いだなぁ。」

「何ぶつぶつ言ってんの?」

「ひゃぅ!?」



昨日と同じく?またもやいきなり後ろから声を掛けられ、驚く私。



「にゃ、にゃにゃにゃんでございまひょう!?!?」

「あはは。相変わらず風香ちゃんは可愛いなぁ」

「~~~っっ!!/////」



それは不意打ちだった。

顔が熱くなっていくのがわかる。



「あーあと昨日はごめんね。寝ちゃっててさぁ。」

「そ、そうだったんだ。ならしょうがないよね。は、ははっ……」



私は内心よかったぁと思う反面、それでも好きな人がいるのかどうか気になってしまって、東條さんの顔を見れなくなる。

くぅ~!

いつのも私だったらこんなはずじゃないのにぃッ!

どうも東條さん絡みになるといきなり弱くなる私。



「それで?なんであんなメール送ってきたわけぇ?」



東條さんは後ろから私を包み込むように抱きつきながら聞いてきた。




いぃぃっやっほぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!




む、むむむ胸がッ!!胸が私の背中にッ!

そしてこの匂い!

東條さんの匂いが私を包み込んでいくこの感じ。



たまりませんなぁ~。




「へ、へへへ////」

「お~い。どうしたの~?」



肩を揺さ揺さ振られ強制的に意識が――



「へへ~~~…………ッハ!!」



――覚醒した。



「はふぅ。東條さんの威力はハンパないねぇ。」

「何の話?」



むッ。

この娘は自分の発する威力が分ってないのかね?

東條さんは頭に?マークを浮かべながら聞いてくる。




……うん、可愛い。




「いやなんでもないよ。そ、それでさ、昨日のメールの返事なんだけど~」

「ん、知りたい?」



えぇ!

そりゃもちろんッ!!



とは言えるわけなく……



「ま、まぁねぇ。」



と、気の無いふりをしてしまう。



「どうしよっかなぁ?」



少し目を細め、意地悪そうな目で私を見る東條さん。

くっ……こんのSッ娘が!!



「そ、それで、いるのかな?」



「う~~ん?」



東條さんが顔を近づけてくる。

もう少しで唇と唇が触れるという距離。



こ、こんなに東條さんの顔が近くに!?



心の中でパニくる私。

それでも内心とは裏腹に余裕の表情を浮かべている。

東條さんはそのまま私の耳まで口を近づけ――



「内緒だよ♪」



その瞬間、私は昇天した。











「はぁぁ。今日の東條さんは最高だったなぁ。」



ベッドでゴロゴロして、枕を抱きしめながら好きな女の子の事を考える私。

今でも耳には東條さんの息遣いと声が残っている感じがする。

あんなに顔を近づけて……東條さんってば意外と大胆なんだなぁ。

それに耳元で「内緒だよ♪」って、あの娘は狙ってやっての?

あんな事やられて惚れない相手はいないよね。

さすが東條さん。

モテるだけあるわ~。



「そうだ。今日のこと報告しなきゃ!」



私はベッドから勢いよく立ち上がり、PCを起動する。

報告というのは、昨日もやっていた掲示板の事だ。



「さぁって…お?ちゃんとまだあるや。」



自分で立てたスレを見つけ、ちょっとテンションが上がる。

さて何から報告しようか?

と、考えたものの、報告する内容は最初ッから決まっていた。



「え~、今日は…………」



カチカチと今日東條さんにやられた事を打っていく。



「ん、これでいいかな。」



エンターを押して書き込み完了。

みんなどんな反応するかな?

結構書き込んだ後のみんなの反応が楽しみな最近の私だった。




~~数分後~~




「ほぇ~レスがこんなにきたよ~。」



あ、レスっていうのは~コメントって考えてね。

みんな様々な反応をしてくれた。

けど、一番多いのは……



『いいなぁ。俺もそんな娘にそういう事されたい。』

『百合最高だわ~』

『その娘最高すぎるだろう!!』


ってな感じだ。

ふふっ。

みんな今さら東條さんのすごさに気がついたか。

なんか私が誇らしげに胸をはる。



「……お?」



『それでなんだけどさ、そろそろあだ名…つかコテつけない?』



一つの書き込みを見つける。

あ~まぁそろそろ「その娘」とかじゃ分りづらいかぁ。

簡単に言うと、コテ=あだ名と理解してくれるとありがたい。

こういうスレでは分りやすいようにあだ名を付ける事が多い。

でも、そこまで考えてなかったからなぁ。

私あだ名とか付けるの下手だし……。



「よし、じゃあそうしようか。何か無いかな?っと。」



まぁここの住民はこういう事には詳しいだろうからまかせてみよう。



『1はイメージ的に元気っ子ぽいよな。』

『じゃあ、太陽と完璧超人?』

『完璧超人wwww』

『1は中学時代とかに何かあだ名ってなかったのか?』



1っていうのはこのスレを立てた私の事ね。

あだ名かぁ。

私は記憶の奥底にしまってあった中学時代の事を必死に引っ張り出してみた。

ん~~。

普通に風ちゃんとか呼ばれてたけどなぁ。

今でも東條さんにはそう呼ばれているし。

それに、さすがに本名の一部を晒すのは―――まぁいっか。



「そうだね。皆には元気って言うイメージがあってか、風=ふうちゃんって呼ばれてたなぁ。」



私は口に出し、頭の中を整理しながら文を打っていく。

あ~あと、



『あと、完璧超人はねぇよwwww』



最後にこの文を付け足しておく。

さすがにそれは……ねぇ?



『じゃあ、1は「ふぅ」なwww』

『それで超人の方は?』

『何かほかにイメージは何いのか?』



どうやら私のコテはふぅに決定したらしい。

それで次は東條さんのイメージか。

なんだろう?

名前の春奈から「春」が連想できるけど……正直、私でさえ名前で呼べていないのに、いくらコテでもそれは名前の一部を使われるのは嫌だな。

だとするとほかにはぁ……。

私はまた必死に頭の中の東條フォルダを探る。

さっきの中学時代のフォルダとは東條フォルダは桁が違う。

容量で言えば中学時代のフォルダが500MBに対して、我が東條フォルダは1,5TBに相当する。

ハッハッハ。

まいったかッ!

私の東條さんに対する愛にッ!!

その私は今東條さんフォルダを開いて必死に探している。

そしてついに見つけた!

東條さんにつけるコテのネタを!!



「東條さんはラブラドールレトリバーを飼っているからラブなんてどうだろうか?」



私は閃いたモノをすぐさま打ち込んでいく。




タタンッ!




最後に勢いよくエンターを押して、みんなの反応を待つ。











『ね~なwww』

『いや、センスなさすぎだろ。』

『ふぅは可愛いなぁwwww』

『ふぅらしいっちゃらしいが……これはどうなんだ?』

『wwwwwwwwww』






うん。

だから言ったでしょ?

