第二十六話 再び剣を交えることに
ナスィはギルドの掲示板の前で依頼を眺めていた。
最近は少し難易度の高いクエストも受けるようになったが、今日はどうするかと考えていると、後ろから聞き慣れた声がした。
「ナスィ、一緒にクエストに行かないか?」
ベチだった。
「……なんでお前が?」
ナスィは少し眉をひそめる。
「私はしばらくこの村に残ることにした。だから、ギルドの仕事をこなそうと思ってな」
「それはいいが……何で俺と?」
「お前となら、効率よく動けると思ったから」
それは一理ある。
かつては共に剣を振るい、息の合った戦いをしていた。
だが――
「……悪いが、俺はレサーと約束がある」
「え?」
「レサーが、今日は一緒に休もうって言ってたんだ」
事実だった。
最近、ナスィとレサーは冒険の合間に共に過ごす時間を作るようになっていた。
ベチの表情が少し曇る。
「……そうか。でも、それとこれとは別だろ?」
「どういう意味だ?」
「私はお前に見直してもらいたいんだ」
ベチは真っ直ぐにナスィを見つめた。
「お前が強くなったように、私ももっと強くなりたい。そのために、お前と組むのが一番だと思った」
ナスィは少し息を吐いた。
「……それは本当に、俺とじゃなきゃダメなのか?」
「ダメだ」
即答だった。
ナスィはベチの真剣な瞳を見て、しばらく考えた。
(……俺は、どうするべきだ?)
レサーのことを考えれば、ベチと組むのは避けた方がいいのかもしれない。
だが、一方で彼女の決意を無視するのも違う気がする。
「……分かった。一度だけだ」
ナスィはしぶしぶ頷いた。
「ただし、レサーにも相談する。それで問題があるなら、考え直す」
「……ああ」
ベチは納得したように頷いた。
こうして、ナスィとベチは再び剣を交えることになった――。




