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遭遇

ダンジョンの中に入っても全く息苦しを感じない


「なんか地下って空気が薄い感じするんだけど、逆に上よりも空気美味しいかも」


地上に居ることで息苦しくなり病気になったのだとしたら、これからは地下でしか生活ができない生態に変化してしまったのだと少し心配になってしまった


「もし地底人に体質が変化したとしたら進化なのか退化なのかどちらなんだろうな」


自分のことなのに冗談みたいに茶化してみるぐらいにはまだ楽観視していた。


野球ができるぐらいの広い空間が広がっていてかなり見晴らしが良い、ダンジョンだと言えば迷路みたいな物だと思い込んでいたが、全く予想とは違った


ここまで見晴らしが良ければ相手からしても丸見えと言うことだ、もちろんこんか地下に味方がいる訳もなく相手と言えば敵対勢力しか居ない、春希は第一地下民を発見した


「やっぱダンジョンと言えば最初はこいつだよな」


悠長に動画撮影をしながら観察してみた


身体の大きさは拳大、半透明で色は緑色、プルプルと震わせながらこちら近付いている物体はまさしくスライム、表情が読めない、むしろ表情がない為不明な状態では敵意も読めない


こちらから攻撃したものか懐柔したものか、判断に迷う処だ、定番キャラだけにどちらのパターンでもよく登場する為なんとも言い難い。


「何か持ってたかな」


ポケットを漁るとミント味の喉飴が出てきた、息が苦しい時に気持ちだけはすっとさせるために愛用している一品だ、個包装を剥くとスライムに向けて放ってみた


これで向こうが喜んで吸収してくれれば味方、怒って反撃してきたら敵、春樹の基準ではあるがそう決めた。


スライムは飴を吸収せずにこちらに向かって投げ返してきた、手があるわけではないので身体全体をクッションのように使って反発させてきたわけだが、自分が投げた数倍で飛んできた飴玉をとっさにかわすことは出来ず、脛のあたりにぶつけられた


「イテテ、飴玉ってスピード乗ると痛いんだな」


余り面白くもない実験体にはなってしまったが敵意を身をもって知ることができた


「つまり敵ってことでいいんだな、これなら容赦なく潰すことが出来るな」


一度はしまった愛用のケースから再びバットを取り出して、ゴルフスイングの要領でスライムを弾き飛ばす。


弾き飛ばすことには成功したが壁にぶつかったスライムはぺちゃんとした後にまたゆっくりと無傷でこちらに向かってくる


「スライムって最弱じゃなかったのかよ」


このダンジョンのスライムは打撃耐性付きであり、バットでは中々に相性が悪い、そんなこと春希にわかるわけがないので


「やっぱ可哀想だと思って加減しちゃったのかもな、自分の優しさは違う相手にとっておいてもっと思い切りいくか」


この判断は正しい方向へと向かう


再度向かってきたスライムを今度はダンジョンの近くの壁にぶつけることを意識して再びのゴルフスイング


スライムは先ほどと同じように壁へとぶつかるが表面張力を超える力による打撃で元に戻れなくなりその場で力尽きる


春希の初めてのモンスター退治はこうして終わった


「なんか久し振りのスイングだったけど、なんかカキーンって感じでなくてヌチャって感じがなんか気色悪いな、もっとカキーンっての現れないかな」


言ってることはかなり物騒だが、健全な高校球児としては真っ当なのだろう、カキーン対象を求めて更に奥へと歩を進めて行くと


「パリン」


何かを踏んで割った感覚がある、先程倒したスライムの魔石だったが、既に踏んで粉々になっていた為なんか踏んだかなと言う印象しか持つことができなかった


ただ単に広い空間の為どこを目指して進んでいくから判断に迷ったが、そのまま真ん中を真っ直ぐに進んでいった、こちらが気付くより先にスライムに寄ってこられたが、攻撃される前には反撃することができた


2体3体と出て来たら対処に困ったが、向かってくるスライムはいつも1体ずつであった


「この階層ってスライムそんなに多くいないのかな」


そのまま2時間ほど歩き回り、同じようにスライム12体を弾き飛ばして飽きたのでその日は帰ることにした


「中々いい運動になったけど、スライムしか現れなかったな」


久々の運動でうっすらと汗を掻いて気持ちよく帰ったが、スライムの魔石を合計3つ壊したことによる成果にすぐに気がつくことは出来なかった。



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