私はこういうのが下手だって。

たとえ、1,5TBのネタが詰まっていても、そこからはこれぐらいしか思いつかなかったんだよ……私は。




「い、いいもん。これで決定なの!!」




私は涙目になりながらもその事を住民に告げる。

そしたら――




『まぁふぅが決めたんならいいんじゃないか?』

『そうだな。ふぅが呼びやすければそれでなwwww』

『ふぅの方がラブについては熟知していると思うし。』



みんなの反応に救われた。

ありうがとう、おまいら。



「さぁって!今日は少し気分がいいから安価メールいってみようか!――>>162」



私が安価を始めるとすぐに皆が書き込んでくる。

まぁ殆どがksk(加速)なんだけど。



「さぁ何でもこいや~!!」



私は少し機嫌が良かったみたいでそんな感じでいた。

それが……まちがいだったのかな?





:162 ラブに「私の事好き?」って送るwwww





はい。

ドストライク質問きたわ。

どうしよう。

これって女子同士だったら友達としてで通るよね?

で、でもでも、私の方が意識しちゃって送れないんですけど……!!



「ぅぅ~~」



顔が赤くなっていくのが鏡を見ないでも分る。

これはかなり恥ずかしい。



「と、東條さ~ん。」



そしてなぜか、送る相手に助けを求めている私。

しょうがないじゃん。

それだけテンパってるんだもん。

テンパりつつも携帯に文章を打ち終わる。

そこで自分を落ち着けるために深呼吸。

深呼吸って便利だよね。




「よ、よよよよよよし。そ、送信!!…………はぅ。」



意を決して送信ボタンを押した後も、それに照れてしまう。



「あ~もぅッ!!!」



携帯をベッドに放り投げ、キーボードを叩く。




『今送った。>>162覚えてろ?』




そして八つ当たり。

ふふッ。

少しは私の怖さを思い知るがいい。

きっと画面越しでも私の憎しみのオーラが届いている事だろう。




『ふぅになら何されても平気だわ。むしろご褒美だなwwww』




……が、返ってきたレスに何も言えなくなる。

そっか。

変態さんなら……しょうがないよねぇ。

なんだか最近の口癖が「しょうがない」になりつつあると思うのは、私だけだろうか?







そこから東條さんの返信を待ちつつも、スレを進めていく。

時間もメールを送ってから既に一時間。

時刻は20時。

そろそろ夜ご飯の時間だ。




『ごめん。ちょっとご飯食べてくる~wwww」




そう打ち込んでさっき放り投げた携帯を一回除く。

返信はまだだった。



「はぁぁ。いきなりあんなメールだもんね。嫌われちゃったかなぁ?」



少し不安を抱えつつも、私はご飯を食べにリビングに重い足を引きずっていった。










「お風呂はさいこ~うだねぇ~~♪」



ご飯を食べ終わった私はそのままお風呂に入る事にした。

悩んでいる時はお風呂が一番!

湯船に浸かると、さっきまで悩んでいた事がちょっとだけ軽くなった気がした。



「お風呂はいいね。お風呂は心を潤してくれる。昔の偉い人が生み出した文化の極みだよ 」



ネットで見つけた何かのセリフ。

お風呂を生み出した人が実際に偉いかどうかは知らない。

でも、きっと偉いと思う。

いや私が今決めた。

異論は認めない!!



「はぅ~~。極楽~♪」



そこから私はボ~っとただただ湯船に浸かっていった。







「の、のぼせた~~/////」



ちょっと調子に乗って長湯してしまった。

頭が……頭がくらくらする。

誰か助けてくれ~~。



氷のうを頭に乗っけてベットに倒れこむ。

はぁ。

なんだかベットが冷たく感じて気持ちいいや。

このまま眠るのもいいかも。

時刻は23時。

まぁご飯を食べて、お風呂に入れば三時間ぐらい…………うん。長すぎだね。

いかに長湯をしていたか物語ってるね。



「う~~反省しよ―――――あっ!!」



寝転げながら横に置いてある携帯に何気なく目をやる。

すると、携帯のランプが数秒ごとに点滅していた。

これはメールが来ている時になる合図だ。




―――ってことは……




「東條さーーーんッッ!!!!」



私はその場で瞬間的に正座する。

うん。

今のは我ながら素晴らしい早業だと思う。

たぶん世界新記録だ。

だってのぼせた後にベッドの上でこんな事するのは世界で私だけだと思うし。



携帯を見てみると、思ったとおりメールの相手は東條さんだった。

ふふふっ。

これって通じ合っている証拠だよね?



なんて返信なのか緊張しつつ、メールフォルダを開いてみる。


「~~~っ!!/////」


来ていたメールを開いてさっきとは比べもにならないほど顔が赤くなっていく私。

東條さんからのメールの内容―――



『いきなりどしたの~?私は風香ちゃんの事好きだよ♡』





キターーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!





そしてハートマークいただきましたッ!!

これはもう間違いないよね!?

私が東條さんにあんな事やこんな事出来るのも―――時間の問題かな?



な~んてね。

いや、さすがに分ってますよ。

あっちだって友達としてって事で言っている事は。

これで勘違いしたらどれだけおめでたい頭なんだろ?



……見た瞬間は本気でそうは思ったけどさ。



少なくとも好きな人からのメールでこんなの来たら皆だってうれしいはずさ。

私は何事もなかったように淡々とこのメールに保護機能を使った。




『さて、みんなお待たせ~!返信来たよ~wwww』



あれからすでに三時間。

さすがに放置しすぎたと思った私はすぐに報告を始める。

住民は私が寝落ちしたと思っていたらしい。

そりゃそうだよね。

だってここの皆には夜ご飯を食べてくるとしか言ってなかったし。

早速私は今来たメールの内容をそのまま打って皆に晒す。



『んまぁ、これは友達としてだろうなwwww』

『でも付き合う最低条件は合格だな。』

『こっからが本当の勝負だぞ。ふぅよ!!』

『メールの文面可愛いな。』


などなどのレスがくる。

なんかここの皆は分ってたみたいだね。

さっきまで一瞬と言えど、喜んだ私って……。



『……orz』



気がつけばこんな文章?を打っていた。



『ふぅ?どうしたんだ?www』

『大丈夫か?』


ま、そうだよね。

私はなんでもないと打つ。



『それで、なんでこんな遅れたわけ?』



との質問。

遅くなったのは悪いと思うし……

私はそのレスに対して正直にレス返ししていく。











『おま、死ぬぞwwww』

『バwwwカwwwだなぁwwww』

『アホだwwww』

『でもそこが可愛いwwww』



う゛、やっぱ笑われたよ。

こうなる事は覚悟の上で晒したけど……やっぱり恥ずかしいな。



『う、うるさいな!じゃ、返信安価―――>>245』



私が打つと、そこからしばらくkskが続く。

さぁ次はどんな感じのが来るんだ?

内心ドキドキ期待しつつも不安が若干勝っている心境の私です。




:245 >>233ので。



ん?

>>233の??

私はカーソルを上にして>>233のを見てみる。





:233 私も好きだよ!それでラブって今まで何人と経験済み?





