翌朝
「カレン叔母さん…」
叔母さんは自責の念に駆られ泣き続けていた。支えが必要なのは叔母さんの方なんじゃないかと思うくらいに。
「叔母さんのせいじゃないよ。誰のせいでもない。こんな事なになるなんて誰にも想像できなかったはずだよ」
「ウィル、ありがとう。私もそう思えたらどれほど心が軽くなるか…」
「兄さんたちは大丈夫だろうか…俺はどうしたらいいんだろう…」
「今は…何もしてあげられないわ、私もあなたも。もっと早くにこの事実を伝えてあげられていたら、少しは傷も浅くて済んだのかしら…」
「どうだろう、詳しくは聞いてないけど二人の仲は急激に近づいたみたいだから」
「そうだったの…せめてもう少し近くに住んでいたら良かったわ…はぁ~だめね。ああだったら、こうだったら…きりがないわね。辛いのはあの二人なのに」
「俺、休暇を伸ばしてもらうよ。それでクビになったらそれまでだ」
「あなたのそういう所、嫌いじゃないわ」
俺たちはこの部屋に来て初めて笑ったが心の不安は消えなかった。
翌朝、朝食には二人とも降りてきた。
ウィルとカレンはホッと胸をなで下ろした。だが会話は進まず重苦しい空気が流れていた。
「そういえばロブに5人目の子供が生まれたんですってね」
「そうらしいですよ! 俺はまだ会ってないんだけど、叔母さん後で一緒に会いに行きませんか?」
ウィルはカレンが出した明るい話題に飛びついた。
「口元がロブにそっくりなんですよ」
レナードも笑っていた。
「そう! 会うのが楽しみだわ。ロブに都合を聞いてから行ってみましょう」
(兄さんは昔から冷静で大人だった。きっと今回も冷静に受け止めたんだろう。
俺は家に戻って家業を手伝い兄さんをサポートするのもいいかもしれない。二人だけでこの屋敷にいるのは気まずいだろう。)
ウィルは近衛隊を辞めることも考えていた。二人が立ち直ったら、その先の事はまたその時考えればいい…。
レナードは表面上は冷静だった。
食欲など全く無かったが、朝食に降りて行かないと叔母さんやウィルが心配するだろうと思い普段通りに席についた。
ロブの子供の話が出た時は、「フロウと俺の子供はどんな顔だったろうな…」とぼんやり考えていた。




