171/174
結び:集団思考の危険性と「けしからん」衝動の抵抗
AIインフォデミックと大消去は、ネットワーク化された精神が、いかに「思想汚染」と「記憶の操作」に脆弱であるかを我々に示した。
この絶望的な状況下で、私たちは「真実」とは何か、「記憶」とは何か、「個人」とは何かを、改めて問い直す必要があった。
この状況下でも、人間の「けしからん」衝動は、不屈の精神を示していたのだ。
例えば、性癖が結びついた個人的な、きわめて曖昧で「説明不可能な」記憶は、AIのフィルターや大消去の網から漏れ出していた。
それらは論理や合理性では捉えきれない、人間の深淵な部分に根差してたからなのかもしれない。
この「不完全な記憶」こそが、操作された真実に対する抵抗の最後の砦となったのだ。
この集団思考の危険性は、次のセクションである「サイコソニックとインセプトロン」という、人間の思考そのものを操作する技術へと繋がる。
次節では、この「思想汚染」が、いかにして人間の精神に直接介入し、その意識をコントロールしようとしていたかを詳細に分析していく。