時が――止まった。












『い、一応送信したよ。』



私は泣く泣く送信した報告をした。



『終わったな。』

『よくやった。あとは楽になれwwww』

『短い間だったけど楽しかったよww』

『そんなふぅが可愛いぞーwww』


報告後こんあレスが返ってきた。

なんかさっきから私に可愛いって言っているヤツ、ごめん。

私は東條さん一筋なんだ。



まぁ今それも終わったけどね。

さすがにあの返信はまずかったかな?

だっていきなりだもんね。

なんの脈絡もないんだもん。

私だったら引くわ。



~~♪



携帯の着信音。

私は神のごとき速さで携帯を手に取り、来たメールを開く。

相手は―――



『明日の授業って英語あったっけ?』



同じクラスの仲が良くて可愛い瑠璃からだった。


「ざっけんな!!」


私は勢いよくベッドに携帯を叩きつける。

さすがに床はまずいと思った私の叩きつける瞬間0,5秒前の判断。

あ、危なかった……。

額の嫌な汗を拭いつつ返信してあげる。

私って何て心が広いんだろう。

すると、また着信音。

ふっ。

もう騙されないぜ瑠璃よ。

私は澄ました感じでメールフォルダを開ける。

相手は東條さんからだった。



「あ、あばばっばばばばばっばばばっばああああああああああああ!?!?!??!?!?!?!?!?」



いくら何でもこれはテンパりすぎだろ。

と、テンパりながら冷静に自分にツッコム。


震える手をしっかり押さえて内容を見てみる。



『なんか今日の風香ちゃんがっついてない?ww私は今まで付き合った事ないから~♪そういう風香ちゃんは~?』




「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」




携帯を掲げてのガッツポーズ。

コレは……気分がいいな。

私はすぐに今のメールを報告。



『おぉ!これはいいぞ!!』

『でも嘘って事はないよな?』

『それでふぅは何人なんだ??』

『ふぅ可愛いぞ~!!!』



もはやお馴染みだな最後のレスよ。

そして私の経験人数?



『もちろんゼロだっ!!!』



なんだろ?

今すっごい胸を張って言えた気がする。



『胸張って言えることか?』

『なるほど。ふぅは処女か。』

『可愛いよ~。ふぅちゃん可愛いよ~!!』



もう何も突っ込まない。



『さてさて、私もないよの後に続く安価―――>>304』



:304 私の初めてはお前だ



上から目線だなぁ。

それでも送るんですけどねぇ。



『送ったぞ~www』

『ラブはふぅの強気な感じにメロメロだなwwww』

『ラブってS?M?』



SかM?

私の中で答えは既に決まっている。



『Sだね♪』



だってあの娘絶対にそうだよ。

ここ最近の東條さんの事を想いだす。

…………。

絶対にそうだ。



『Sだったらさっきの上から目線まずくないか?』



「……あ。」



私はさっき送信したメールを見直す。

『私もないよ。だって、私の初めてはお前だからな♡』

…………。

めっさ上から目線やんけ。

これ、下手したらメールが出来ない所の騒ぎじゃないぞ?

嫌われちゃうよ……。



「ああぁぁぁぁぁっっもぉぉぉぉぉぉぉぉうッッ!!!!!!!!!!」



一体私は一日に何回絶望すれば気が済むんだろうか!?



~~♪



とそこで、また携帯の着信音。

私はまたもや神速を超えるスピードでメールフォルダを開く。



『今日の風香ちゃん本当にどしたん?www酔ってる~?そんなに私がいいのかい?そうか~wおいで~♪』



「は、はふぅ……。」



私はティッシュを引っつかみ鼻に詰める。

こう、妄想したら鼻血が……。

本当に出るんだね、鼻血って。











『へっへっへ。これが返信の内容だったwwww』

『おぉ!生き残ったか。』

『いい調子だwww』

『むしろラブもノリノリだろコレ!wwww』

『つかふぅよ。このwは実際にラブが使っているのか?』



さっきのメールも晒したみんなのレス。

あーそっか。



『このwは(笑)とか顔文字とかを私が勝手に変えてるんよ~!』

『なるほどな。』

『そっかそっか。ラブもこういうスレとか回っているんじゃないかと思ったわwww』

『そりゃないだろjk』

『実際にあるかもだぜ旦那?』




………………。


あ゛ーーーーーーーーッ!!!!!!

そうだよ!

その可能性だってあるじゃんッッ!!!!

私のばかぁっ!!!



……まぁコレに関しては平気だと思うけどさぁ。

なんか不安になってくるよね。



『たぶん大丈夫じゃないかな?それより時間もそろそろだし、今日はここで一旦落ちようと思う。何かメールを切る安価を頼む。―――>>412』



時間も私が何か妄想トリップしている間にかなり進んでいたようで……既に時刻は1時半。

さすがにラブ……じゃなくて東條さんも寝るだろうし、私も何だかんだで眠い。

だからごめん、みんな。

私を眠らせておくれ~~。





:412 ちょっと待って!その返事って……ラブのあれ?「付きあってもいいよ」の返事なの?





もぅ!

何でこうなるの!?

私、眠いって言ったよね!?



「くぅ~。安価は絶対なんて一体誰が決めたの~~。」



眠い目を擦りながらメールに文を打って、送信。



「はぅ~、東條さん、早くメール返してくれないかなぁ。」



でもこのメールを待っている感じ、恋人っぽくてちょっと好きかも////



~~♪



お、今回は返信が早い。

さっそく内容を確認。



「あ、あばばばばばばばっばばばああああああああああああああ!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?」



本日二回目の驚き。

まぁ日をまたいでいますが。

自分を落ち着けるために深呼吸。

これも何回目なんだろう?

そしてゆっくりとキーボードを叩いていく。



『返信来たよ。』

『今回は早かったな』

『でもふぅのテンション低くないか?』

『早く内容を晒せwwww』



そうだね。

あまり焦らすのも可愛そうだ。

実は―――


『「ふぅが起こすから寝れなくなったじゃんか~!もー早く寝て酔い覚ましなさいwwwってかそれ本気?」だってさ!!』

『うおぉぉぉおおおお!!!!!』

『本気も本気だと言うんだぁ!』

『↑いやそれはまだ早くないか??』

『つか、ふぅ。安価wwww』



おっとっと。

忘れてた。

う~んっと……



『じゃあ頼むよ!安価―――>>430』



:430 酔ってる勢いで言うのはどうかと思うけど本気だよ



『↑よくやったwww』

『さぁこれで爆死して来い、ふぅよ!』



よ、よしッ!

逝ってやるさ、野郎共!!

深夜の謎のテンションで若干おかしくなっている私。

でも今はそれを気にしている暇はない。

きっとこれは分岐点なんだ。

The 送信!!!






~~♪



早い!!

なんて返信の早さなんだ……!!

そして内容は―――



『「やっぱ酔ってんじゃんwwwまぁふぅがそう言ってくれるのはうれしいな!私はいつでもカモンだよ?」だってさぁ。もう死んでもいいや。安価―――>>465』

『キターーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!』

『おい釣り宣言はまだか?』

『なんて娘や。完璧だな。俺の理想だ!』

『もう突撃するのか?』

『↑いや、ここからが本当の勝負だ。』



頼むぜおまいら!

