進む計画
カーライル家にはいつも晩餐会やらお茶会、チャリティーイベントなと山のように招待状が届く。
チャリティーイベントや福祉関係のお誘いにはなるべく参加しているが、フロウは社交界の付き合いはなるべく避けていた。
年頃の娘が社交界に行けば必ずと言っていい位、結婚の話になる。フロウもいずれは結婚しなけれならないが今はどうしてもそんな気になれない。
フロウがいくつもの封を開けていると仮面舞踏会の招待状が出てきた。
「仮面舞踏会の招待状だわ、今までこんなの来たことがあったかしら?」
隣でお茶を注いでいたマリに言った。
「仮面舞踏会ですか?!素敵ですね~カーライル家では催したことがないですよね。ちょっと憧れてしまいます」
マリは顔を輝かせて興味を示した。
「…でも仮面を外したら残念な相手だったりすることもあるんでしょうね…あっそうだ、今思い出しましたけどロブさんが旦那様のお使いで仮面をいくつか買ってきたと言ってました。旦那様も行かれるのかもしれませんね」
「えっ レン兄さんが?そうなの…ねえマリ、ロブに頼んで買ってきた仮面をこっそり見せてもらえないかしら?」
フロウもレンとほぼ同じことを考えていた。
「はい、出来ると思います。後でお持ちします」
マリは仮面に興味を持つフロウを不思議に思いながらお茶の用意をして下がった。
仮面舞踏会ならぴったりだわ!来週の金曜ね、それまでに準備しなければ。
仮面と、カツラもいるわね…口元に付けボクロはどうかしら…会場内は暗いといいけれど…。
それから2,3日してレナードはジョージにフロウの予定について何気なく尋ねてみた。
「金曜日のご予定は…」ジョージはスケジュールの台帳を取り出して確認した。
「何か晩餐会か舞踏会にお出かけの予定が入っております。ですが行き先が明記されておりません、お嬢様に確認してまいりましょうか?」
「いや、いい。大丈夫だ。俺も出かけるから問題ない」
ジョージはレナードがフロウの夕食の心配をしているのだと思った。レナードが出掛けているときは使用人達と夕食を共にしているのをご存じのはずだが、はて?
よし、これでフロウが仮面を用意していたら仮面舞踏会に行くのに間違いないだろう。
でもフロウが付ける仮面が分からないと見分けられなかったときに困るな。どうしたものか…。




