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完治?

ゲームの画面越しに見たダンジョンに現実で自分の身体ごと入り、ゲームの画面越しでしか見たことのないスライムを自分の両目で実際に見たりしたことに未だに興奮している。


自分でスマホで撮影した証拠がある限り現実であることを疑うことはないが


「スライムあんまり可愛くなかったし、感触も気持ち良くなかったな」


そこまで可愛い物に固執する性分でもないし、今までスライムの触感についても考えたこともないので、口に出したのはかなりの的外れだった


電車の中で動画を再生して見ながら今日の出来事を思い返してみてもまだ夢心地であるが、今もまだ息が切れてないことに気がついていない。


夕方家に着いて玄関を開けると普段なら部活でもっと遅くに帰ってくる妹が待ち構えており


「お兄ちゃん今日どこ行ってたの?制服じゃないから学校行ってたわけじゃないよね?学校サボってる癖にまさか遊んでいたわけじゃないよね、自称重病人の春希さーん」


こちらの事情も知らずに嫌味しか言わない妹の来夏


「今日はたまたま体調が良かったから散歩だよ、たまには外に出ないと益々調子悪くなるからさ」


「ふーん、そうなんだ、本当はいつもこの時間まで遊んでいるんじゃないの?パパもママも私も家に居ないから気付かないと思って」


「たまたまだよ、今日だけね 疲れたからもう休むよ」


こちらが何を言おうが信用しない来夏に事情を説明しても無駄だと思い、早々に自分の部屋に戻る


妹の来夏には疲れたと言ったが今はかなり体調が良い、興奮していたことによって息切れの症状も緩和されたのかもとは思ってはいても気持ちの問題で病気が治るのなら半年も苦しんでいない。


ダンジョンに行ったことが原因であるならこれからも家族の居ない隙を狙って行ったほうが良かろうと考えてみる


夕食まで部屋でおとなしくしていようとは思うが、親が帰ってきたら来夏があることないこと両親に言うことは目に見えてわかっている


「今日は飯抜きか、でも、、、、、」


嫌味を言われることと夕飯と天秤にかけると矢張りグダグダと言われながら食べても砂を噛むように味なんて感じないだろう、夜中に家族が寝静まる頃に何か食べることとしようと横になる、半年間も引きこもり生活をしているお陰でいつでも眠りに入れる特技を身につけていた。


「それではおやすみなさい」


夕方に寝たこともあり、夜の12時に目が覚めてしまった、起きてすぐに撮影した動画について考えてみる、自分だけしか撮影に成功していない物をアップするかどうかの問題だ


折角ダンジョンの内部やリアルスライムの状態を自分だけで留めておくのは気がひけるし、ダンジョン関連の先達として注目を集めることは間違い無いとは思うが、これでまたダンジョンに人が集まってしまうとダンジョンに入ることが出来るのが自分だと正体がすぐにばれてしまう、しかもダンジョンに入られないと病気の具合が悪くなる可能性もある


「まずは配信は保留にしておくか」


考えをまとめると自分の部屋を出て非常食としてストックしてあるカップ麺を探してキッチンでコソコソとする、静かに探していたつもりだが受験勉強をしていた来夏に気付かれたようで階段を降りる音が聞こえてくる


慌てて隠れようと思ってもそんな場所がすぐには見つからない、しかも悪いことをしているわけでも無いのに隠れるのも変だと思い直し堂々としていると


「お兄ちゃん、こんな時間に何してるの?」


キッチンに入ってきた来夏が声を掛けてきた


「うん、ちょっとお腹が空いてラーメンでも食べようと思って」


「テーブルの上見た?ちゃんとお兄ちゃんの分取ってあるよ、ママもこんなことぐらい予想してるよ」


自分の分なんて置いてあるなんて考えても居なかったのでそっちの方向は見ずに一目散にカップ麺をとしか考えてなかった


「お前も受験生で大変だろうからもう寝た方がいいんじゃないか?」


「心配しなくてももう寝るよ、お兄ちゃんと違って明日も学校あるからね、ニートは気楽で羨ましいよ」


昔は仲の良い兄妹だと思っていたが最近は口を開けば必ず一言二言の嫌味を含んでくる、いつからこんな可愛くなくなってしまったのか、口では勝てる訳ないと思い、言い返さないものだから言われっぱなしの俺にも原因はあるのかも知れない


「じゃあもう戻るから」


逃げるように取り置きの晩飯をトレイに載せたままそそくさと自分の部屋に戻る


「おやすみ、早く良くなってね」


聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声だったので聞き返した


「え なんか言った?」


「夜中は静かにしてろって言ったんだよ」


俺の聞き間違いか、来夏が俺に優しい言葉をかけるわけない


それからもダンジョンに行く日を自分の体調が悪くなった時に行こうと決めたが伸び伸びになってしまった


何故ならあれからずっと体調が悪くなることがなかったからだ。


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