私は皆を――信じてる!!



>>465 私もいつでもカモンだよ!そろそろ眠いからまた明日メールするね!それかメールしてね♪


おぉ!

これぞ完璧!

スタイリッシュな終わり方だ!

ありがとう、>>465

私はさっそくメールを送る。



『おまいら今日もありがとう!私は明日に備えて寝る事にするよ!!』

『おぉ!ちゃんと保守しといてやるよ。』

『べ、別にふぅのためじゃないんだからね!////』

『俺、このスレは絶対に保守するんだ。』

『ふぅ!明日も待ってるぞ!!あと、愛してるーーーッ!!!!』



みんなイイヤツらだよ。

そして最後のヤツには――もう本当に何も言わない。

私はみんなのレスを少しの間見守り、PCの電源を落とす。



「はぁ~。今日はいい夢が見れそうだなぁ!」



ベッドに入りながら私は今日の東條さんのことを思い出す。

……なんて可愛いんだろう。

こんなにも私を夢中にさせるなんて、罪だなぁ。


私はそれから二分と掛からずに眠りに落ちた。











「お~い、風香ちゃ~ん♪」

「は、ははははいッ!!!!」



いつもの如く、後ろの席から話しかけられる私。

相手?

もちろん我がクラスの完璧超人こと、東條春奈さんだ。

今日も胸がでかい!美人!胸がでかい!の三拍子が揃っちゃっているSッ娘だ。



「昨日のメールはなんだったの~?」



くッ!

この娘はさっそくそこを攻めてくるのか!

さすがはSだよ。

でも、私だって負けてられない!

最近の私の目標はこのSッ娘を私抜きではいられない様にする事なんだッ!!

そしたら、東條さんが私を求めて…………すごい!

なんて夢のようなシチュエーションなんだ!!!



「うふふふふっ。最高だね~?」

「いや何が!?」



おっと。

私の妄想が……。



「なんでもないよ。そ、それで?」

「昨日のメールだよ~。忘れないでよね~?}



ハアァァァァアアアン!!!

う、上目遣いは卑怯だよぉ!!

なんでさ!?

なんで東條さんの方が身長高いのに、態々私に目線を合わせる!?



「あ、アレね!もっちろん覚えてるよ!」

「そっかぁ。よかった。で、昨日はどうしたの??」



はぁぁ。

言っちゃおうかな?

東條さんのことが好きだって言っちゃおうかな?

……いやいや、まだいくらなんでも早いよね。

そうだ。

住民の皆も言ってたじゃないか。

ここは冷静に、COOLになるんだ風香よ!!



「昨日はちょっとヨッテマシテ……ハハッ……ハハハッ!」



どうだこの演技力!

私の心の中をうまく隠せているでしょ?

冷静に、COOLになっているでしょ?



「……嘘でしょ?」



ジト目で見つめてくる東條さん。

バカな!

何故バレた!?



「で、本当は?」

「うぅ~」



だからその目は反則だってぇ!

私の心はもう折れる寸前まできていた。

って!

スレのことは言ったらアウトなんだから心折れたらダメじゃんッ!!!

ここは心を鬼にして―――



「やだなぁ。本当になんでもないって!……ね?」



私は少し強引に言いくるめ、最後にお返しとばかりに私も上目遣いをしてみる。

まぁ私の上目遣いではそんな効果はないと思うけどね。



「……な、なんだ~。そうだったのかよ~!」



おい。

今の間はなんだったんですか東條さん?



「あ、授業始まっちゃうね!」



そう言うなり席に着いちゃう東條さん。

……あれ?

私今……フラグぶっ壊したかな……?














「つ、疲れた~~」



部屋に帰るなり荷物を投げ出しベッドに寝転がる。

あー制服がシワになっちゃう―――けどいっかぁ。

もう今日は何にもやる気が起きない。

それは朝の事が原因かもしれない。

あの後、東條さんに話しかけてもなんだか避けられている感じがして……。

最後には私のほうが話しかけるのを諦めてしまった。



「あぅ~!!」



あの時、正直に言えばよかったのかな?

安価メールっていうのをやっていて東條さんにああいうメールを送ったんだよ~!……って。

まぁそれだと間違いなく終了しちゃうだろうけどね。

だったらどうすればいのさぁ、東條さ~ん!!


ちらりと時計を見る。

時刻は五時。



「少し……寝よう、かな。」



私は着替えもしないで制服でそのまま眠りに落ちた。















~~♪



「む、むぅ……」



どのくらい寝たんだろう?

携帯の着信音で強制的に眠りから覚まされる。

この着信音は……メールじゃなくて電話だ。



「う~~、と、とどけ~」



いまだに覚醒しきれていない頭。

携帯に手を伸ばすも、あと一歩届かず――



「あ、切れちゃった。」



まぁしょうがないよね。

こういう事もよくあることさ。

時計を見る。

短い針はすでに8を指していた。

ん~、少し寝るつもりが結構寝ちゃったな。

汗も掻いちゃったし、お風呂に入ってこよう。













お風呂に入り、ついでに夕食も食べた私は部屋に戻り、PCの電源を付けた。

もちろん、今日あったことを報告するためだ。

でも……。



「はぁ。なんて報告しよう……。」



あの時の東條さんの事を思い出す。

思いだす度に気が重くなる。



『やぁおまいら。』

『お!ふぅキターー!!!』

『なんかまたもやテンション低くないか?wwww』

『何があったんだwww』



ぅぅ……やっぱりここの皆は優しいな。



「実はさぁ――」



今日あったことを思い切って報告する。

あーーまた思いだしたら泣けてきた。



『ありゃりゃ。やっちまったなwwww』

『でもまだ決め付けるのは早いんじゃないか?』

『そうだぞ、ふぅ。電話でもメールでもしてみろ!』

『安価メールとは言わない。だけど、とりあえずは確認だけでもしてみろ。それからでも遅くはないと思うぞ。』



皆からのアドバイス。

そっか、そうだよね!

まだ決め付けるには早いよね!!



「そうと決まれば―――」



私はベッドの上の携帯を手に取り、さっそくメールを送ろうとする。



「あ、そういえば、さっき電話着てたっけ?」



誰からだったんだろう?

着信履歴を見てみる。



「ん~???」



けど、登録されていない電話番号で、誰からだったのか分らなかった。

誰だろう?

友達とかで携帯代えた人っていたかなぁ?



「まぁ今はそれどころじゃないか。」



~~♪



っと、そこで丁度良く?メールが届く。

送ってきた相手は―――



「あ、あばばばばっばばばばばばっばあばばばばばあばああ!?!?!?!?!?」







――東條さんからだった。



「な、なななななんで!?!?」



来たメールを開く。



『も~う!さっきの電話なんで出てくれないの~??www』









………………。




「……うっそ……?あれって、東條さんだったの……!?」



やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい…………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



私はそこで携帯をベッドに放り投げ、野郎どもに知らせる。




『私はまだ生きていた!!!』



これでわかるかな?

