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7-2

 暗黒の星海に漂う虚空が、一瞬の閃光によって切り裂かれた。

 突如として現れたその光は、漆黒の巨体を浮かび上がらせる。

 それはハイパードライブによって遥か1000光年先からジャンプアウトしてきた小型巡洋母艦(ハンガークルーザー)オベリスクだった。

 

 ジャンプアウトの衝撃でブリッジがわずかに揺れる。

 制御端末のモニターが次々と正常稼働を示す緑の表示に切り替わり、その中でフローラの声が静かに響いた。

 

「ジャンプアウト完了ですわ、カイ様。現在地はバロトリテス星系、予定通り到着しております」


 カイはメインパイロットシートに座ったまま、窓外に広がる星々を見つめながらフローラの報告に短く頷いた。


「よし、海賊に襲われる様子もないな。まあ、今回はカーゴも空にしてきていることだし、襲われる理由もないか」


 バロトリテス星系は帝国のノイシュテルン星域に属している星系だが、ここには統治者が存在しない。

 法と秩序が欠如した無政府状態の星系であり、無秩序な混乱が日常となっている。

 ただ、この星系が特別という話ではなく、ノイシュテルン星域にはこうした無政府状態の星系が多数存在していた。

 

 帝国内でも最大の領土を誇るこの星域は、その広大さゆえに多くの星系が開発途上にあり、統治の手が及ばないまま放置されているのだ。

 その結果、ノイシュテルン星域は海賊やアウトローたちにとって格好の隠れ家となり、帝国の影響を受けずに活動する場を提供していた。

 こうした無政府星系は、各地から流れ着く犯罪者たちが集う温床となっており、星域全体に危険な雰囲気を漂わせている。

 

「さて、さっさとヘリオスの支部に行って情報収集といくか」

「承知しましたわ、既に航路は入力済みなので、これより超巡行(スーパークルーズ)モードに移行します。キャロルは、介入制圧(インターディクト)に備えて第2ドックで待機してくださいまし」

「はぁーい」


 カイの指示の元、直ぐにフローラがコンソールに指を走らせて手筈を整えていく。

 海賊の襲撃に備えて出撃待機を命じられたキャロルは、若干不満げな様子だったが、カイの苦笑いに免じてブリッジを後にする。

 程なくして軽い衝撃と共にオベリスクは超巡行(スーパークルーズ)モードで広大な星系の中で、光を超えた速度で駆けていく。

 バロトリテス星系へとやってきたカイたちの目的は、この無秩序の中に存在する秩序――すなわち、彼が所属する非合法組織ヘリオスの支店に用があったからだった。

 

 ヘリオス――それは国家を跨いで活動する巨大な非合法組織であり、その活動範囲は銀河全域に広がっている。

 表向きには「ユニバーサルホテル」というフロント企業を経営しており、その名を冠した高級ホテルは銀河中のあらゆる主要星系に支店を持つ超大手の宿泊施設として知られていた。

 宿泊業界では常にトップクラスの評価を受けており、サービスや設備の質の高さが利用客の間で評判となっていた。


 だが、その実態を知る者にとって、ユニバーサルホテルの華やかな外見は、その本質を覆い隠す仮面に過ぎなかった。

 その裏側では、情報収集や密輸、人材派遣、さらには特殊任務の代行まで幅広い活動を展開しており、銀河を揺るがす影響力を持つ存在だった。

 ヘリオスの実態はすでに各国の政府や軍事組織に知られていたが、組織がもたらす有益な情報や、国家の枠を超えた調整役としての価値が認められていたため、黙認される形でその活動が容認されていた。


