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第二十五話 決意の朝を

ベチは村の外れの道を歩きながら、拳を握りしめた。


(……私は、何をしに戻ってきたんだ?)


ナスィが変わったことも、レサーと共に前を向いていることも、目の当たりにしてしまった。


それでも、まだ自分の気持ちに決着がつかない。


(……私は、まだ終わりにできない)


ギルドの前まで戻ると、そこにはレサーが立っていた。


「……ベチ」


「……話があるんだけど、いいか?」


レサーは少し驚いたように目を瞬かせたが、静かに頷いた。


ギルドの裏手、誰もいない場所で、二人は向かい合う。


「……レサー、お前はナスィと付き合ってるのか?」


単刀直入な問いに、レサーは一瞬だけ戸惑いの表情を見せたが、やがてしっかりとした声で答えた。


「はい。私は……ナスィのことが好きです」


やはり。


ベチはぐっと唇を噛みしめる。


「……そうか」


改めて突きつけられた現実に、胸が苦しくなる。


だけど、それでも――


「私は、ここに残ることにした」


「えっ?」


レサーの目が見開かれる。


「……勇者のパーティーに戻らないの?」


「しばらくは、な」


ベチはゆっくりと息を吐く。


「ここで、ナスィと一緒にクエストをこなす」


レサーの表情が強張るのがわかった。


「……どうして?」


「私も、強くなりたいんだ」


嘘ではない。


実際、ナスィの強さを目の当たりにして、自分が今のままでいいとは思えなかった。


でも、それだけではない。


(ナスィは、私にもう未練なんてないって言ったけど……本当にそうなのか?)


それを確かめたかった。


ナスィは本当に、完全に自分を手放したのか。


もしそうなら、それを認めるために。


もしそうでないなら――


(私は……)


レサーはしばらく沈黙した後、小さく息を吐いた。


「……ナスィに話したの?」


「まだだ」


「……そう」


レサーの表情は複雑だった。


当然だろう。


自分の恋人と、元許嫁が一緒にクエストをこなすことになるのだから。


「……ナスィがどう思うかは分からないけど、私は……複雑です」


レサーは正直にそう言った。


「私だって……」


ベチは苦笑する。


「自分がこんな気持ちになるなんて、思わなかったさ」


それでも、前に進まなければならない。


例え、それがどんな結果を招いたとしても――。

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