いや、わかれ!



『キターーーーーッッ!!!!!!』

『また勝負は終わってなかったんだな!』

『こっから反撃か?』

『ふぅ可愛いぞ~~!!!』



さすがおまいら。

やっぱり分ってくれたな。

そして、最後のヤツ生きてたんだな。



皆からのレスを見て、自分を落ち着けながら、着信履歴を開く。

さっきかかってきた番号。

これが東條さんの携帯番号。

思わぬ形だったけど、やっと……やっと手に入れた。




『おまいら、今から電話してくる。』



私はそう書き残し、一旦PCから離れて携帯を向き合った。

うっ……すっごい心臓がバクバクいってるのが分る。

でもここで負けたら試合終了だ。



「うりゃーーッ!!!!」



番号を打って、携帯を耳に持っていく。



プルrガチャ。



『はいもしもし。』



はやッ!

東條さん電話出るのめっちゃ早いよ。

ワンコールだよ。



『あ、あの……もしもし。と、東條さん?』

『あ、風香ちゃん?こんばんわぁ。』



学校での東條さんではなく、いつもの親しみやすい東條さんに戻っていた。



『あのさぁさっき電話したんだけど~?』

『ご、ごめんね。さっきまで寝ちゃってて。』

『も~ぅ。ま、電話掛けてくれたから許しちゃう。』

『おっふぅ!!』



こ、こいつ……かわぇぇ!!!!



『お、おっふぅ?』

『いやいや、何でもなかよ。』

『いや急に変な言葉は言うわ、どっかの方言は使うわ。ホント、風香ちゃんは可愛いなぁ。』

『そ、そんなこと……』



私が可愛い?

だったら東條さんはなんだい?

神かい?

GODなのかい??



『まぁその話は置いといてさ。』

『ひどいなぁ。』

『まぁまぁ。それで?どうしたの?急に電話してくるんだもん。私、東條さんの電話番号知らなかったからビックリしちゃったよ。』

『またまたひど~い!』

『だって、知らなかったんだもん。てか、なんで東條さんは私の電話番号を?』

『雫ちゃんに聞いたんだぁ。』

『雫に?』



雫は私とクラスメイトで友達だ。

雫は瑠璃といつもセットになっていて、二人とも可愛い。



『…………』

『ん?どうしたの?』



東條さんの反応がない。



『風香ちゃんってさ、雫ちゃんや瑠璃ちゃんには名前で呼ぶのに、私は苗字で呼ぶよね?』

『ま、まぁね。』



だって恥ずかしいもん////



『なんで私は名前で呼んでくれないの?』

『だ、だってぇ……/////』



好きな人を名前で呼ぶなんてそうそう出来ないよね。



『ダメ!今日、今から私の事も名前で呼んで!はいッ!』



うわぁ。

名前で呼ぶことがここ数秒で決まっちゃったよ。



『ほ~ら~っ!!!』

『うぅ////』



ここは選択肢なのか?

だ、だとしたら、学校での失敗を、今ここで……!!




『は、春奈……ちゃん/////』

『~~~~!!!///////』



なんか電話の向こうからドタンバタンと大きい音が聞こえたんですが……。



『だ、大丈夫?』

『え、あ、ああうん。大丈夫大丈夫。』



いや絶対に大丈夫じゃないでしょ?

なんだか知らないけど明らかに動揺しているよね?



『でさ、春奈ちゃんはなんで電話を?/////』



まだ名前で呼ぶのは少し抵抗があるなぁ。

まぁでも、これってかなり前進してるよね。

このままもっと進展させれば……!!



『そのことなんだけどね。……今日、なんだか素っ気無い態度とっちゃたじゃん、私。』

『うん。私悲しかったよ~?』

『あ、あの、その、ごめんね。嫌いになったわけじゃなくて……ただ……』

『……ただ?』





『その、風香ちゃんの上目遣いが可愛いくて……照れてただけだよ(ボソッ』

『――――っ//////////』



私は……もう、死んでも、悔いがないかもしれない。



『え、えへへ/////そっかぁ。照れちゃってたのかぁ。恥ずかしかったのかぁ。ならしょうがないねぇ。えへへへ////』

『ちょっ風香ちゃん?なんかキモいよ?』



うっ……本当の事とは言え、私の心にダイレクトアタックで100,000,000のダメージ。



……でもいっか。

東條さん―――じゃなくて、春奈ちゃんになら罵られても。



『じゃ、じゃあね。この事を伝えたかっただけだから。もう切るよ?』

『あっ、ま、待って!!』



このまま終わるのもなんだか勿体無い。

今日は私に恋の神様が光臨なさっているに違いない。

積極的にいかねばッッ!!!



『明後日の休み、私の家に来ない?』

『え、いいの?』



なーーーーッ!!!!!

なんて積極的な事を私は平然と言ってるんだぁ!!

そして春奈ちゃんはノリノリだし。



『やった。楽しみにしてるね!』



しかもなんだか楽しみになさっている。

こ、これは……やるしかないな。



『私も楽しみだよ。じゃあ今日はもう遅いから、明日学校で。』

『絶対だからね?じゃあ明日ね。おやすみ~!』



春奈ちゃんは上機嫌な感じで電話を切った。

















「……とりあえず、報告だな。」


































「ん~~~っ!!!もう朝かぁ。」



なんだか顔に光が当たっていると思ったら、カーテンを閉めずに寝ていたから、日光が窓越しで私の顔に当たっていたようだ。

おかげで、少し目がチカチカする。

嫌な目覚ましだなぁ。



そう思いながら壁に掛けてある時計に目をやる。



「…………え?」



私が見た時計の針は短い針が8、長い針が1を指していた。















「はぁぁ。疲れたよ~」



速攻で着替えた私は学校まで休むことなくダッシュをし続けた。

結果、なんとか……なんとか遅刻はまのがれる事ができた。




「私って最強?」

「誰に聞いてるの?」



私の質問に質問で返してくるお方。

その声は間違える事ないほど、美しく、凛々しい声。



「あ、東じょ――じゃなくて、春奈ちゃん。」



「また苗字で呼ぼうとした~?」

「そ、そんなことないよ。」



私は首が折れるんじゃないかってぐらい横にブンブン振る。




ゴキッ!




「カハッ!?」

「ちょッ!!!」



おっと首を思いっきり振りすぎたようだ。



「ふ、風香ちゃーんッ!!」



グキッ!!