 カイはそのヘリオスに所属する一員であり、度々その広大な情報網を頼りにしていた。

 バロトリテス星系にはヘリオスの支店があり、この星系最大規模を誇る八面体(オクタリウム)型宇宙ステーションがその拠点となっていた。


八面体(オクタリウム)型……大型ステーションだけれども、小型巡洋母艦(ハンガークルーザー)は入港できないんだよなあ」


八面体(オクタリウム)型ステーションは、その名の通り八面体を基本とした構造を持つ大型宇宙ステーションであり、全長は3kmにも及ぶ。

表面には複雑な幾何学模様が装飾的に施され、漆黒の宇宙を背景にしてもその巨大な存在感を放っていた。


その設計は比較的新しく、効率を重視した優れた設計思想に基づいており、建造期間がわずか数週間で済むという驚異的な特徴を持つ。

しかし、それでも大型艦を遥かに超える大きさを持つ母艦を受け入れるドックは持っていない。


「それにしても、この無政府星系にこんな高価なステーションがあるなんて、場違いにも程がありますわね」


 フローラが呟きながらメインモニターに映る八面体(オクタリウム)型ステーションを見つめた。

 通常、この種の大型ステーションは資材コストが非常に高いため、経済的に安定した星系でしか見ることはできない。

 だが、ここバロトリテス星系のような無政府状態の星系に存在するのは、明らかに異質だった。


「まあ、それだけヘリオスがこのステーションを維持するだけの利益を生み出しているという証明だろうなあ」


 カイが冷静に分析を口にする。

 その言葉には、ヘリオスの規模と資本力への敬意すら滲んでいた。

 二人はヘリオスの豊富な資金力に畏怖を覚えながらも、その支部が存在する八面体(オクタリウム)型ステーション「ホロックスノーズ」に向けて、オベリスクを進ませていった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ホロックスノーズの中に設置されたユニバーサルホテルに足を踏み入れた瞬間、カイたちはその豪華絢爛な内装に圧倒された。

 外観からは想像もつかないほど、内部は極上の空間が広がっている。

 大理石の床が柔らかな光を反射し、豪奢なシャンデリアが天井から吊り下がっている。

 煌びやかな装飾と完璧に調和したインテリアは、非日常の空間を演出していた。


「相変わらず、すっごいわね……」


 キャロルは目を輝かせながら辺りを見渡し、感嘆の声を上げた。その顔には好奇心と興奮が隠しきれていない。


「ユニバーサルホテルはどこもこんな感じだ。表向きの姿だけはな」


 カイは肩をすくめて、落ち着いた様子で答えた。


「まあ裏でエグい商売しているなんて、この煌びやかな光景を見れば想像付かないわよね。本当にいい目隠し」

「それでも独立パイロットをしていれば、多少は耳にすることでしょうに。ついこの間まで、そんなことも知らなかっただなんて驚きですわ」

「ぐ、ぐぬぬ……」

 

 ユニバーサルホテルは非合法組織ヘリオスのフロント企業だ。

 表の顔は銀河随一の高級ホテル、裏の顔は情報収集や特殊な依頼を扱う秘密の拠点となっている。

 

 その後ろめたい事情を隠すかのように、どの支店も洗練されたサービスと豪華な内装を徹底しており、一般の利用者にとっては非の打ち所がない一流ホテルとして映っている。

 だが、その背後では密かに情報網が巡らされ、訪れる者の素性や目的を余すことなく把握するための仕組みが緻密に構築されているのだった。

 

