1/3
プロローグ
僕には幼い頃の記憶がない。物心つく頃には児童養護施設「こだま」にいて、今年で16になる。
僕には他の人にはない「力」がある。物心つく頃には「それ」に気づいていて、他人から隠し続けてきた。
僕は他の人とは違う。表面上では社会の中で上手く生きているつもりだけど、その中で僕は「異物」なのだと実感してしまう。自分が認められないんだ。
だからこそ常に死んでしまいたいと考えている。
何度もこっそりと首を吊ったり、飛び降りたり、溺れたりしようとしたけれど、「それ」のせいで死ぬことはできなかった。