「カペッ!?」



春奈ちゃんが今度は逆方向に無理やり首を曲げる。

一応、首の向きは治ったけど……



「ぜ、絶対……筋をおかしくしたよ……」



寝違えたのを無理やり治した感覚が首に残る。



「朝からどうしたの~?」

「…………だ、大丈夫?」



と、そこでやってきたのは同じクラスの瑠璃と雫だ。

どうやら私と春奈ちゃんのやり取りを見ていたようで、二人は私を見ながら近づいてきた。



「うわぁ、風香ちゃんなんだか辛そうだね。」

「やっぱりそう?」



瑠璃が言うには、私の首はどうやら見ていても痛そうらしい。

まぁ実際に痛いわけだし。



「シップとか貼ったほうがいいんじゃない?」



さすが雫だ。

いつも冷静に物事を判断して対処してくれる、頼れる存在。



……寝違えたような痛み=シップを貼るなんてのは当たり前?なんだけどさ。



「う~ん。でもいいよ~。こんなのは放っておけば治るし~。」



それにこの痛みは春奈ちゃんが与えてくれた痛みだしね。

そう思えば痛みも快楽に変わるってもんさ。



「~~~♪」



私は首を押さえながら鼻歌を歌う。

その様子を春奈ちゃんと瑠璃と雫は一歩引きながら見ていたという。











「さ~ってと、今日も元気よく帰りますか~~!!!」

「放課後になるとさらに元気になるよね。」



帰りのホームルームも終わり、イスから立ち上がり、伸びをする。

放課後の開放感ってすごいよね。

まるで……まるで…………



―――たとえが思いつかない。



「私って……ホント馬鹿。」

「風香ちゃんってたまにおかしくなるよね?」

「ひどくないッ!?」








学校を出て、二人並んで帰る。

いよいよ明日は春奈ちゃんが私の家に来る日だ。

私は明日、勝負を仕掛けることにしていた。

絶対にこの娘を私のものに……!



「私、頑張るよッ!!」

「え!?あ、う、うん。がんば……れ?」



何故か私は隣を歩いていた春奈ちゃんの手を握り締めながら勝負相手に宣言していた。

しかもその相手からエールを貰っているし。



ただ、その時の春奈ちゃんの顔が若干赤くなっていた事に、私は気づいていなかった。

















「みんな、明日は決戦だよ。」


家に帰った私はPCを起動して、住民の皆に知らせる。



『マジか?』

『早い気もするが……』

『早いなwwww』

『まぁ爆死したら骨くらいは拾ってやるよwww』

『頑張れ!ふぅ!!』

『ちなみに勝負とは告白なんだよな?』



皆レス早いなぁ。

私としてはありがたいんだけどさ。

それに勝負内容が告白だって?

私もそこまで馬鹿じゃないよ。

さすがにまだ早い思う。



だから―――




『いんや。勝負内容は、ラブの胸を触る!』




そう。

まずはスキンシップだよね。

私としてはこれ以上のスキンシップはないと思うんだ。



『バwwwカwwwだwwwww』

『真性の変態がここにいた』

『お前、絶対に頭はエロオヤジだろ。』

『通報しますたwwwww』



あれあれ?

皆ひどくないかい?

そんなに変かなぁ?

女子高だとこんなの日常だと思うんだけど。



『とりあえず、明日は頑張ろうと思います!報告以上!』



最後にそう打ち込み、PCの電源を落としてベッドに入る。



「うふっ。明日は春奈ちゃんとこのベッドで……うふふっ。」



その日、私は枕を抱きながら寝ました。

なんで枕を?

それは枕=春奈ちゃんだからだよ~。




















「部屋の整頓よしッ!お菓子とジュースもよしッ!お母さんも居ないッ!準備は万全だね!!」



翌朝、といってももう昼なんだけど。

私は春奈ちゃんを家に迎える準備をしていた。

あの完璧超人Sッ娘を我が家に迎えるんだ。

少しでも不満にさせないようにしないとね。



~~♪



「あ、春奈ちゃんからメールだ。」



内容:今家の前にいるんだけど~。



「インターホン押せよッ!!」



ちなみに家の場所は事前に教えていたり。

私はいそいで玄関に向かう。

そして光速でドアを開けた。



ドカッ!



「アイタッ!」



開けると同時に何かに当たった感触。

嫌な予感が一気に私の頭をかける。



「あ、あれ~~?」



その時の私は嫌な汗をたくさん掻いていた。










「ご、ごめんね!いや、すいませんでしたッ!!」

「ちょっと。土下座なんてしないでいいから。」

「いえいえ。それにその方がSッ娘の春奈ちゃんはうれしいでしょ?」

「え、S……ッ娘?」



おっと。

またもや口に出してしまった。



「なんでもないよ、気にしない気にしない。」



私は土下座を止めて、部屋に用意してあった座布団に座る。

春奈ちゃんもそれにつられてもう一つの方に座った。



「ここが私の部屋です!」

「うん、そうだね。」

「…………」

「…………」

「………………」

「………………」







なんで!?

なんで会話が続かないの!?

春奈ちゃんもキョロキョロと私の部屋を挙動不審に観察しているし。

なにか話題とかないかなぁ。

く~~っ。

こんな事なら住民の皆に何か話題とか聞いとけばよかったなぁ。



少し後悔をしながら私も春奈ちゃんの様子を観察する。



なんかお嬢様オーラ漂ってるなぁ。

でもそこに嫌味なんかなくて。

むしろ似合っているし。

それに今日はお化粧も薄くしてる。

私的にコッチのほうが春奈ちゃんの美形を殺さずにいていいと思う。

まぁ普通にお化粧している時も可愛いんだけど……うふふっ。



「あ、水羊羹じゃん。私大好きなんだぁ。」



私が妄想に浸かっていると、テーブルに用意してあった水羊羹を見つけた春奈ちゃん。

きっと犬だったら思いっきり尻尾振っているんだろうなぁ。

……可愛い///



「あ、いいよ~。どんどん食べて!」



私は春奈ちゃんに水羊羹を渡す。



「ありがとう。じゃ、いっただっきま~す。」


春奈ちゃんはそう言うと、水羊羹を一口サイズに切り、そのぷるんとした口に運ぶ。

春奈ちゃんの唇―――やわらかそうだなぁ。

ホント、この娘に弱点とかあるんだろうか?



……いや、ないんだろうなぁ。

はぁぁ。

この娘のすべてがほしい。




「はい。風香ちゃん、あ~ん。」



「―――っ!!」



春奈ちゃんは私に一口サイズに切った水羊羹を差し出してくる。



「え?あ、あの~?」

「ほ~らっ。あ~ん、だよ?」

「うん。あ~~ん/////」



何がなんだか分らなかったけど……そんなの関係ないよね!

そして春奈ちゃんと間接キス////



「どう?」

「おいしいよ!春奈ちゃん味だね!」

「あはは。なにそれ。」



その後もお菓子を食べたり、音楽を聴いたり、マンガを一緒に読んだりと、まったりとした時間を好きな人と一緒にすごした。







そして今―――




「こ、これはチャンスじゃないでしょうか?」

「ん~~Zzz」



目の前にはベッドで寝ている春奈ちゃん。

どうやらベッドで横になりながらマンガを読んでいる最中に寝てしまったようだ。

私もさっきまで寝ていたりする。




よ~しここは―――




「ミッション・スタートだ。」




そろりそろりと震える手を春奈ちゃんの胸に伸ばしていく。

春奈ちゃんの胸は小さく上下に動いていて、動くたんびにぷるぷると揺れている。


まるで……まるで…………!!