「ま、知らないのも無理ない。裏方の汚い依頼でも受けていなきゃ、そういう情報に疎いのは仕方ない」


 そんなカイのフォローに、キャロルは気を取り直したように笑みを浮かべると、思わず彼の手を取り勢いよく抱き着いた。


「ご主人様、優しい! そうよね、普通は知らないわよね!」


 そのまま豊満な胸の間にカイの腕を挟み込み、悪びれる様子もなく親密なスキンシップを取ろうとするキャロル。

 彼女の無邪気な振る舞いに、カイは少し顔を赤らめながら苦笑いを浮かべた。


「ちょっと、キャロル……公衆の面前ですわよ」


 フローラの冷ややかな声が二人の間に響いた。

 彼女の表情は凍りつくように冷たいが、その目の奥には微かに嫉妬が燃えている。

 続けざまに小さな舌打ちが漏れると、キャロルは肩をすくめて、軽い調子で笑いながらカイの腕をより強く抱きよせていた。


「えー、ただのお礼じゃない。お姉様って本当に堅いんだから」

「堅さの問題ではありませんわ……。礼を言うのは結構ですが、もう少し品のある振る舞いを心掛けるべきですわね」


 二人のやり取りを受けながらも、カイは溜め息をつき、受付カウンターへと向かっていった。

 カウンターの前に立つと、そこには完璧に身だしなみを整えたコンシェルジュが控えていた。

 端正な制服に身を包み、プロフェッショナルな笑顔をたたえたその姿は、ユニバーサルホテルの高級感を象徴しているかのようだった。


「ようこそ、ユニバーサルホテル・ホロックスノーズ支店へ。どのようなご用件でお越しでしょうか?」


 カイは無言のまま、懐から一枚の金貨を取り出した。

 それをカウンターの上に置くと、コンシェルジュの表情に微かに変化が見られた。

 金貨に刻まれたユニバーサルホテルの紋章――それは、ただの宿泊客ではない特別な依頼者であることを示すものだった。


「オーナーとの面会をお願いしたい」


 カイの簡潔な言葉に、コンシェルジュは深々と頭を下げると、端末を操作して確認を取った。


「かしこまりました。オーナーは現在、上階にあるレストランでお待ちです。どうぞ、エレベーターをご利用ください。こちらでご案内いたします」


 コンシェルジュのスムーズな対応に、カイは短く頷いた。


「ありがとう」


 そのまま一行は、彼に促される形でホテルのエレベーターへと向かった。

 フローラはその間も落ち着いた様子を崩さなかったが、キャロルは再び目を輝かせて豪奢なホテルの内装を見回していた。


 エレベーターのドアが閉まり、カイたちはゆっくりと上階へと向かう。

 周囲の鏡張りの壁が、彼らの姿を無限に反射しながら静かな時間を包み込んでいた。キャロルは窓の外に広がるホロックスノーズ内部の景色を見下ろしながら、興奮気味に呟く。


「こんな高級な場所、まさか自分が来ることになるなんてね」

「一流の環境を提供しているのは、表向きの顔。私たちが会うオーナーは、その裏で何を動かしているか分かりませんわよ」


 フローラが冷静な声で応じ、その言葉にキャロルも少し気を引き締めた表情を浮かべる。

 カイは二人の様子を見ながら小さく息をつき、エレベーターが目的の階に到着すると、扉が静かに開いた。


 レストランのエントランスに到着したカイたちは、ドアの手前で一瞬立ち止まった。

 その重厚な扉の向こうには、今回の目的であるオーナーとの面会が待ち受けている。

 カイが扉を押そうと手を伸ばしたその時、向こう側から扉が開き、一組の男女が姿を現した。


「失礼……」


 先に現れたのは、背が高く痩身ながらも逞しい体格をした男だった。

 緩やかに波掛かった黒髪を肩口まで無造作に垂らし、その鋭い目つきと無精ひげが、洗練と荒々しさを併せ持つ印象を与えている。

 身に着けている服装は機能性を重視したシンプルなものだが、全身から漂う雰囲気は尋常ではない。

 間違いなく独立パイロット、それも相当な経験を積んだ熟練者に違いない、とカイは直感的に理解した。


 その男の隣には、小柄な女性が寄り添うように立っていた。

 整った顔立ちと、隙のない佇まい。その洗練された雰囲気には、どこかフローラやキャロルと似たものを感じさせる何かがあった。


 男はカイに視線を向けると、ふっと口元に微笑みを浮かべた。

 同業者としての共鳴とも、わずかな敵意とも取れる複雑な表情だ。

 だが、その微笑みは一瞬のことで、男は何も言葉を交わすことなく、女性を連れてゆっくりとその場を後にした。


「クラリス……!?」


 突然、キャロルが声を上げた。

 その女性の顔を見た瞬間、彼女はかつての同僚だったクラリスの姿を思い出していた。

 フローラもすぐに気付き、驚愕の表情を浮かべる。


「間違いありませんわ……彼女、クラリスです……」


 フローラが震える声で呟くが、当のクラリスは二人に気付くそぶりすら見せなかった。

 無表情のまま男の後ろを静かに歩いていき、やがてその姿は廊下の奥に消えていった。


「どうして……ここにクラリスが……。いや、そんなことより、生きていたのね……」

 

 キャロルはその場で立ち尽くしたまま、動揺を隠せない様子だった。

 カイもその異様な光景に眉をひそめる。

 

「……何があったんだ、フローラ?」


 フローラは深く息をつきながら、かつての同僚の姿が現れたことへの困惑を拭い去るように、冷静さを取り戻そうとしていた。


「分かりません。ただ、どうも私たちが知るクラリスとは様子が違って見えました……」


 カイは一瞬だけ立ち去った男女の背中を振り返ったが、既に彼らの姿は完全に見えなくなっていた。

 彼は小さく息を吐き、冷静さを装って扉を押し開けた。


「気になるだろうが、今はオーナーとの話が済んでから、考えることにしよう」


 レストランの中に足を踏み入れると、静かな空間が広がっていた。

 高級感あふれる内装は豪奢そのもので、テーブルには雪のように純白なクロスが敷かれ柔らかに輝いていた。だが、カイたちが案内されたのはさらに奥の個室だった。


 個室の扉を開けると、中には一人の老婆が静かに腰掛けていた。

 年齢を重ねたその姿は、白髪と少し刻まれた皺に象徴されているが、佇まいには品格と威厳が漂っていた。

 手に持つ分厚い書物に目を落としていた彼女は、来訪者の気配に気づいて顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべた。


「おや、いらっしゃい。どうぞお入りなさい」


 老婆は本をそっと閉じ、カイたちを迎え入れる。

 その声は落ち着いており、どこか包み込むような温かさがあった。


 カイは軽く頭を下げると、腰を低くしながら足を踏み入れる。

 そうしていつものように、揉み手をしながら、お世辞を織り交ぜた軽快な口調で挨拶を始めた。


「初めまして、オーナー殿。私、しがない独立パイロットをしておりますカイ・アサミと申します。今日は少々お願いがありまして……」


 老婆はカイの挨拶を遮ることなく、微笑みを浮かべながら話を聞いていた。

 そして、カイの話が一段落したところで、彼女は柔らかに口を開いた。


「ご丁寧にどうもね、カイ君。私の名は……フォクシアよ。あなたのことは存じておりますよ、カイ・アサミ。ヴィクセンから話は伺っています。連邦の支部で随分とお世話になったそうじゃないの」


