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転生貴族の荒れ地開拓日誌 魔力詰め込み放題って本当ですか?  作者: 雪
一章 実家脱出編

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1  荒れ地の守護

「次の当主にはヴィルトンを任命する。」

「はっ!謹んでお受けいたします!」


これでよかったんだ。

やっと肩の荷がおりる…

だいたい非公式なんだから、ヴィルトンにだけ伝えれば済むだろうに。


「ヴィルトンには今後、貴族学院で作法を学びながら、領主の仕事も学んでもらう。忙しくなるだろうが頑張るのだぞ。」

「はっ!ご指導のほどよろしくお願いいたします!」


兄のヴィルトンはまだ15才、貴族学院の生徒だ。

正式に継ぐのは2年後である。


ヴィル兄の事だ、おれの洗礼前から話をつけてたんだろう。

ま、これでおれへの嫌がらせが無くなるならそれでいいさ。



「…そしてエルロンド、お前には()()()()()()()()()を任せることにした。」


…?



…何だって?



「これはお前の才能を見越して任せるのだ。お前ならロックハードを再興してくれると期待している。」


岩しかないロックハードの再興?

何を言ってるんだ?


「良かったなエル。お前もこれで領地持ちだ。僕は次期当主として、常々ロックハードの安全を心配していてね。ブラン山脈があるとはいえ、となりのドルメキア帝国とわがセレーナ王国の関係は悪い。だが、もしドルメキア軍が山脈を抜けてきても、お前がいればこの領都に警告ぐらいできるだろ?僕も安心できる。」

おれは兄にとって、警報器代わりか?

それにドルメキア軍が攻めてくるなら、北のアーガソン領の方が確率が高いはずだ。


「ちょっと待ってください!ロックハードの守護なんてほとんど意味が...」


「レオナルド兄さんは若いころから王都で騎士として活躍している。お前にも活躍の機会を与えようというんだ。お前は喜ぶべきだ。」


「エルロンドよ、すでに先ほど国王陛下へ任命の許可申請の書状を出した。これは決定事項だ。」


まだ許可が出る前なのに決定事項?

もっと前から裏工作でもしていたのか?


「そんな!待っ「たまたま連れてきていた僕の部下がちょうど学院へ帰る事になってね。ついでに手紙の配達も快く引き受けてくれたんだ。うちは財務派閥だからね。無駄はきっちり省かないと。」

「良い心がけだな。その調子でオーウェン家を頼むぞ。」


なんだこれは?


おれをオーウェン家から消すつもりなのか?

12才で荒地の守護に任命するなんて、死刑宣告と同じだ。


「.....かしこまり...ました。」


12才のエルロンド・レイ・オーウェンは荒地ロックハードの守護となった。


ーーーーー


いったん席を外せと命令された。

現当主様と次期当主様で、今後のオーウェン領の経営とおれの処分について話し合うのだろう。


この世界では、12才になると、スキルを授かるために教会で洗礼を受ける。

今朝おれも洗礼を受けたばかりだ。


得たスキルは《魔力制御》。

スキルのランクは星5つ中の、星2つ。つまり下級ランクだ。

星5つの、しかもユニークスキルを得ているヴィルトンと比べるまでも無い。

進化先も無いので、成長性のある子供のうちに取れた意味もない。


洗礼時に得られるスキルは、洗礼時の知識や能力、そして才能に合わせた最適なスキルとなる。

さらに、特定の条件を満たした状態で洗礼を受けると、通常スキルからは進化できないユニークスキルが得られる。


教育を施す余裕のない庶民は、星1か2の通常スキルを得る事が多い。


ただ貴族は洗礼の日に備え、英才教育を行いユニークスキルの獲得率を高めている。


さらに高位の貴族は、特定の系統のユニークスキルを得るためのノウハウを持っていたりする。


オーウェン伯爵家も文官系のスキルを取るノウハウを持っていて、代々財務閥へ文官を輩出してきた。


(おれは文官系の教育を受けていたのに、魔法系スキルだった。しかも《魔力制御》は星2の下級スキル。魔法使いとしての才能が乏しいという事。そして、もっと文官としての才能が無いという事。)


(客観的に見て、かなりの無能だ)


貴族は血筋を重んじる。エルロンドのせいで、一族の婚姻なども不利になる可能性がある。


「せめて、星3か4の中級だったら…いや、むしろ星2で良かったのか…」


ヴィルトンがおれを次期当主候補から排除しようとしているのは知っていた。

長男のレオナルドが騎士の道へ進んだため、次男で側室の子のヴィルトンにも見えて来た当主への道。

ヴィルトンがこの機会を逃すはずがない。


三男だが、正室の子のおれが中途半端に良いスキルだったら、より強行な手段で排除して来たかもしれない。


まあ、ロックハード送りだってほとんど死刑と同じだけど。


思えば昔からヴィルトンはおれを敵視してた気がする。

理由は分からない。


いや、今はそんな事より先の事だ。


トントン!


「エル様〜。ライアン様が書斎までお呼びですよ〜。」

おれ付きのメイドのメローだ。


「メローか。すぐ行くよ。」

ヴィルとの話が終わったんだろう。


おそらく、おれの処分についても…


「エル様、ユニークスキルじゃなかったからって気を落とさないでください!ユニークスキルが無くても、エル様が可愛いのは間違いないですから!」

行く途中、エルがおれを慰めてくれる。


「ありがとう。」

まだロックハードのことはいつ言おうか...