「プリンやーーーッッ!!!!!」



そのまんまの事を叫びながら春奈ちゃんの豊満な胸を鷲づかみ。



むにゅぅ



「おおおおぉぉぉぉっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」



す、すごい!!

なんだこの柔らかさはッッ!!!!

私の胸は……



ふにゅふにゅ



こんなに柔らかくは……つかこんなに大きくない!!

神様……ひどいや。



「うわあぁぁぁぁん!!!」



私は泣きながらもひたすらに、その柔らかくもボリュームのある胸を揉みしだきつづけた。












「あ……ん。え?風香、ちゃん?」

「わあぁぁぁぁん……はへっ?」




―――数分後



唐突に春奈ちゃんが目を覚ます。

そりゃそうだ。

唐突でもなんでもない。

あんなに胸を揉んでいたんだ。

むしろ、起きないはずがない。

しかも私泣いてるし。



「ど、どうしたの?私、状況が把握できないんだけど……?」



でしょうね。



「あ、あぅ……ごめんなさい。」

「いや、別にいいんだけどさ。その、どうしたの?」



二回目の「どうしたの?」



「え、えっとね……そのぉ」










「なるほどね~。私は好きだよ。風香ちゃんの胸。」

「……え?」



マジっすか!



「で、でも私は春奈ちゃんの胸大好きなの!」



むにゅぅ



「あん……もぅ!」



ふにゅ



「ひゃん!もぅ!!」





そこからはただひたすらに、傍から見たらどうでもいいやり取りをを繰り返していった。









「はぁ……はぁ。」

「もぅ、ダメ……。」



気づけば、二人してベッドの上で乱れた服装で力尽きていた。



「は、はは。私たち、何してるんだろうね?」



春奈ちゃんが私に聞いてくる。



「でも、楽しいよね。こういうの。」

「そうだね~。私も風香ちゃんといれて楽しいよ。」



二人して笑う。

本当に春奈ちゃんといると楽しいことばっかだ。

















「風香ちゃんは私といて……楽しい?」

「……はい?」



今度こそ唐突に春奈ちゃんは私に聞いてくる。

これまでの雰囲気とは打って変わって、シリアスちっくな雰囲気になる。



「私はさ、よく風香ちゃんに完璧超人って言われるけど、実際はそんなすごい人じゃないんだよ。」



春奈ちゃんは仰向けのまま、天井を見ながら話し始める。



「たしかに私は色んなことが出来るって言われるし、自分でもちょっとは自覚があるんだけどさ。」



あんだけの事が出来て、ちょっとって……そしたら私はどんだけ出来ないダメ人間なんですか?



「それに私って頼まれると断れない性質でさ。無駄に色んなことができるから、昔から色々な頼まれ事をされてはそれを請け負って。そして……」



春奈ちゃんはそこで少し区切り―――



「たまに失敗すると、「なんでこんな事も出来ないの?肝心な時に使えないなって!」……って言われて。」

「え?」

「知らなかったでしょ?私って中学上がるまではイジメられていたんだよ。部活とかもたくさん掛け持ちしていて、それで全国大会とかいくから、その部の人達からは睨まれたり。そんなだからね、私は……人付き合いが苦手な人間なの。だから風香ちゃんが言うような完璧超人なんかじゃ……決してないんだ。」



春奈ちゃんはそう言うと寂しそうに微笑む。

私はただただ、そんな春奈ちゃんの話を黙って聞いていた。

そして聞いた内容はあまりにも想像できないもので、私がいかに春奈ちゃんの事を理解していなかったのか痛感した。

さっきの春奈ちゃんの「私といて楽しい?」という質問もそういう経緯から生まれた質問なんだろう。






「え?な、なんで泣いてるの?」



春奈ちゃんが上半身を起こす。



「???」



目元を拭うと、たしかに目からは無意識で涙が流れていた。

きっと……



「私は、悲しかったんだ。」

「悲し、かった……?」

「うん。…………だって……」



だって……こんなにも悲しいのは……



「私は春奈ちゃんの事、一人の女性として好きだったのに……何にも分っていなかったんだなぁ、って。」

「~~~っ////////」





……あ、あれ?

私、今どさくさにまぎれて告白しちゃった?

………………。



いやいやいやいやいやいや!!

さすがにそこまで馬鹿では……



「そ、そうだったんだ。風香ちゃん、私の事……好きだったんだ/////」




あーーーーーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?

私馬鹿じゃんッ!!!!

大馬鹿者じゃんッッ!!!!!

何やっちゃってんの!?

しかも告白した記憶も曖昧だし……!




「ノオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「きゃっ」




私は勢いよく起き上がろうとするがバランスを崩し、上半身だけ起きていた春奈ちゃんに思いっきりダイブしてしまった。






「あ、あわわわわ、ごめん。ごめんね!」



私は色々な事が起こり過ぎて、半泣きの状態で春奈ちゃんから退こうとする。

もういやだ。

せっかく近づけたと思ったのに、告白して引かれるし。

今までの思い出がまるで走馬灯のように頭の中をかけていく。

さらば、私の青春。














「まって!!」

「はぅ!?」



退こうとした瞬間、春奈ちゃんが私の腰に腕を回して、体を密着させる。




「なんで泣いているのか、察しがつくから言うけど……私も好きだよ。風香ちゃんのこと。」

「…………ゑ?」



こ、この娘も何を仰っているんでしょうか??

いきなりの告白返しですか??



「最初はそんな事なかったんだけどね。中学のイジメから逃れてやってきた高校でさ、初めての友達だったわけだし。でも、一緒に過ごしている内に、段々と私の知らない風香ちゃんの一面が見れたりして、気がついたら風香ちゃんのことばっか考えてた。もうこの時点で私は風香ちゃんの事が、風香ちゃんのことを愛してたんだと思う。」

