レナードの帰宅
ロブがレナードと一緒に行ってしまった為、ジョージの仕事は格段に増えてしまった。まだまだ自分は若いと自負していたが、もう少し体力を付けないといけないな、と考えを改めさせられた数か月だった。
レナード達がケミンクロスに旅立ってからフランシスの様子が見るからにおかしいと、ジョージは気づいていた。いやもう少し前からかもしれない。
食欲がなく、深刻そうな表情で考え事をしている事も多い。目を真っ赤に泣きはらして朝食に出てきたこともあった。
お嬢様はあまり社交活動をされず、屋敷におられることが多い。外の人間関係で悩んでおいでだとは考えにくい。旦那様と何か意見の相違でもあったのだろうか?
一時期はアメリア様がこの屋敷にお入りになることを懸念しておいでかと思っていたが、この縁談はすでに無くなっている。
心優しいお嬢様はケミンクロスの事に心を痛めておいでなのかもしれない。
あれから2か月半ほど経った頃、ひとつ明るい朗報が舞い込んできた。
ウイリアム様の近衛隊入隊がこの秋に正式に決まったのだ。士官候補生が1年後、20歳で正式入隊は最速だ。10月に一度帰宅されるらしい。
その頃には旦那様もお戻りになっておられるはず。またお屋敷も賑やかになりますね…。
ウイリアムのニュースがカーライル家に朗報をもたらした半月後、やっとレナードがケミンクロスから帰ってきた。ジョージは自室にいたフロウに真っ先にレンの到着を告げると、フロウは駆け出してレナードを出迎えた。玄関ホールに降りて行くと丁度レナードが扉から入って来た。
「レン兄さん!」
駆け寄ってきたフロウをレナードは抱きしめた。
「ただいまフロウ。元気だったかい?」
フロウは涙がこぼれそうになるのを必死でこらえた。この3か月が3年に思えるほど長かった。
「私は全然変わりないわ、兄さんは痩せたんじゃない? さ、疲れたでしょう? 客間にお茶を用意してあるわ」
レナードの後ろからロブや他の従者達が入って来ていた。
「ロブもみんなご苦労様でした。客間で休んでちょうだい」
ロブは言われた通り客間へ向かった。家族に会いに帰る者もいたが、まずはみんなゆっくり座って休みたかったのだろう、ほとんどの者が客間へ行った。
そこで現地での詳しい話やこちらで起きた出来事などを楽しく語り合った。そのまま皆で早めの夕食をとり、それぞれ自室や自分の家に引き上げた。




