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グローバル倫理の輸入と断絶──国際金融インフラの衝突
前節では、「倫理」という概念が、その歴史的変遷の中でいかにして表現の自由を制限するツールへと変容し、特に情報化社会においてプラットフォーム企業による「企業倫理」が、その非民主的かつ不透明な性格ゆえに、クリエイターに深い不安と恐怖をもたらしてきたことを論じた。
本節では、この「企業倫理」が、「グローバル倫理」という名の下に、いかに特定の文化圏の価値観を世界に輸出し、その過程で日本の表現文化と深刻な衝突を引き起こしてきたかを詳細に分析していく。
この衝突は、単なる文化摩擦に留まらず、2060年代の基盤テクノロジーが融合することで、人間の存在定義そのものにまで影響を及ぼす、根源的な倫理的課題を提起しているのである。