「………………。」



私は無言で春奈ちゃんから退き、部屋の隅をあちこち見て回る。



「ふ、風香ちゃん?」

「おかしいよ!どこにもドッキリ用のカメラがないッ!!」

「先に告白してきたの風香ちゃんじゃん!なんで告白側が返事を聞いてその反応なの!?」



おっと。

あまりのことなんで頭がいつもよりおかしくなっていたようです、はい。

つか決める時は男らしいな、春奈ちゃん。

カッコいいよ。



でもさ……



「だ、だって急なんだもん!びっくりするでしょ普通!」

「そのセリフは風香ちゃんに言われたくないよ!?」



怒鳴りかえしてくる春奈ちゃん。

でも春奈ちゃんの顔は笑顔だった。



「なんでそんなに笑顔なの?」

「風香ちゃんこそ。」



私は自分の頬を触ってみる。



「それで笑顔かどうか分る?」

「ん~わかんない。」

「はいこれ。」



春奈ちゃんが手鏡を渡してくれる。

その手鏡で顔を見てみると……



「本当だ。私、笑顔だし……また、泣いてるね。」




この涙はうれしさからなんだろうか。

泣いているのに全然悲しい気持ちになんかならなかった。

むしろ、私の心はうれしい気持ちでいっぱいだった。

それというのも……



「ありがとう。風香ちゃん。私の事好きって言ってくれて。」



目の前で笑いかけていてくれる好きな人のおかげなんだろう。



「春奈ちゃんこそ。私の事をそういう風に見てくれていたなんて////」



私たちはまた、お互いに笑いあった。































『みんな。そういうけでお付き合いする事になっちったよ。なんか急ですまない。』



『はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!?!?!?!?』

『マジか?マジなのか!?』

『こんなの絶対おかしいよ!!』

『胸触るミッションがなぜに告白?しかも成功してるし。』




春奈ちゃんとお付き合いを始めてまだ四時間。

ついさっき春奈ちゃんが帰ったばかりの部屋で私は住民の皆に報告していた。

そして、みなさんの驚きのレス。

私は多少省略しつつ、みんなに経緯を教えていく。






『なるほどな。』

『ラブが意外と男らしい?』

『よかったな。ふぅ。おめでとうwwwww』

『このスレを楽しみにしていたんだが、今日で終わりか。意外と、つか早かったなwwwww』

『それでも今までは確かに充実した時間を過ごせたんだ。本当にありがとう!』

『いつまでもお幸せにな。』

『お前ら二人ならきっとうまくいくだろうよwwww』

『おwwwwめwwwwでwwwwwとwwっうwwww』

『また困った事があったらスレたてにこい!いつでも待っている!wwww』

『ふぅ、可愛い!大好きだぞ~!!!!!』








そしてこのレスである。

こいつら、本当にいいヤツらばっかだ。

最後のヤツもずっといてくれたな、ありがとう。

春奈ちゃんと付き合えたのもこいつ等がいたおかげだ。

あの安価メールの……おかげだ。



段々と目頭が熱くなっていく。

感謝してもしきれない。



『みんな本当にありがとう。これもすべてお前らがいてくれたおかげだ。お前らがいてくれなきゃ私……。何か困った事があったら必ず真っ先にお前らを頼る。その時は頼むぞお前ら。まぁ私とラブの間にはそんな事は起きないだろうけどさwwww……でも、本当にこんなスレに付き合ってくれてありがとう。最後に……』



私はそこで一旦打ち込むのをやめる。

そして、今までの感謝の念を込め……



『最後に……お前らも幸せになれますように!!』



私は最後の文を打ち込む。




こうして私の始めてのスレは幕を閉じた。











































「風香~?」

「もう待ってよ~。まったく、相変わらずSッ娘なんだからぁ♪」

「う~わ~、キモ~。」



あれから一年。

早いもので、今年で私たちは卒業だ。

春になればお互いはバラバラの大学。

進学先についてはたくさん二人で喧嘩もしたけど……まぁその話はまた今度という事で。

まぁ進む道は違っても、私たちがいつまでも一緒って事は変わらない。

こんな簡単な答えにたどり着くまでに、ホント、どれだけ喧嘩したんだろう。



でも今となってはいい思い出になっている。




「は~や~く~ッ!!!」

「うぅ~。ハルちゃんが早すぎるんだよ~!」

「その呼び方やめてって言ってるでしょ?」

「じゃあハルルン?」

「……やっ!」

「ハル?」

「それもい~や~だ!」



はぁ。

まったく我侭なんだから。

じゃあ……



「やっぱりハルちゃんで♪」

「……もぅそれでいいよ。そんな事よりさ」急ごうよ~!




何をこんなに急いでいるのかって言うと、今から私たちの部屋を探しに行く予定だ。

お互いに一つの部屋を借りての同棲だ。



むふっ……同棲、なんていい響きなんだろう。



「えへへ////」

「風香は去年からあんまり変わらないね~。」



ハルちゃんは少し呆れながら言う。

う、うるさいなぁ////



「じゃ、先にいくから。」





そう言い残すと、本当に一人でスタスタと不動産屋に向けて歩いていく。





「もぅ……ハルちゃんったらぁ。」



私はハルちゃんの後姿を見る。

きっとこれからの生活で、私たちはたくさんの困難があるだろう。

同性愛なんて、世間からはいい印象はあんまりない。

でも、そんな苦しい生活でもハルちゃんが隣で笑っていてくれるだけで、乗り越えていける自信がある。



今日はそのスタートだ。

ハルちゃんの後姿。

絶対にあの娘を手放すもんか!

新たな決意にきゅっと拳を握る。





まぁでもその前に……



「今日もラブはきれいだなぁ。」



私はそう小さく言葉をこぼす。

もちろん、ハルちゃんに聞こえないように。



さ、これからこの娘を手放さないためにもしっかりと見とかないとね。




「まって……ってあれ?もういないッ!?は、早くないですか?ハルちゃん!!!!」



そして今日も私は、ハルちゃんの後姿を必死に追いかけるのでした。










「はぁぁ。本当にSなんだからぁ♪」








マ「次は過激なのを書きたいなぁ。」


劉「どういうの?」


マ「う~ん。少しだけえっちぃの!!」


劉「え~」


マ「いいじゃんかぁ!!」


劉「……まぁ好きにすれば。」


マ「え~読んでくださった皆様、ありがとうございます。今回は無駄に長くなってしまって……そのために大変読みづらくなっているでしょう。本当に申し訳ございません!」


劉「えっと、ごめんなさい。」


マ「それと、今回こちらを読んでくださった皆様にお願いです。感想をください。批判でもなんでもいいんです。ここをこうしたらいいんじゃないかな?とかいや、ここはこうだろう!っていうような否定だけでもいいんです。とりあえず、感想をください。その感想は次回の短編のために勉強させていただきますので。これだけはよろしくお願いします。」


劉「あとは?」


マ「あと今回こちらの文は、ゲームシナリオのために書いたのを小説のように書き直したものです。なので一行書いたら次に移っていると思いますが……気にしないでください。書き込んでいるのだと、どうしてもこちらの方が読み直して修正しやすいので。なのでそちらだけご了承ください。」


劉「こんなものかな?」


マ「次回の短編はどうするかぁ。ヤンデレの依頼がきているんだよなぁ。」


劉「ほかにも何かやって欲しい事があれば感想と一緒によろしくお願いしますね。」


マ「そうだな。よろしくです。では、今回はこの辺で!」


劉「次回作もよろしくお願いします!」


マ「感想の件、本当にお願いします!!そして『どうしてこうなった?!神による転生者の輪廻物語』の方もよろしくお願いします!!!!ではッ♪」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  ふぅ、可愛いよ、ふぅ!!  キャラクターも設定も良くて、短いのがちょっと物足りなかったけど、とても良い作品だと思います。  出来れば今度はGLで、長編を見てみたいです。  もし可能でした…
[良い点] パソコンのスレに応援されている所とかに見えない絆があったのが印象的だった 後ちょっと初々しい所がよかったです。 [気になる点] 好きになった理由がイマイチだった [一言] クーデレやストー…
[一言] 投稿お疲れ様です! ふぅちゃんはホントにイイキャラしてますねw(良い意味で) ラブちゃんも何だかんだでノリが良くて楽しかったです。最後の方の胸の触り合いとかも女子高生って感じでエロ…もと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