ーーー


書斎に行くと父が待っていた。

さっきと違い、メローも同席だ。


嫌な予感がする。


「任命式だが、あまり豪華にやると領民の顰蹙(ひんしゅく)を買うだろう。よって今回は省略することにした。代わりに路銀を多めに渡してやる。」

三男を荒れ地に送るなんて、領民や他の貴族に知られたくないもんな。

多分、寄り親のヴァージル家にすら詳しく告げてないだろう。


メローが首を傾げている。

もしかしたら、任命と聞いて、おれが当主に任命されたと思ったのかもしれない。


「それで、王都生まれのメローだけではロックハードは荷が重いだろうから…」

「…ロック…ハード…??」


今までメローはおれの面倒をよく見てくれた。

道連れにはしないと決めた。


「そうですね。メローはこの家に残してください。」

「なに?いいのか?」

「大丈夫です。身の回りの世話ぐらいなら自分でできます。きっと何とかなりますよ。」


メローの顔が青ざめていく。


「ならちょうど良い。代わりにワイルダーと言う男を付けてやる。新しく我が家に仕えることになったヴィルの部下だ。しばらくお前に貸してくれるそうだ。さすがはヴィルの采配だな。」


は?

そうはさせない。


父はおれが出て行った事が御者の口から広まるのを警戒してる、もしくは財務派の家系の当主らしく御者代をケチるつもりだろう。


だが、ヴィルは違う。

あいつはおれを消そうとしてるんじゃないか?


おれを荒地送りにするあいつが、親切心でおれに部下を付けるとは思えない。


「いえ、それには及びません!必ずや()()()()父上の期待に応えてみせます!任せてください!兄の力は借りません!」


今まで当主候補から下ろして貰うために演じて来た、能天気っぷりの出番だ。


「ふむ。しかしロックハードまでの御者は必要だろう?ワイルダーは馬の扱いも慣れているらしい。他に適任がいるのか?」

ヴィルトンのやつ、退路を塞いでいる。

さすがに事前準備では勝てない。


ハッタリでもなんでも言うしかない。

「付いて来てくれそうな者に心あたりがあるので大丈夫です!」

「お前に部下がいるのか?お前にもいちおうオーウェン家の血が流れていたのだな。」

お前の息子なんだから血は当たり前だろ!


いや、まぁ部下はいないけど。


「早い方がいい。出発は明日の夜だ。荷物と部下を準備させておけ。用意できなかったらワイルダーを付ける。いいな?王家からの許可証は後から届けさせる。」

早い!

本当は今すぐにもおれを厄介払いしたいのが見え見えだ。

そして、ヴィルトンはどうしてもおれにワイルダーを付けさせるつもりだ。


「分かりました。すぐに準備しますね。」


ーーーー

自室へ戻ってきた。


部屋へ戻るまでに、頭の中が少しだけ整理できた。


(まず、ロックハードまでの御者なんてどうやって探せばいい!)

青い顔をしてついて来たメローを見やる…


いや、メローはダメだ。

御者なんて出来ないだろうし、連れて行かないと決めたんだ。


(それにしても、メローはもう少しポーカーフェイスを覚えた方がいい。おれがいなくなった後のオーウェン家でやっていけるのか?きっと、おれ付きだったメローの居場所は狭くなるだろう…)


横を見れば、窓にはおれの立派な能天気顔が写ってる。

なんせ、おれは0才から演技を続けて来た。

年季が違うのだ。


そう、エルロンド・レイ・オーウェンは転生者だ。

洗礼でユニークスキルが貰えない可能性は考えていた。


なぜなら産まれた時、エルはすでに

《詰め込み》

などと言う変わったユニークスキルを持っていたから。


〜 12年前の今日 〜


眩しい。

「ん…ぐぅ」

意識がはっきりしない。体がユラユラ揺れてる…?


「ーーーー〜」

周りがうるさい。

こっちは朝5時まで野菜の詰め込みバイトをしていたんだ。

もう少し眠らせてくれ...


うわっ!?

上下がひっくり返った!?


うわぁーー!

「んぎゃあーー!」

なんか驚いて変な声が出たな。


眠いせいかまぶたが重くて開かない。

「ーー!」「ーーー!」

なんか周りが盛り上がってるなー。

お祭り騒ぎか?


おれは眠気が強過ぎて2度寝した。

...

あ〜たっぷり寝た!


目を開けると、巨大な外国人女性が2人、おれを覗き込んでいる。



うわぁっ!!

「んきゃぁっ!!」 

また変な声が出た。


女2人は驚くおれを見て笑った。


誰だコイツら!?

不法侵入!?


誰かー!助けてーーー!

「おぎゃーー!おきゃーーー!」


ここで気付いた。

舌がうまく回らない

慌てるおれを見て、1人の女は更にニコニコしてる。

もう1人は真顔で…観察されてる?


サイコパスかな?


体にもうまく力が入らない。

どうなってんだ??

恐る恐る自分の手を見てみる。


まるで、ちぎりパンようにパンパンな腕。


おれは赤ちゃんになっていた…

反応などいただけたら幸いです。

誤字脱字、気になる点も遠慮なくどうぞ。

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