 フォクシアの言葉に、カイの顔に一瞬だけ微かな驚きが走る。

 ヴィクセン――以前、カイが連邦領で接触した同じユニバーサルホテルのオーナーの名だ。情報の流通力に冷や汗を覚えつつも、カイは笑顔を浮かべて軽く頭を下げた。


「ヴィクセン殿とは以前お会いしましたが、まさかこちらでもお名前を耳にするとは思いませんでした。恐縮です」

「さて、何をお求めでこちらにいらしたのかしら?」


 カイは短く息を整えると、今回の目的を率直に切り出した。

 

「実は、この付近の星系を統治しているクルト・フォン・シューマッハー伯爵について情報をお伺いしたいのです。特に、彼に関する後ろめたい噂があれば、それを知りたいのですが……」


 フォクシアはカイの言葉を聞きながら、少しばかり考え込む素振りを見せた。

 その仕草は実に自然で、まるで慎重に過去の記憶を探っているかのようだった。そして、ふっと表情を緩めると、口元にわずかな微笑を浮かべて答えた。


「なるほどね……その情報をお求めとは、なかなか厄介な依頼だわね。それなりの対価を頂くことになるけれど、大丈夫かしら?」

「お、お手柔らかに……」


 カイが慎重に言葉を繰り返すと、フォクシアは軽く頷いた。


「500万クレジット。それだけ支払っていただけるのなら、あなたの求める情報をお渡ししましょう」


 その法外とも思えるその額に、一瞬で空気が凍りついた。


「500万クレジット!? 幾ら何でも高すぎるわ!」


 キャロルが思わず声を荒げる。

 目を大きく見開いた彼女の表情には、明らかに驚きと抗議の色が見て取れた。

 だが、フォクシアはそんなキャロルを特に気にする様子もなく、優雅な微笑みを崩さずに続けた。

 

「ふふ、お嬢ちゃん。情報にはそれ相応の価値があるものです。それを受け入れられるかどうかは、ご自身の判断次第です」

「待て、キャロル。落ち着け……確かに法外な値段だけども……!」


 カイはキャロルを制しながら、冷静な声で老婆に向き直る。

 

「ふぅ……考えさせてください。その金額に見合う情報であることは、もちろん保証していただけますね?」


 老婆はにこやかに笑った。

 

「もちろんですとも。それを保証するのが、我がヘリオスですからね」


 カイは500万クレジットという提示額に対して、思わず眉をひそめながらも、その価値を頭の中で冷静に計算し始めた。

 クルト・フォン・シューマッハー伯爵に関する情報は、単なる噂話ではなく、貴族社会の深層に迫る内容でなければ意味がない。

 貴族たちは外聞を何よりも重んじる。彼らの裏の事情を暴くためには、膨大な労力と危険が伴うことを、カイ自身もよく理解していた。


「500万かあ……」


 カイは手元にある資金を思い浮かべる。

 ヴァルデック侯爵からの1500万クレジットに、輸送業で得た600万クレジットを加えれば、500万クレジットを支払うことは十分可能だ。

 しかし、それは決して軽い額ではない。

 この情報が伯爵への突破口となるか、ただの無駄遣いとなるかは、全てカイの決断にかかっていた。


「時間は限られていますわ、カイ様」


 その時、隣にいたフローラが静かにカイの耳元で囁く。


「この状況下では、必要な情報に対して出し惜しみをするのは危険です。それに、この方はヘリオスのオーナー。情報の質は信頼に値するはずですわ」


 フローラの冷静な言葉は、決断の重さを支える後押しとなった。

 カイは息を整えながら、目の前で微笑みを浮かべている老婆、フォクシアの方へ顔を向けた。


「分かりました。500万クレジットでその情報を購入させていただきます」


 フォクシアはその答えを聞くと、満足げに目を細め、小さく頷いた。


「素晴らしい選択ね、カイ君。では、準備が整い次第、情報をお渡しいたしますわ。受け取りについては、フロントでどうぞ」


 彼女が端末を操作すると、まもなくクレジットの取引が完了したことを示す通知がカイの端末に届いた。

 その瞬間、キャロルが小さな声で嘆息を漏らした。


「500万クレジット……ホントに出すなんて……」

「文句を言うな、キャロル。今はその価値を信じるしかない」


 カイはキャロルを諭しながらも、自分の選択が正しいことを祈るような気持ちで、再びフォクシアの方に目を向けた。

 果たして、この情報が彼らの道を切り開く鍵となるのだろうか。その答えは、間もなく明らかになるはずだった。

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