近衛隊からの帰省
ウイリアムは9月の下旬に正式に近衛隊に配属された。
1年は宮殿にある近衛隊兵舎で仕事をし、その後各拠点に移動が決まる。
これで堂々とフロウにプロポーズできる。
カーライル侯爵家の次男という前に、俺は近衛隊の騎士だ。これからもっと頑張って上位の官職につくんだ。フロウがカーライル家を出ても恥ずかしくない立派な地位についてみせる。
1年後、宮殿以外に配属されたらそこの近くに家を買って二人で暮らすのもいいな。
ウィルはどんどん膨らむ幸せな想像に、家に帰る日が待ち遠しくて仕方なかった。
10月から近衛隊での仕事が始まる。9月の最終週にフロウの待つ家に帰ることにした。
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「フロウ、兄さん、只今!」
フロウもレンも玄関ホールでウィルを出迎えた。ケイトやロブも居た。
「ウィル、近衛隊入隊おめでとう」
レンとウィルは握手した後、しっかり抱き合った。レンはウィルの背中をポンポンと叩いた。
「ウィル、おかえりなさい」
フロウもウィルと抱き合った。ウィルの顔は更に喜びで輝いた。
夜は祝賀会が開かれた。ウィルの学園時代の友達も何人か招待されている。招待客は少なく内輪の会だったが、食事は豪華で高価なワインもふんだんに抜かれた。
「ウィル、帰ってきて早々祝賀会で済まないな。もう少し休みたかっただろう?」
食後のコーヒーを飲みながらレンがウィルに話しかけた。
「大丈夫だよ兄さん。俺もあまり長居できないし。嬉しいよ、ここまでしてもらって」
「弟が立派になったんだから当たり前だ。それと…話があるんだ」
「何? ケミンクロスの事? 大変だったんだって?」
「ああ。でも向こうはほぼ落ち着いてきてるから大丈夫だ。港も復興が終わって通常通り貿易が再開されてる」
「兄さんは敏腕だもんな~」
「俺は部下に恵まれてるのもあるよ。…話っていうのはまた別の事なんだ」
レナードの表情は硬かった。ウィルは帰ってきてらかもなんとなくレンの態度がぎこちないような気がしていた。話の内容がいい知らせではないことを直感で感じた。
「怖いな~兄さん、まさか悪い知らせ?」
「今日は止めておこう。お前も疲れてるだろう?明日また二人で話そう」
兄さんの話って一体なんだろう? アメリアとの事は新聞で読んだ通りならもう解決しているだろうし、ケミンクロスの事でもない。
家で俺が知らない何かがあったのかな?
久しぶりに自分のベッドに入ったウィルは、レンの話がどんな事なのか考えていたがすぐ眠りに落ちてしまっていた。




