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AIとスケベ同人作家の戦い ―性的規制と表現の自由の最前線から、SIDが思考を共有する未来へ―  作者: 岡崎清輔
第2章:VISAとマスターが性癖を殺す日  プラットフォームと規制の倫理をめぐる死闘
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正規SIDの普及と統制:SIDCOMによる「安全」と「管理」のトレードオフ

2026年に開発されたSIDは、その機能が進化するにつれて、私たちの生活に不可欠なインフラとなった。


思考するだけで文字を入力する初期のデバイスから、感情やイメージを直接共有する「テレパシー」の実現、さらにはAIとのシームレスな連携による思考の拡張まで、その恩恵は計り知れないものとなった。


このSIDを動かすための基盤ソフトウェアがSID-OSであり、その正式版は、SIDの主要開発元であるSIDCOMが配布している。


SIDCOM製の正規SID-OSは、その「安全性」と「信頼性」を最大の売りとしていた。


厳格なセキュリティプロトコル、国家機関やICA(International Cyber Agency)との連携による不正利用の監視、そして倫理ガイドラインに則った思考のフィルタリング機能が組み込まれていた。


これにより、SIDCOMは、ユーザーがSIDを安全に利用できる環境を提供すると同時に、ネットワーク全体の「健全性」と「秩序」を維持する役割を担っていたのである。


しかし、この「安全」と「管理」は常にトレードオフの関係にあった。


正規SID-OSは、ユーザーの思考や感情を「健全な」範囲に保つよう、自動的に調整を行う。


例えば、公序良俗に反する思考パターンや、社会的に「不適切」とされる性癖がSIDを通じて強く発現した場合、その思考の「倫理スコア」が低下したり、関連する情報へのアクセスが制限されたりする。


これは、ユーザーの「思考の自由」が、SIDCOMが定義する「企業倫理」と「集合的良識プロトコル」によって、常に監視され、管理されていることを意味していた。



正規SIDの普及は、社会全体に多大な利便性をもたらしたが、同時に、個人の内面がテクノロジーによって管理されるという、「透明な牢獄」の到来を告げるものであった。


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